「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

注目の北京五輪開会式、2008年は少女の口パクや花火の映像偽装で物議醸す

2022 2/2 11:00田村崇仁
2008年の北京五輪,Ⓒゲッティイメージズ

Ⓒゲッティイメージズ

開会式の総監督は2008年に続いて張芸謀氏

2月4日に開幕する北京冬季五輪の開会式は中国の著名な映画監督、張芸謀(チャン・イーモウ)氏が2008年の北京夏季五輪に続いて総監督を務めることになった。

張氏はベルリン国際映画祭で最高賞を受賞した「紅いコーリャン」や高倉健さんが主演した「単騎、千里を走る。」などの作品で知られる中国を代表する映画監督だ。

前回は大会の理念やメッセージを世界に発信する象徴的な式典を巡り、巨大国家の「人海戦術」を駆使して約4時間で1万5000人が出演。中国の56民族から1人ずつ選ばれた子どもたちが中国国旗を持って入場して民族団結をアピールした。

クライマックスでは宙につり上げられた1984年ロサンゼルス五輪の体操男子金メダリストで国民的英雄の李寧氏が聖火を持って観客席上方を空中で走るように見せる「雑技団」顔負けの芸当で1周し、最後に聖火台下の導火線に火を付けて世界を驚かせた。

一方で、少女の歌声の「口パク」や花火の合成映像、少数民族代表のはずが漢民族といった数々の過剰な演出や「偽装」問題が発覚し、国内外に波紋を広げて物議を醸した。

革命歌曲の口パク、花火で描いた巨人の足形

「中華民族100年の夢」とうたわれた式典は、中国国旗が五輪メイン会場の国家体育場(鳥の巣)に入る際、9歳の少女が革命歌曲を披露したが、実際には「口パク」で、別の7歳少女(いずれも年齢は当時)が歌っていたことが判明。式で打ち上げられた花火で描いた「巨人の足形」の映像もコンピューターグラフィックス(CG)による合成映像が使われたことも明らかになった。

「口パク」は中国最高指導部メンバーの指示に基づいていたこともその後の報道で分かり、「挙国一致」のイメージ作戦が背景にあることが浮き彫りに。「一つの世界」のスローガンと裏腹に中国の異質さを世界に印象づけた。

中国メディアによると、この騒動以降はコンサートなどで歌手が「口パク」をしたり、録音済みの曲を生演奏のようにみせかけて流したりすることを禁じる規定を公表している。

今大会は新型コロナウイルスの影響で1時間40分以内に短縮して出演者も3000人ほどと見込み、科学技術や環境保護といった要素を盛り込んだ内容になるというが、どんな国家の威信を懸けた演出になるか注目される。

プーチン大統領や国連事務総長ら開会式出席

中国の人権問題に抗議して米国や英国が政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を表明する中、開会式には25カ国から国家元首などが出席する予定だ。

中国政府によると、ロシアのプーチン大統領、カザフスタンのトカエフ大統領、サウジアラビアのムハンマド皇太子、セルビアのブチッチ大統領、アルゼンチンのフェルナンデス大統領、パキスタンのカーン首相、国連のグテーレス事務総長などが訪問する。

ロケット弾55発で「人工降雪」作戦も

開幕が迫る北京冬季五輪では開会式を前に前代未聞の作戦も展開されている。地元メディアによると、スキー・ジャンプなどの競技が行われる張家口では人工的に雪を降らせる目的で雪雲に向けてロケット弾55発を次々と撃ち込み、周辺では1センチほどの積雪が確認されたと伝えている。

前回の2008年大会では開会式で中国政府が事前に雨雲にロケットで化学物質を撃ち込んで雲を減少させる「人工消雨」作戦も実施。効果は明らかにされなかったものの、本番は曇り空の下で挙行され、雨が見込まれた閉会式でも人工消雨ロケットが打ち上げられた。

最終点火者はトップシークレット

さらに毎回トップシークレットとされるのが聖火の点火方法だ。1998年長野冬季五輪ではフィギュアスケート五輪銀メダリストの伊藤みどりさんが能をイメージした衣装で聖火台に点火。1994年リレハンメル冬季五輪では、スキーのジャンプ台から聖火を持ったジャンパーが飛んできた。

2008年の北京大会では「体操王子」の愛称で親しまれた李寧氏が最終点火者となり、ワイヤーにつられて競技場の屋根の端を1周してから点火した。今回の北京冬季大会ではどんなサプライズが待っているのか。世界が注目している。

【関連記事】
北京冬季五輪の外交ボイコット、政治利用に反対するIOCバッハ会長の思惑
混迷の東京五輪開会式、歴代式典は口パクやハト焼死で物議も
オミクロン株が北京冬季五輪を直撃、フィギュア海外組は特例で練習容認

 コメント(0件)