ロレンソの電撃引退で動いたストーブリーグ
2020年の移籍話が急激に動き始めたのが最終戦バレンシアGPだった。通算5度の世界王者に輝き、今年からレプソルホンダに移籍するも、マシンとの相性や度重なる怪我が原因で成績を出すことができずにいたホルヘ・ロレンソ。1年契約が残っていたものの「モチベーションがなくなった」ことを理由に引退を発表した。
デビュー以来、常に表彰台に乗る強さを誇り、調子の良い時のロレンソを止めることは至難の技と言われるほど強かった。250ccで2度、MotoGPクラスで3度の世界チャンピオンに輝いた名ライダーが今年は怪我やマシンとの相性に苦しんだ。モチベーションがなくなれば、このような危険で厳しい世界を戦うことができないのは誰もが理解していることであるが、ロレンソの引退はMotoGP界に衝撃を与えた。
MotoGP界きってのスピードを誇ったロレンソの引退により、急遽ホンダのファクトリーチームの座がひと枠空くことになった。レプソルホンダに収まるのはホンダ系ライダーのLCRの二人に、中上貴晶の代役を務めたヨハン・ザルコが有力候補であり、また今年Moto2でチャンピオンに輝いたアレックス・マルケスの名前が挙がっていた。
そして正式なリリースが発表され、アレックス・マルケスがレプソルホンダに加入することが決まった。兄であるマルク・マルケスと共にレプソルホンダで戦うことになったのだ。
デビュー以来、圧倒的な強さを見せつけ、MotoGPの頂点に君臨しているマルク・マルケス。そのマルクの弟がチームメイトになるというなんとも興味深い組み合わせになった。アレックスは時間がかかりながらもMoto3、Moto2のチャンピオンを獲得している有能なライダーだ。MotoGPクラスで、しかもチャンピオンである兄を相手にいきなり活躍することは厳しいだろうが、アレックスは1年契約のため結果を早めに出さなければいけない。最高峰クラスで夢の兄弟対決が見られるのかに注目したい。