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【秋華賞】 ダノンファンタジーは雨馬場では危険?本命は生まれ変わった紫苑S組

2019 10/10 11:00門田光生
カレンブーケドールⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

荒れるイメージはもう古い?

毎日王冠は断然人気に推されたダノンキングリーが勝利。出遅れてしんがりを追走していた時はどうなることか心配したが、直線では目を見張るほどの伸びを見せ、差し切り勝ち。出遅れた後も慌てなかった鞍上の冷静な騎乗も光った。

◎を打っておきながらどうかとは思うが、正直ここまで強いとは思っていなかった。天皇賞ではなくマイルCSに進むとのことだが、古馬のGIでも十分主役になれるだろう。

今週は牝馬三冠の最終戦、秋華賞が10月13日(日)に行われる。1999年はブゼンキャンドル(12番人気)とクロックワーク(10番人気)の人気薄同士で決まった。また、2008年は11-8-16番人気で3連単が1000万円を超えた。

個人的には荒れる印象が強かったのだが、ここ10年の馬連最高配当は35.5倍で馬単万馬券もなし。こういったことから考えて、むやみな穴狙いは禁物かもしれない。

秋華賞出走馬の前走人気ⒸSPAIA

秋華賞出走馬の前走着順ⒸSPAIA

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今回も過去10年のデータを使って予想していく。人気は馬券が発売されないと分からないので、まずは前走の分析から。目についたところでは、前走で5番人気以下だった馬は勝率0%。さらに前走着順でみると、6着以下の馬は連対率が0%。ここ10年は3番人気以内の馬が勝っている。やはり荒れるイメージは過去のものらしい。

昨年は例外中の例外?

勝ち馬に絞ってみると、トライアルを使った馬が8勝と圧倒的。後はオークス、クイーンS組が1勝ずつ。中10週以上開いている馬は1、2着が1回ずつあるだけ。

秋華賞優勝馬の前走ⒸSPAIA

秋華賞出走馬のローテーションⒸSPAIA

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ちなみに昨年、その中10週以上開いた馬同士の決着があった。勝ったアーモンドアイは、分が悪かったオークスからの直行だった。アーモンドアイ自体、それまでのジンクスを次々と打破している規格外の馬だったため、昨年は例外中の例外と割り切っていいのかもしれない。

紫苑S出走馬の秋華賞成績ⒸSPAIA

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秋華賞トライアルである紫苑Sは、2016年からGⅢに昇格。昇格する前は1勝だったのに対し、昇格後は3年で早くも2勝を挙げている。重賞に昇格したと同時に、メンバーの質が上がったためだと思われる。

重賞の名に恥じないメンバーが揃うならば、外回りの1800mで行われるローズSより、秋華賞と同じく内回りの2000mで行われる紫苑Sの方が、本番に直結する確率が高くても不思議ではない。重賞昇格後の成績の変化は、「偶然」ではなく「必然」なのかもしれない。

ディープインパクト産駒の秋華賞成績ⒸSPAIA

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このレースもディープインパクト産駒の活躍はすさまじく、産駒がデビューした2011年からの8年間で4頭の勝ち馬を輩出している。また2着馬も3頭おり、連対がなかったのは2年だけ。

すばらしい数字だが、実のところ連対がなかった2年はともに雨馬場だった。要するにディープ産駒は良馬場なら中心、稍重以下なら危険信号が点灯する。

馬場予報は競馬予想より難しい?

今回はいつもと少し違った手法で分析してみた。

①紫苑S組が狙い。休み明けは消し
②前走着順が悪い、または前走人気が低い馬は消し
③ディープ産駒は良馬場で
となる。

トライアルであるローズSと紫苑Sを見返してみたのだが、ローズは文句なしにダノンファンタジーが強かった。しかし、今回の狙いは紫苑S組。

ここで次につながりそうだったのは、カレンブーケドール。上位2頭(パッシングスルー、フェアリーポルカ)は賞金的に勝負駆けだったのに対し、カレンブーケドールは試走できる立場。叩き台と割り切れば上々の内容だろう。オークスで一番強い競馬をしたのは間違いなくこの馬だ。先行脚質だからといって単純に内回り向きとはいえないが、見たところ底力タイプなのでGIのタフな流れが合うはず。

このカレンブーケドールとローズSの勝ち馬・ダノンファンタジーは、ともにディープインパクト産駒。この原稿を書いている時点で、今年一番とうわさの台風が予想進路通りに進めば、当日の雨は避けられない。雨馬場だった2年は3-4、2-7番人気と小波乱。伏兵の台頭も十分可能性ありだ。

そうなると、候補は条件勝ち上がり組。昨年の2着馬ミッキーチャーム、2013年の2着馬スマートレイアーなどのトライアルを経ない好走組は、条件戦を「勝って」挑んできた馬がほとんど。

今年もそれに当てはまる馬が何頭か出走しているが、個人的に最も魅力に思ったのはサトノダムゼル。3戦3勝と底を見せていない成績もさることながら、前走の勝ち方にはちょっとしびれた。 ハナに立てそうなところをあえて控え、4角もわざと内を空けたような乗り方。鞍上の意のまま動けるところ、そしてそれに応えるだけの能力を兼ね備えるところがすばらしい。兄がケンタッキーダービー馬という世界的良血も、当然ながら魅力。しかし、これもディープインパクト産駒なのが少し引っ掛かる。

同じく条件上がりのエスポワールも強かった。抜け出す時の足が力強く、連勝したここ2走が雨馬場だったことを考えても、力の要る馬場は歓迎のクチか。

しかし、これまで「雨馬場確実と思わせておいて晴れ」という経験を数えきれないくらいしている。そのため、雨馬場ではディープ産駒が危険と書いてはいるが、今回は晴れでも雨でもいいように下記の4頭のBOX馬券で勝負したい。

◎カレンブーケドール
○サトノダムゼル
▲ダノンファンタジー
△エスポワール

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《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。