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パリ五輪開幕まで1年、ロシア選手の参加問題どうなる?

2023 7/23 06:00田村崇仁
イメージ画像,ⒸSvet foto/Shutterstock.com
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ロシアとベラルーシに招待状は発送せず

1世紀ぶりに開催されるパリ五輪は7月26日で開幕まであと1年。世界有数の観光名所が舞台となる「花の都」で3度目の華やかな祭典に期待が高まる中、長引くロシアのウクライナ侵攻で国際情勢は揺れ動く。

政治に干渉されない「スポーツの独立性」が理想とはいえ、現実は困難な壁に直面。大半の国際スポーツ大会から除外されてきたロシア選手の参加問題は一体どうなるのか?

国際オリンピック委員会(IOC)は7月13日、開幕1年前になる7月26日に各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)への恒例の招待状について、ロシアとその同盟国ベラルーシに現時点では送付しない異例の方針を公表した。

ただし、これでロシア勢のパリ五輪への道が閉ざされたわけではない。IOCはウクライナをはじめ欧州各国のボイコット騒動も予想されるため、ロシアの五輪参加可否は「適切な時期に決定する」としており、事態の推移を見守りながら先送りしているのが現状だ。

ロシア側は最大180人出場を予想?

ロシアのタス通信によると、マティツィン・スポーツ相は5月、パリ五輪でサッカー、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、ホッケーなど8の団体競技でロシアが不参加となる見通しを明らかにしている。その上で個人競技で最大約180人の出場を予想した。

IOCは3月下旬にロシア勢の国際大会復帰へ向け、個人資格の「中立」選手に限定するなど13項目の条件を各国際競技連盟へ勧告。団体競技での出場や軍、治安当局の所属選手は認めない方針を打ち出した。両国選手は「個人中立選手(AIN)」と位置付けられ、国歌や国旗も禁じる。

こうした流れを踏まえてロシア勢の復帰を容認する競技団体も増えてきた一方、陸上やサーフィンなど除外を継続する団体もあり、対応はさまざま。スポーツ界にもロシア勢を巡って「断絶」が生じているのが現実だ。

9月の杭州アジア大会は特例でロシア勢参加容認

膠着した状態で一つの試金石となりそうなのが、9~10月の杭州アジア大会(中国)だろう。アジア・オリンピック評議会(OCA)は7月8日、ロシアとベラルーシ選手の参加を正式に承認し、計500人の参加枠を設ける方針を示した。いわばロシア勢の「受け皿」となり、パリ五輪への参加資格をアジアでサポートするという考えだ。

しかし、事態はそう簡単ではない。5月の世界柔道選手権ではロシアとベラルーシ勢が個人の中立選手(AIN)として復帰したが、反発したウクライナは政府の指示に従ってボイコット。他の競技でも同様な反応は起きている。ウクライナの選手たちは皮肉にも侵攻された側の戦争で、逆に出場機会を奪われる複雑な現実に直面している。

パリ五輪予選が本格化する中で、IOCが各大会での判断を競技団体に事実上「丸投げ」したことに不満の声も出ている。 果たしてIOCは頭の痛いロシア参加問題をどう解決するのか―。政治とスポーツ、理想と現実という狭間で極めて困難なハードルとなりそうだ。

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