モータースポーツやクリケットも含む9競技
2028年ロサンゼルス五輪で野球・ソフトボールや日本発祥の空手は復帰できるのだろうか。
ロイター通信や五輪メディアが報じたところによると、東京五輪から導入した開催都市が提案できる「追加競技」の候補として、野球・ソフトや空手のほか、ブレイクダンス(ブレイキン)、クリケット、フラッグフットボール、ラクロス、キックボクシング、スカッシュ、モータースポーツの9競技が最終候補に残った。サンボやフライングディスクは落選したという。
新型コロナウイルスの影響で史上初めて1年延期された東京五輪では野球・ソフトや空手をはじめ、若い世代に人気の都市型スポーツのスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの5競技、2024年パリ五輪では初採用のブレイクダンスと東京大会でデビューしたサーフィン、スケートボード、スポーツクライミングの4競技が追加競技入りしている。
国際オリンピック委員会(IOC)は開催都市によるプレゼンテーションを今後受け、2023年5~6月のIOC総会(ムンバイ=インド)で決定する見通しという。
男女混合のベースボール・ファイブ(B5)も推進
米国でも人気がある野球・ソフトボールや空手は五輪復活へ最初の関門を突破した形だ。そもそも追加競技は開催都市で人気の競技を実施して大会を盛り上げるのが狙い。既存施設も活用できる利点も踏まえればチャンスは広がったが、まだまだ予断を許さない。
世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は競技普及の切り札として、5人制でゴムボールを手で打つ男女混合のベースボール・ファイブ(B5)を推進。球場を必要としない都市型スポーツの側面もあり、アフリカでの普及にも力を入れるなどIOCにアピールする。
ソフトボールの国際親善試合、日米対抗が8月6日、東京五輪会場となった福島県営あづま球場で行われ、東京五輪で金メダルに輝いた日本が銀メダルの米国に2―1でサヨナラ勝ちした。新エース候補の後藤希友(トヨタ自動車)が13三振を奪って完投するなど、若い世代も着実に育っている。
ラクロスは120年ぶり復帰、フラッグフットはNFL支援
野球・ソフトや空手にとって、ライバル視されるのはパリ五輪で華やかにデビューするブレイクダンス、120年ぶりの五輪復帰を目指すラクロス、アメリカンフットボールNFLの支援を受ける5人制のフラッグフットボールあたりだろう。
ブレイクダンスは1970年代に米ニューヨークの貧困地区で、ギャングの抗争の解決手段としてダンス対決が用いられたことが起源といわれる。ヒップホップ文化が流れ、ロスでも若者を中心に盛んだ。
アメリカンフットボールから接触プレーをなくした形のフラッグフットボールはタックルの代わりに相手が腰につけた旗(フラッグ)を奪う手軽さをアピール。パスやランでタッチダウンを奪うルールは本家アメフトと同じでもある。
北米発祥で愛好家も多いラクロスは、アイスホッケーと並ぶカナダの国技と呼ばれる。先端に網の付いた棒で硬質ゴム製のボールを操り、相手ゴールを狙って得点を競うスポーツで日本でも学生の間では盛んだ。近代五輪の初期、1904年セントルイス大会と1908年ロンドン大会で実施され、カナダが連覇を果たしている。
モータースポーツは電動カートで五輪入り?
追加競技で異色の存在がモータースポーツ。五輪メディアによると、2018年、ブエノスアイレスで行われたユース五輪では電動カートのデモイベントを実施している。
クリケットは日本ではなじみが薄いが、英連邦諸国を中心に世界に10億人超のファンがいる人気スポーツ。2チームで争われた1900年パリ五輪以来の復活を狙う。試合形式は数日にまたがるものから3時間で終わるものもあり、デメリットはその試合時間とみられるが、短時間方式の提案で復帰運動を展開している。
ロス五輪は参加選手の総数が上限1万500人。チーム競技は選手数が増えるため不利との見方もあるが、来年の決定に向けて水面下で駆け引きが展開されそうだ。
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