日本人の平均睡眠時間は1日あたり「6時間22分」で主要14ヵ国中最下位
日常の睡眠時間を計算したことはあるだろうか。人間は生涯の約3分の1を睡眠にあてていると言われ、睡眠は人々の生活になくてはならないものとなる。
しかしながら、日本人の平均睡眠時間は非常に短い。フランスの企業Withings社が、日本を含めた主要国14カ国の睡眠データを分析した結果、日本は平均睡眠時間が最も短く6時間22分であることが報告されている。
このような睡眠時間減少の理由には、パソコンやスマホの普及による生活の夜型が進んでいることや、日本人の睡眠に対する意識の低さが原因として挙げられている。
睡眠時間の減少は、生活習慣病やうつ病、認知症など様々な病気のリスクを高めることは周知の事実だが、健康面への影響のみならず体型の変化にも大きな影響をもたらすことはご存知だろうか。
短時間睡眠は筋トレの効果を低下させ、さらには肥満の原因にもなるのだ。
4時間睡眠は通常の60%以下のテストステロン値
筋トレを行い筋肥大や筋力の向上を目指していくためには、ただ筋トレを行えばよいというものではない。トレーニングにより傷ついた筋肉は、睡眠時に最も修復されて大きく強くなるのだ。
筋肉の修復・発達には、成長ホルモンやテストステロンと呼ばれるホルモンが重要となるが、これらホルモンは睡眠中に最も分泌される。そのため、睡眠時間が少ないと血中の筋肉合成を助けるホルモンを低下さてしまい、せっかく行った筋トレのトレーニング効果を薄めてしまう。
海外の研究によると、1日8時間睡眠の人と比べ4時間睡眠の人はテストステロン値が60%も少なかったことが報告されている。睡眠時間の違いにより、筋肉に必要なホルモンは半分以下になるというのだ。
さらに、睡眠不足が恒常化するとコルチゾールと呼ばれる筋肉を分解するホルモンが増加し、筋肉がよりつきにくい体となってしまうことも明らかとなっている。
睡眠時間の少ない人は最大で45%増の食事を摂取してしまう
また、睡眠不足は筋肉の発達のみならず、肥満にも大きな影響を及ぼす。睡眠を専門に研究するガイ・メドウズ博士の研究によると、毎晩7〜8時間睡眠を取っている被験者と比べ、6時間睡眠の被験者は27%、5時間睡眠の被験者は73%も肥満傾向が増加することを報告している。
このような睡眠と肥満の関係性として、睡眠中は食欲を抑えるレプチンと呼ばれるホルモンが分泌されるが、睡眠不足になるとレプチンの分泌量が減少し、逆に食欲を増加させるホルモンであるグレリン値が増加するというのだ。
つまり、寝不足は普段よりも空腹を感じやすく、満腹を感じにくくなるなど太りやすくなる。
海外の研究では、実際に7〜8時間睡眠の人と比べ5〜6時間睡眠の人は、最大で45%も多くの食事を摂取してしまうことが明らかとなっている。寝不足は知らず知らずのうちに食欲を増やし、体重を増加させてしまうのだ。
睡眠1〜2時間前の入浴は寝付きがよくなり睡眠を助ける
睡眠時間と筋肉の成長や肥満は大きな関係性があるようだ。もちろん、人により適切な睡眠時間には違いがあるものの、平均して7〜8時間の睡眠を取る方がよいだろう。それ以上の寝過ぎはかえって逆効果になることもあるので注意が必要だ。
睡眠の質を高めるためには、睡眠前にカフェインなどの刺激物の摂取をさけながら、睡眠3時間前に食事を済ませておくことで胃腸の働きが減少し、スムーズに睡眠に入ることができる。また、人の体は体温が下がることで眠気を感じるため、寝る1〜2時間前にお風呂に入ることで、布団に入った時に寝付きがよくなるだろう。
睡眠は、健康面への悪影響のみならず体型の変化にも大きな影響を与える。太りにくく、逞しい体を作るために毎日の睡眠時間を大切にしていきたい。
《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。
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