ファンタジーベースボールとは
Fantasy Baseball(以下ファンタジーベースボール)はアメリカを起源としたシミュレーションゲームだ。インターネットが発達した現在はオンライン上で全てが完結し、世界中どこにいてもプレーできる。
インターネットに繋がる環境(スマホでもできるがPCが望ましい)さえあれば始めることが可能だ。友人でリーグを結成することも、日米で行われているリーグにひとりで参加して楽しむこともできる。
内容を簡単に説明すると、まずは実在するメジャーリーガーから選手を選び、チームを結成する。選んだ選手のシーズン成績そのものがポイント化され、その総合成績を競い合うのだ。
参加したリーグによってそのルールは異なり、リーグコミッショナー(主催者)がロースター(登録人数)などの細かい部分を設定できるようになっている。
このファンタジーベースボールはアメリカのYahoo!(2017年時点で日本での展開はない)、MLB公式サイト、CBS、ESPNなど大手メディアで無料展開されている。一部参加料を払い、賞金を得ることができるリーグもあるが、基本的にはアカウントさえ作成(日本からでも可能)すれば、参加は可能だ。
アメリカのサイトとなるために日本語表記はないが、『本塁打=HR』など馴染みのある単語が多く英語力がなくても楽しむことはできる。
前述した通り、細かいルールはリーグによって異なるが、目的は自分自身のチームを優勝に導くことである。故障者や調子の良し悪しなどを見極め、選手の入れ替えを行いながら運営するところに醍醐味がある。
リーグの形式は大きく2つ
ファンタジーベースボールには大きく分けてふたつのリーグ形式がある。Rotisserie(以下ロト)とHead−to−Head(以下H2H/読み:ヘッドトゥーヘッド)と呼ばれるものだ。
ロトは本塁打や勝利数といった数字を積み上げ、年間を通じてリーグ内の参加者の中で相対的に優劣を決めるリーグだ。例を挙げよう。
(例)
- チームA:本塁打10本、打点60、打率.300、勝利数10、セーブ数30
- チームB:本塁打20本、打点50、打率.350、勝利数10、セーブ数40
- チームC:本塁打15本、打点30、打率.250、勝利数20、セーブ数25
3チームで行なったリーグにおいて年間を通じて上記の成績で終わった場合は
- チームA:本塁打3位(1)、打点1位(3)、打率2位(2)、勝利数2位(1.5)、セーブ数2位(2)、合計(9.5)
- チームB:本塁打1位(3)、打点2位(2)、打率1位(3)、勝利数2位(1.5)、セーブ数1位(3)、合計(12.5)
- チームC:本塁打2位(2)、打点3位(1)、打率3位(1)、勝利数1位(3)、セーブ数3位(1)、合計(8)
このようになりチームBが優勝となる。()内はリーグ内における相対的順位に基づいたポイントだ。本塁打や打点といった各カテゴリーはリーグのコミッショナーによって定められており、リーグごとに異なっている。
しかし、一般的には「5×5」と呼ばれる打者5カテゴリー(得点、本塁打、打点、打率、盗塁)、投手5カテゴリー(勝利数、セーブ数、奪三振、防御率、WHIP)で優劣を競うことが多い。
もちろん、そのほかにも多くの指標を選ぶことはでき、打者であれば失策数や三振数など少ない方が良いものが、カテゴリーとして定められているリーグもある。本塁打数が多い長距離打者を獲得すると三振数が増えこちらではポイントを獲得しにくくなる。
そういった、バランスを考えながらチームを運営していくのだ。
もうひとつのルールがH2Hだ。こちらは1週間ごとにリーグ内のチームと対戦し、各カテゴリーごとに勝敗をつける。
シーズン終盤まで毎週行い、リーグで定められた上位チームがプレーオフのトーナメントにおいて優勝を決める。
例を挙げよう。
(例)
- チームA:本塁打10本(負)、打点60(勝)、打率.300(負)、勝利数10(分)、セーブ数30(負)
- チームB:本塁打20本(勝)、打点50(負)、打率.350(勝)、勝利数10(分)、セーブ数40(勝)
この場合、チームBが3つのカテゴリーでチームAを上回っており、3勝1敗1分で勝利となる。この勝敗を積み上げシーズンを通して勝率を競うことになるのだ。
またリーグによっては総取りとしていることもある。この例の場合だとチームAが1勝という具合だ。いくつのカテゴリーで勝利しても1勝は1勝という計算方式である。
Yahoo!の場合では開幕から22週目までがレギュラーシーズンとなり、残り3週でプレーオフを行なっている。これは各サイトによって異なるので注意が必要だ。
このように週ごとで勝ち負けを決め最終的にその勝率で順位を争い、プレーオフを経て優勝を決めるのである。
手に汗握るドラフト会議
ここまで、大枠のルールを説明してきた。最後はドラフトについて説明したい。リーグに参加したらドラフトによって自身のチームを作ることになる。
ドラフト日程はリーグコミッショナーが任意で定め、参加する前に決まっていることが多い。もちろん、ドラフトに参加しなくても楽しめるゲームではある。
しかしチームを運営するにあたって、ドラフトは非常に重要な役割を果たす。できる限り参加した方がいいだろう。参加しなかった場合は、コンピューターによって自動で選手を獲得することになる。
ドラフト方式は大きく分けてふたつある。ウェーバー方式とオークション方式だ。ウェーバー方式は各チームが順番で選手を獲得していく、スタンダードなものである。
日本プロ野球のドラフトと違い、1巡目で抽選などはない。2巡目以降のように各球団が指名を順番に行なっていくことを想像してもらえればわかりやすいだろう。
もうひとつはオークション方式だ。あらかじめ決められた予算内で選手をオークションにかけながら獲得していく。
たとえば、マイク・トラウトなどの有力選手に大金を投じてもいいし、中堅選手を数多く獲得してもいい。各参加者の戦略が大きく影響するドラフトとも言える。
どちらのドラフトでも同じ選手が複数チームに所属することはない。一度どこかのチームに獲得された選手はリストから消え、他のチームが獲得することはできない。
例えばダルビッシュ有選手が獲得できるのはリーグ内で1球団のみということだ。
ドラフトは各球団の駆け引きがあり、リアルタイムで参加すると手に汗握ることになる。獲得しようと思っていた選手を直前でさらわれるケースも多い。
MLBの選手名鑑を片手に参加することをお勧めしたい。
簡単ではあるが、ファンタジーベースボールの概略を紹介した。MLBのルールや選手を覚えるために手頃で最適なゲームでもある。
この機会にはじめてみるのはいかがだろうか。新たなMLBの楽しみ方ができるだろう。