前戦のトラブルが解決せず臨んだレースで力走
9月3日と4日にパドボーグパークでF4デンマーク選手権第5戦が行われた。同シリーズ参戦2年目となる野田樹潤は度重なるアクシデントやトラブルに悩まされている。
前戦ユランスリングで行われた第4戦は野田にとって厳しいレースとなった。
ヒート1ではグリッド上で、ヒート2ではフォーメーション中にエンジンストールしレースをすることすらできなかった。実はこの症状はフリー走行の時点でも見受けられていた為、野田自身もある程度覚悟していたという。
原因究明に努めるも解決策が見えない中、燃費の安定を図るために、燃料を満タンにしてヒート3に臨むことに。もちろん必要以上に燃料が積まれるためマシンが重くなり、加速・ブレーキング・コーナリング、そしてタイヤにも厳しい状況となったが、幸いにもトラブルが出ることはなく、最後尾スタートながら怒涛の追い上げをみせ4位でフィニッシュした。
厳しいレースの中でも最善の結果を残し臨んだ今回のレースだが、原因不明のトラブルは解決できないままだった。今回も燃料を多めに入れる作戦を取らざるを得ない難しい状況の中、チームもできる限りのセッティングを施し、予選では3番手を獲得した。
ヒート1は3番手から順当なスタートで順位をキープ。2周目に2位のマシンがスローダウン、ストップし、自動的に野田は2位に浮上するが、背後からランキングトップのMads Hoeがプレッシャーをかけてくる。
マシンの状態が悪く、2周目から常に1秒以内につけられる緊迫したレース展開が続く中、野田は落ち着いてポイントリーダーの猛攻を防ぎ切り2位でフィニッシュ。0.6秒差という接戦を制し開幕戦以来の表彰台を獲得した。
照準を合わせていたヒート3は残念な結果に
ヒート2はヒート1のリバースグリッドでのスタートとなる為、野田は7番手からのスタートとなった。得意のスタートダッシュを決め、イン側にマシンを入れ一気に3位に浮上。次の2コーナーの切り返しで4位になるも、4周目のホームストレートでアウトから仕掛け、2コーナーでイン側をとり3位浮上。見事なオーバーテイクみせそのまま3位でゴールし、連続で表彰台に上がった。
野田は自らの走りで流れを掴みかけていた。ただ結果を出すだけでなく、ヒート3に向けてニュータイヤを温存していたのだ。ポールポジションからのスタートが決まっている野田にとって、ヒート3の目標は優勝のみであった。
そしてヒート3、ポールポジションから抜群のスタートを決め、いきなり後続を突き放していく野田。しかし1周目に車両の右側のボディが外れるというアクシンデントが発生。1周目の終わりに緊急ピットインし応急処置を施しレースに復帰するも、再びピットインし無念のリタイヤになってしまった。
残り2戦は勝つことに集中
今シーズンは開幕戦で表彰台に登るも、以降はアクシデントや失格、トラブルなどで思うような結果が残せずにいた野田。今年は残り2戦、6レースのみとなり、チャンピオンシップ争いは非常に厳しい状況となってしまったが、勝つことだけに集中できる状況とも言える。
昨年から海外デビューを果たした野田だが、デンマーク選手権、そしてアメリカF4でのフリー走行など、トラブルやアクシデントさえなければ、文句の付け所が無い走りを披露している。
これまで駆け引きにとらわれるあまり、好機を逃してしまったこともあるが、レースの経験値でいうと致し方のない部分でもあり、今回はその反省を生かし、見事なパフォーマンスを発揮した。
次戦は野田が海外デビューでいきなりポールトゥウィンを達成した思い出のサーキットだ。そこで勢いを取り戻し、最終戦は悔しい思いをしたユランスリングで勢いそのままにリベンジを果たしてもらいたい。良い結果でシーズンを締めくくれることをファンは祈るばかりだ。
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