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日本初開催のXゲームズ、若者が熱狂する新世代スポーツの魅力とは

2022 4/28 11:00田村崇仁
堀米雄斗,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

1995年創設、スケボーや自転車BMXのプロ競演

1995年に米スポーツ専門局ESPNが創設した「Xゲームズ」と呼ばれる新世代のスポーツ大会が日本に初上陸した。

スケートボードや自転車BMXなど「アクションスポーツ」で世界最高峰の国際総合大会「Xゲームズ」が4月24日まで千葉市のZOZOマリンスタジアムで行われ、東京五輪のメダリストら世界のトッププロたちが観客を熱狂させた。

「エクストリーム(極限の)スポーツ」とも呼ばれる競技を複数、同時に実施する形式で、これまで米国をはじめ欧州や中東、南米など世界12カ国で開催され、延べ600万人以上が観戦。テレビ放送やユーチューブ、SNSを通じても世界の若者を中心に視聴者を魅了し、急成長を遂げている新たな分野でもある。

夏季はスケートボード、BMXフリースタイルやモトクロス、冬季はスノーボードやフリースタイルスキーなどを実施。出場選手は主催者が招待するトッププロに限られる。

今大会、東京五輪のメダリストが一堂に会したスケートボードのストリート男子は五輪覇者の堀米雄斗(ミクシィ)が優勝し、2019年米国大会以来2度目の制覇。15歳の池田大暉が2位、五輪代表の白井空良(ムラサキスポーツ)が3位に入り、日本勢がXゲームズの同種目で初めてメダルを独占した。女子ストリートは五輪銅メダルの中山楓奈(ムラサキスポーツ)が準優勝した。

スケートボードの女子パークでも東京五輪金メダルの四十住さくら(ベンヌ)が初優勝を飾り、五輪銀メダルの開心那(WHYDAH GROUP)は2位。3位の手塚まみと合わせ日本勢が表彰台を独占した。自転車BMXパーク決勝に出た中村輪夢は6位だった。

音楽やファッションとも融合

Xゲームズは音楽やファッションとも融合し、五輪の伝統競技とは一線を画し、観客がフェスティバルのように楽しめる雰囲気も魅力の一つだ。今大会は海外でも人気のロックバンド「MAN WITH A MISSION」がライブ演奏。普及促進のためスタジアムの外周にはスケートボードやBMXの体験エリアが設けられ、家族連れのにぎわいを見せた。

若者の五輪離れを懸念する国際オリンピック委員会(IOC)もこうした新世代のXゲームズを「アーバン(都市型)スポーツ」と呼んで注目し、東京五輪でスケートボードやBMXパークが初採用された。2024年パリ五輪でもブレイクダンスが初めて実施される。

スケボーの堀米は表彰式後、2月の北京冬季五輪スノーボード男子ハーフパイプで金メダルを獲得した友人の平野歩夢(TOKIOインカラミ)から祝福を受ける場面も。こうした競技を超えた自由な交流も人気を加速させている要因の一つだ。

今大会は東京五輪で盛り上がったアーバンスポーツをレガシーとして活性化していく最高の機会となった。Xゲームズは世界中の若いファンが見るため、日本にとっても開催地となる千葉にとってもプロモーションにつながる大会誘致戦略。来年以降も継続的に開催を目指す動きがあり、今大会も日本勢の躍進が際立ったXゲームズ。発祥の本場米国のように日本でも人気が定着するかが注目されそうだ。

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