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コロナ禍で歩数激減…加圧トレーニングで運動不足を効率的に解消しよう

2021 8/29 06:00近藤広貴
1日の歩数が減っている,ⒸWachiwit/Shutterstock.com
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ⒸWachiwit/Shutterstock.com

コロナ禍で成人の3割は1日あたりの歩行数が3000歩以下

新型コロナウイルスが全世界に猛威を振るってから早1年半の月日が経つ。日本国内の感染者数は1日あたり2万人を超える日があるなど感染拡大が著しい。

新型コロナウイルス対策として多くの企業がテレワークなど在宅勤務制を導入し感染のリスクを減らしている。このような対策は感染リスクを減少させるメリットも多い反面、健康面へ2次被害をもたらす危険性がある。

厚生労働省の「健康日本21」によると、コロナ感染拡大以前の成人1日あたりの平均歩行数は男性7234歩、女性6431歩であること報告している。しかし、株式会社リンクアンドコミュニケーションがコロナ感染拡大以降に行った調査では、テレワークなどによって平均歩数が急激に減り、1日あたり3000歩未満の割合が3割以上に上ることが明らかとなった。

コロナ禍は在宅勤務や様々なイベントの中止、スポーツ施設の利用制限など着実に人々の活動量を減少させている。活動量の低下は運動不足につながり「コロナ太り」からくる生活習慣病や筋力の低下など身体面へ悪影響をもたらすのだ。

加圧トレーニングは通常のトレーニング時よりも20〜100倍の成長ホルモンを分泌

外出自粛により自宅での生活が多くなったコロナ禍では、自宅での効率的な運動が求められる。とはいえ、ランニングマシンやウエイト器具は価格が高く手が出しづらい。

そのような中で、自宅での効果的なトレーニングとして着目したいのが加圧トレーニングである。加圧トレーニングとは、腕や足の付け根部分にベルトを巻いて血流を抑制しトレーニングを行うものだ。

通常、トレーニングを行うと糖の分解により筋血管内で乳酸が作られる。筋血管内の乳酸量が増えることで脳内のホルモン分泌部位が刺激され、成長ホルモンを分泌し筋肉が発達していくのだ。

加圧トレーニングを行うことにより、筋血管内の血流を制限した状態でトレーニングを行うことができ乳酸濃度が急激に高まる。この急激な乳酸濃度の向上が脳内のホルモン分泌部位へ強い刺激を与え、通常のトレーニングより多くの成長ホルモン分泌を促すのだ。

東京大学の石井直方教授によると加圧トレーニング時の成長ホルモン量は、加圧しない場合と比べ20〜100倍の成長ホルモンが分泌されるという。

その結果、加圧しない高負荷でのトレーニングと比べても加圧した低負荷のトレーニングの方がより筋発達したことが報告されている。

腕立てやスクワットなど自宅でできる簡単なトレーニングでも、より大きなトレーニング効果を得ることができ、運動不足からくる体力の衰えを解消できるだろう。

また、成長ホルモンには筋肉の増加にとどまらず、基礎代謝の向上に伴うダイエット効果や、美肌効果など多くのメリットを得ることができ一石二鳥と言えそうだ。

加圧トレーニングは週2回の頻度で1回あたり30分ほどの短時間

加圧トレーニングを行う際は、スポーツショップなどに売られている加圧トレーニング専用の加圧ベルトを腕や太ももの付け根に装着してトレーニングを行う。

トレーニング頻度としては週2回ペースで1回あたり20分〜30分のトレーニングで十分成長ホルモンを分泌できる。腕立て伏せやスクワットなど各トレーニングを20〜30レップス×3セット行えば十分だ。

注意点としては、加圧トレーニングは血流を制限するため1時間や2時間など長時間のトレーニングは貧血などを引き起こす危険性がある。

また、加圧トレーニング開始時は圧をかけすぎないよう軽めの加圧から徐々に慣らしていくと良いだろう。加圧で加える圧力は、自身の年齢やトレーニング歴などによっても違いがあるため、自身に適した圧力を知りたい場合は、専門のトレーナーの指導を受けると良い。

コロナ禍による自粛生活は運動不足による健康面への2次被害をもたらす。加圧トレーニングにより、自宅にいながらの自重トレーニングで成長ホルモンを分泌させて健康的な体を手に入れよう。

《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。

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