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【中日新聞杯】カギはレース間隔にあり!トップハンデ55キロの大混戦を徹底分析

2019 12/6 11:00勝木淳
2019年中日新聞杯で本命に推されたタニノフランケルⒸ明石智子

Ⓒ明石智子

12月唯一の古馬芝2000m重賞

師走の古馬芝中距離路線。年内最後の中距離重賞となる今週の中日新聞杯は、進む路線によってGⅠクラスとそれ以下では全く異なる結果を呼ぶ。

トップレベルなら暮れの有馬記念や今週の香港国際競走がターゲットだが、それ以下ならレース選択が極めて厳しい状況である。その上、舞台は中京芝2000mのハンデ戦。「今年のうちになんとかタイトルを」と願う陣営にとっては最後の希望とも言えるレースだが、馬券を買う側にとってはこれ以上にない程、難解な一戦だ。

12月の舞台が中京に移ってまだ3年。過去2年分では頼りないので、中京競馬場の馬場改修から8年目という点を踏まえ、データは過去7年分のものを使用する。

実績上位の重ハンデ馬は信用できる

中日新聞杯過去7年の人気順別成績ⒸSPAIA

超難解とは言いつつ、この7年で1番人気は【2-2-1-2】と複勝率は71.4%でまずまず。1番人気を過剰に嫌うのは避けた方がよさそう。そうは言っても、昨年は12番人気ショウナンバッハが2着で馬連は15,830円だった。今年はトップハンデが55キロと、メンバーレベルは「低調」と「波乱」の二文字がチラつく。

9番人気【0-2-0-5】(複勝率28.6%)までは警戒が必要かもしれないが、10番人気以下は3着までに来た例がショウナンバッハを含めた3頭のみ。過剰な人気薄から軸を選ばない方がよさそうだ。

中日新聞杯過去7年の斤量別成績ⒸSPAIA

では、トップハンデ55キロというハンデはどう読めばいいだろう。斤量別成績でみると、もっとも率がいいのは57.5~59キロの【1-1-0-5】。ただ、重いハンデを背負わされた馬は過去7年でたった7頭と、そもそも今年だけに限らず少ない。特に、12月施行になってからは激減。昨年は該当馬がゼロ、2017年は57.5キロ2頭(うちミッキーロケットが1番人気で2着)のみ。そもそも57.5キロ以上を背負うような実績馬は王道路線を歩むため、谷間であるこのレースに出走する馬自体少ないのだろう。

ハンデ戦の基本は、斤量が軽い馬ではなく重い馬を狙うこと。55キロのアイスバブル、タニノフランケル、マイネルサーパス、ラストドラフト、ロードヴァンドールはチェックしておきたい。ちなみに、53.5~55キロ、【3-5-2-45】、複勝率18.2%だ。これ未満の軽い斤量を背負った馬は過去7年で馬券圏内に入っていない。

前走着順と出走間隔が勝敗に大きく左右する

中日新聞杯過去7年の前走着順別成績							
ⒸSPAIA

様々なファクターを勘案して確定ハンデをつけるのがハンデキャッパーだが、なかでも特に重視されるのが前走着順。そこで前走着順別成績を比較していくと、面白いことに前走オープンクラスを勝った馬は3着以内ゼロと阿鼻叫喚の結果に。

これは、連勝できるような強い馬が出走しないということなのだろうか。それなら、前走オープン2~4着の成績がよくて(どのレンジも複勝率は37.5%以上)、大敗から巻き返えさずともそこそこ走って勝てなかった馬を狙うべきか。

ちなみに、10着以下からの激走は【2-2-4-33】。複勝率19.5%では連下評価が妥当だろうか。一方、下級条件を勝った勢いでここを突破した例は春開催での施行だった2014年マーティンボロのみ。

最初に述べたように「シーズン末期で、ローテーション選択の少なさ」というシチュエーションを意識しておきたい。どの馬も年末調整的に勝ちたいので、これは師走競馬全体にも当てはまることなので、ぜひ考え方を応用してほしい。

まず、この時期の厩舎事情を意識するということ。リーディング争いも大事だが、各厩舎の年間勝利数の目標達成や馬主サイドの「年内にひとつでも勝ちたい」という思惑を知ることも重要。「使えるなら使いたい」という出馬ラッシュの現象が起こるのだ。

秋に期待した成果をあげられず、ローテーションの組み換えを余儀なくされ、半ば押せ押せで出走するような馬が中日新聞杯にもいるかもしれない。

陣営が「もう少しで勝てる」という手ごたえをつかんだならなおのこと、「来年まで一息入れよう」とはならない。これは至極当然の考えでもある。となると、秋に重賞でいい着順をとった馬の間隔を詰めた出走は、陣営の思惑通りになることもあればならないこともある。それが競馬の難しさだ。

12月施行の中日新聞杯(2017,2018年)の出走間隔別成績ⒸSPAIA

実際に中日新聞杯が12月開催に移行した2年間で、中3週以内は【0-1-0-16】と結果が出おらず、反対に中9~24週と出走間隔が開いた馬が過去2年で2勝、2着0回、3着1回、着外3という数字がある。たった2回のデータではあるが、師走競馬特有の心理状態を当てはめれば、納得できるものである。

以上のことから、
・出走間隔が3か月以上
・ハンデ55キロ
・前走はオープン以上で掲示板
登録馬のなかでこれらに該当するタニノフランケルが本命。年明けの中山金杯狙いの出走という可能性もなくはないが、中京芝2000mはタフなコースである一方、ここはペースが速くなりそうな組み合わせではなく、同馬の先行力は魅力だ。

◎タニノフランケル
〇アイスバブル
▲パリンジェネシス
△サトノソルタス
×サトノガーネット
×ロードヴァンドール
×ラストドラフト
×ショウナンバッハ
☆カヴァル

正直、印がいくつあっても足りない混戦レース。軸を決めて手広く流したい。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「 築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にて記事を執筆。

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