傾向からは地方馬にもチャンスあり
8月12日に盛岡競馬場でクラスターC(JpnⅢ・ダート1200m)が行われる。マーキュリーCの時に「地方競馬場では珍しく高低差が4.4mもあり、逃げ一辺倒では難しいコースともいえる」と書いたが、このクラスターCは距離が1200mということもあって前へ行った組が有利な傾向にある。特にここ2年は先行した3頭で決まっており、なおかつ1分9秒前後のスピード決着。スピード重視の予想が馬券GETへの近道といえる。その他のクラスターCの傾向は以下の通り。
①年齢、斤量は不問
2010年、2012年に10歳馬が馬券に絡んでいるように年齢は不問。また、負担重量が改定された2016年にはダノンレジェンドが60キロを背負って勝利。昨年も背負い頭のネロが2着。斤量の差は実力で埋まる差ということのようで、それほど気にしなくていい。
②地方所属馬がよく絡む
このレース、4年連続で地方所属馬が馬券に絡んでる。他の交流重賞に比べると地方馬とJRA所属馬の実力差が小さいのだろう。これはクラスターCだけでなく、短距離の交流重賞で同様の傾向が見られる。
③リピーターがよく来る
昨年はラブバレット、一昨年はブルドッグボス、そして3年前はダノンレジェンドと、以前に上位に来たことがある馬がまた来る傾向にある。今年も過去馬券に絡んだ馬が出走しているが、これらには要注意だ。
コパノキッキングに死角あり
これらの傾向を頭に入れつつ予想に入っていきたい。まずはJRA勢の分析。
今年も全体的に小粒な印象だが、話題性十分の馬が出走してくる。それは、藤田菜々子騎手が騎乗するコパノキッキングだ。重賞2着、GI5着の実績と勢いともにナンバーワン。女性騎手初となる重賞制覇の期待もかかっている。馬ごみをさばいて行った前走から、モマれ強くなっており、以前より精神面でも成長しているのは間違いない。
課題があるとすれば、やはりスタートだろう。根岸Sのようにうまく決まればいいが、カペラSや東京スプリントの時のように出遅れる可能性も十分ある。ここ2年はペースが落ち着いたのもあるが、前残りの競馬が続いている。いくら盛岡の直線が長いとはいえ、ここ2走のように直線だけの競馬になると取りこぼす可能性が十分あるとみる。
なので、本命はヤマニンアンプリメ。個人的にこの馬に注目し始めたのは2年前の札幌戦。忘れな草賞(芝2000m)から約5か月ぶりの一戦となったダート1000m。「こりゃ追走に苦労しそう」と思ったのだが、フタを開けてみるとテンからほぼ持ったまま行けたのには驚いた。この時点でオープンまで行けると思ったが、前走で重賞勝ち。こちらが想像した以上の出世だ。
JRAの準オープンやオープンで走っている時は鋭い追い込みが武器だったが、交流重賞では小回りにアジャストして好位からの競馬を収得している。ここにきてさらなる進化を見せている。前で運べる利を生かしてコパノを封じ込められるとみた。
コパノキッキング以外のJRA勢ではヒロシゲゴールド。重賞でも楽にハナを切れるスピードが魅力。ノボバカラは全盛期の勢いはないにしても、森厩舎に転厩してから息を吹き返しつつある。
地方馬ではやはり地元の雄ラブバレット。盛岡でデビューした生え抜きで地元の人気もすごい。このレースに4年連続参戦して3、3、2、3着。中央入りしてから低空飛行が続いていたが、地元に再転入してから連勝と調子を戻しつつある。地元の利を生かして今年も上位を賑わせるか?
ブルドッグボスはJRA、そして浦和と異なる所属で連対の実績。今年は道営所属での出走。1年の休養を2度叩いて、これも上り調子で参戦できるのが何より。鞍上も魅力だ。
メイショウアイアンは前々走が交流重賞で2着。しかも前有利な展開で、差してきたのはこの馬だけ。通用する力があるのは間違いないが、前に行けない脚質がどう出るか。昨年(6着)のような展開だとお手上げ。ペースが流れてくれることを祈るのみだ。
馬券はヤマニンアンプリメが中心。コパノキッキングは発馬が不安とはいえ、地力的にやはり外せない存在。逃げ馬もよく絡んでいるのでヒロシゲゴールド、そして地方勢では1200mの実績が抜群のブルドッグボスを。ラブバレットは先ほどは褒めたが、ちょっと力が落ちているとみて敬遠。大きな波乱はない傾向のレースなので、馬券は4頭に絞って買いたい。
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《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。