秋華賞は脚質に大きな差はない
10月13日(日)に京都競馬場で行われる秋華賞(GⅠ.芝2000m)。桜花賞馬グランアレグリア、オークス馬ラヴズオンリーユーは残念ながら回避したものの、2歳女王ダノンファンタジーをはじめクロノジェネシスやコントラチェックなど、素質馬が多く集結した。台風接近で大荒れの予感もするが、まずはレース傾向から見ていこう。
表は過去10年の3着以内馬の4コーナー通過順を示したものである。これを見ると、あまり脚質は関係なく、どの位置からでも勝負になることが分かる。
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しかし、逃げ馬ばかりの行った行ったの競馬や追い込み馬ばかりで決まる年はほぼなく、先行、差しがまんべんなく来ている年が多い。
また、今年は台風の影響で馬場が重くなることが予想されるが、雨馬場で行われた2011年と2017年を見るとやや先行馬が優勢。2017年はディアドラが後方から差し切っているが、直線入り口では6番手くらいまで上がってきており、雨が降れば直線でまとめて捉え切るのは厳しいだろう。
近年はローテーションにも変化が
次に、ローテーションを見ていこう。
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過去10年の優勝馬の前走を見ると、やはりローズS組が優勢である。それに必ずしも1着である必要はなく、負けた馬も巻き返しに成功している。これらのうち3頭はオークス馬であり、残るレッドディザイアもオークスでブエナビスタのハナ差2着である。
このことから、力のある馬がローズSを叩いてきた場合は勝ち切ることが多いと言える。しかし、ローズSの「1着馬」に関して言えば勝ち切れていない。
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過去10年でローズS→秋華賞と連勝したのは三冠牝馬ジェンティルドンナのみ。安易にローズS優勝馬を本命にするのは危険かもしれない。
近年は紫苑Sも重要なステップレースになっている。紫苑Sが重賞に格上げされた2016年以降、3年で2頭の優勝馬を輩出している。秋華賞で馬券に1頭も絡まなかった2018年は勝ち馬も2着馬も出走していなかったため度外視していい。
また、過去3年の紫苑S好走馬のうち、ヴィブロス、ディアドラは海外GⅠを制覇し、ノームコアはヴィクトリアマイルを世界レコードで制するなど大いに活躍している。このことから紫苑Sのレベルはかなり高いものになってきており、特にオークス馬が参戦しない今年は、紫苑S組に注目した方がいいかもしれない。
狙いは紫苑S組の2頭
以上の点を踏まえ、本命はパッシングスルー。近年、相性の良い紫苑Sを勝ってきた馬で、前々走では福島の道悪もこなしているのは好材料。また前目で競馬ができるため、道悪の秋華賞にはもってこいであろう。前走紫苑Sで負かしたカレンブーケドールは、オークス2着馬であり、これを物差しにしてもGⅠでも十分通用するはず。
対抗はフェアリーポルカ。これもまた紫苑S組で本命馬と同じくルーラーシップ産駒。紫苑Sではパッシングスルーにハナ差の2着であり、勝ちに等しい内容。オークスで大敗しているが、夏を越して成長した今なら十分勝負になるはずだ。
ダノンファンタジーは、2歳女王でありローズSもきっちり勝って能力は高い。しかし、前述したようにローズS勝ち馬は本番で勝ち切れておらず、人気にもなりそうで3番手評価まで。
カレンブーケドールはオークス2着馬で、前走の紫苑Sは余裕残しの体つき。レースでは先に抜け出した分、上位馬に目標にもされた。叩いて見直したいが、初の長距離輸送が気になるところ。
面白いのは古馬相手に連勝してきたエスポワールとサトノダムゼル。どちらも前走は重馬場、しかもゴール前でも余裕も感じる勝ち方だった。そこまで人気しないと思われるので積極的に狙ってみたい。
ルメール騎手騎乗で人気が予想されるコントラチェックだが、気性が激しい逃げ馬で、2000mの距離もやや長く感じられる。GⅠクラスの厳しい流れ、後続からも徹底的にマークされそうで、そう簡単には粘れないと考え今回は見送りたい。
クロノジェネシスは切れ味鋭いタイプで道悪は歓迎とは言えない。また、オークスでは絶好の位置で運びながら思ったほど伸びず、ぎりぎり3着に粘った程度。実はマイラーなのかもしれない。オークスからの直行も良いとは言えず評価を下げたい。
(文:川崎)
▽秋華賞予想▽
◎パッシングスルー
〇フェアリーポルカ
▲ダノンファンタジー
△カレンブーケドール
△エスポワール
△サトノダムゼル
危険な馬
コントラチェック
クロノジェネシス
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《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。