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「減量騎手」を自力で卒業したのはわずか20.8% 難関を最速で突破した騎手は?

2020 3/11 06:00三木俊幸
減量騎手スピードランキング
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ⒸSPAIA

自力で減量騎手を卒業したのは20.8%

昨年デビューした岩田望来騎手、斎藤新騎手、団野大成騎手の3騎手がそろってデビューイヤーに30勝以上挙げるなど、多くの若手騎手が活躍をみせている。今回は2004年以降にデビューした騎手たちにスポットを当ててみた。

2004年〜2019年までにデビューした騎手は92人。デビュー5年目未満の騎手は、ベテランに比べると技術で劣るため、特別戦とハンデ戦を除いたレースで減量制度がとられている。

減量マークが取れるのは101勝。 2020年に入って、藤田菜七子騎手が減量騎手を卒業したのは記憶に新しいが、2004年以降に自力で減量を卒業した騎手は20.8%にあたる20人のみとなっている。そうしたことからも若手騎手にとっては、高い壁として立ちはだかっているのだ。

そんな高い壁を早く乗り越えた騎手はどのような顔ぶれだったのか。卒業が早かったトップ5を見ていこう。

見習い騎手スピード卒業ランキング

断トツの1位は、2008年にデビューした三浦皇成騎手の344日。2位の川須栄彦騎手の614日、3位の松若風馬騎手の644日、これまでに1011勝(3月6日現在)を挙げている浜中俊騎手の730日、現在のJRAトップ騎手の一人として君臨する川田将雅騎手は減量騎手卒業までに895日を要していることを考えると、その記録がいかに凄いかということがよく分かるだろう。

1年目で91勝の大活躍

では実際に三浦騎手が減量騎手卒業までにかかった344日を振り返ってみよう。

三浦皇成101勝まで

ポスト武豊としてデビュー時から注目を集め、有力馬への騎乗依頼が殺到。デビューして1か月後の4月にはJRAの競馬学校を卒業した騎手としては初となる1日全12レース騎乗、5月には1週全24レース騎乗を果たした後、8月にはフィフスペトルに騎乗し、函館2歳Sで重賞初制覇を果たしている。

そして9月には騎乗機会8連続連対、10月には武豊騎手が持っていた新人年間最多騎乗554回を更新、1年目を終えて騎乗機会783回、新人年間最多勝91勝をマークした。月別の勝利数をみても、4勝→8勝→9勝→7勝→9勝→14勝→13勝→11勝→10勝→6勝と安定して勝ち星を重ね続けていることが見てとれる。

年が明けても、8勝→5勝とあっという間に13勝を積み重ね、2009年の2月8日に101勝目を挙げて減量騎手卒業となった。

その後は2012年を除いて、重賞を勝利しているものの、GⅠレースでは結果を残せず。加えて2016年には落馬事故で大怪我を負ってしまう。1年間の休養と懸命のリハビリを経て、2017年に復帰し、2019年にはキャリア初の年間100勝を達成するなど、関東では無くてはならない存在となっている。

今年の正月競馬で再び落馬負傷してしまうという不運にも見舞われたが、先週の中山競馬で2か月ぶりに復帰した。華々しいデビューを飾ったが、その後苦難も乗り越えた三浦騎手。正直、競馬の神様はどこまで辛い試練を与えるのかとも思ってしまう。しかし、辛い経験をしたからこそ、得たものも大きいだろう。“2020年第2章”その先には、悲願のGⅠ勝利という結果が待ち受けていることに期待したい。