スケートボードは金3個含むメダル5個
若年層に人気があり、東京五輪で初めて実施されたスケートボードやスポーツクライミングなどの「都市型スポーツ」で、日本勢は世界中にインパクトを残す活躍を見せた。
音楽やファッションとも融合し、手軽に屋外や路上などで楽しめる雰囲気が魅力の都市型スポーツは、若者の五輪離れを懸念する国際オリンピック委員会(IOC)が注目する新規開拓の分野だ。
10代が目立ったスケートボードでは堀米雄斗(XFLAG)や西矢椛(ムラサキスポーツ)、四十住さくら(ベンヌ)の金3個を含む計5個のメダルを量産。スポーツクライミングは、女子で野中生萌(XFLAG)が銀、野口啓代(TEAM au)が銅と二枚看板が表彰台に上がった。
今大会は新型コロナウイルス禍で「無観客」となったが、五輪の伝統競技とは観戦スタイルも一線を画す。本来なら立ち見の観客も含めて盛り上がる新競技だ。
そこには国を背負う悲壮感がない。スケートボードのパーク女子決勝で、金メダル候補だった岡本碧優(MKグループ)が最後の試技で着地に失敗すると、他国の選手たちが誰彼となく駆け寄って抱き抱え、挑戦をたたえたシーンはまさに象徴的だった。価値観が多様化し、転換期を迎えた五輪に新たな風を吹き込んだのは間違いない。
ブレイクダンスの河合来夢、半井重幸はメダル候補
3年後のパリ五輪で新採用される都市型スポーツ、ブレイクダンスでも日本勢は有力選手が揃う。8月8日の東京五輪閉会式に登場した、2018年ユース五輪(ブエノスアイレス)2冠の河合来夢もメダル候補の一人だ。
もともと1970年代の米ニューヨークでギャングの抗争をおさめるために生まれたとされ、自由なヒップホップ文化として発展した競技。ユース五輪で銅メダルだった男子の半井重幸も世界大会で優勝するなど、五輪の初代金メダル候補として名前が挙がる。
勢力図の変化は今後予想されるものの、都市型スポーツの会場が特設されるパリ中心部のコンコルド広場でも日本勢に大きな期待が広がりそうだ。
自転車BMXの申し子、中村輪夢も期待
スケートボードは男子ストリートで22歳の堀米が独創的な技で頂点に立ち、メダルラッシュの口火を切った。
女子ストリートは西矢が日本勢史上最年少の13歳で金メダルに輝き、16歳の中山楓奈(ムラサキスポーツ)が銅メダル。女子パークは19歳の四十住が制し、12歳で夏季五輪日本選手最年少出場だった開心那(WHTDAH GROUP)も2位と躍進。いずれもまだ十分な伸びしろがあり、パリ五輪に向けて展望は明るい。
自転車BMXの新種目フリースタイル・パークの男子で、メダルを期待されながら5位に終わった19歳の中村輪夢(ウイングアーク1st)は、車輪と五輪の二つの「輪」に由来する名前を持つ自転車BMXの申し子。その実力は世界も認めており、パリ五輪でのリベンジに燃えている。
サーフィン、クライミングでも飛躍の日本勢
新競技のサーフィンでも男子で23歳の五十嵐カノア(木下グループ)が銀、女子で20歳の都筑有夢路が銅メダルを獲得。日本勢はブラジルや米国、オーストラリアの強豪と堂々と渡り合った。次回パリ五輪の会場はフランス領ポリネシアのタヒチでの分散開催。五十嵐らの背中を追う次世代の台頭も期待される。
スポーツクライミング女子は総合力の高さを示した野中が2位に入り、現役最後の大会となった第一人者の野口から次のエースへバトンはしっかりと引き継がれた。
金メダル候補だった男子の楢崎智亜(TEAM au)はスピードのミスが響いて4位に終わったが、3年後のパリの舞台へ雪辱の機会を待っている。
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