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【高松宮記念】19年以降「4勝」のStorm Cat内包馬が好相性 サトノレーヴら有力馬3頭の血統を解説

2025 3/27 06:00坂上明大
高松宮記念に強い血統,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

傾向解説

春の芝スプリント王決定戦・高松宮記念。芝1200mは日本競馬における非主流条件であるため、日本競馬を牽引する社台グループの苦戦が顕著で、血統面においても非主流血統馬が走りやすいレースとしても有名です。本記事では血統面を中心に、高松宮記念のレース傾向を整理していきます。

前述の通り、社台グループを中心としたリーディング上位種牡馬の苦戦傾向が目立ちます。特に1990年代以降、日本競馬の血統地図をたった一頭で塗り替えた大種牡馬サンデーサイレンスの血はむしろ持たない方がいいほど。

過去10年、父系での勝利はゴールドアリュール産駒(2022年ナランフレグ)のみで、道悪馬場だったという点もポイントです。日本の主流適性とはかけ離れた適性が求められるレースであることは間違いありません。

父or母サンデーサイレンス系の成績(過去10年),ⒸSPAIA


<父or母父サンデーサイレンス系の成績(過去10年)>
該当馬【1-7-6-90/104】
勝率1.0%/連対率7.7%/複勝率13.5%/単回収率26%/複回収率41%
非該当馬【9-3-4-60/76】
勝率11.8%/連対率15.8%/複勝率21.1%/単回収率148%/複回収率233%

反対に注目血統として挙げたいのはStorm Catなどの、ダッシュ力に優れた北米血脈。特にStorm Cat内包馬は2019~21年の3年連続で勝ち馬を出しており(※2020年優勝馬モズスーパーフレアは2位入線からの繰り上がり)、一昨年も12番人気のファストフォースが大金星を挙げています。

さらに、馬券圏外でも2016年16番人気4着アクティブミノルや2020年12番人気5着シヴァージ、2024年12番人気5着ロータスランドなど期待値以上の走りを見せる馬も多く、爆発力にも期待が持てる大注目の血統といえるでしょう。

Storm Cat内包馬の成績(過去10年),ⒸSPAIA


<Storm Cat内包馬の成績(過去10年)>
該当馬【4-3-3-36/46】
勝率8.7%/連対率15.2%/複勝率21.7%/単回収率170%/複回収率169%

また、秋のスプリンターズSとは馬体重の面で大きな違いがあります。中山で行われるスプリンターズSでは小回りコースを器用に立ち回る機動力が求められるため、小柄な馬が走りやすいですが、中京で行われる高松宮記念では長い直線で伸び負けないスピードが求めらるため、大型馬が走りやすい傾向です。

高松宮記念の馬体重別成績(過去10年),ⒸSPAIA

スプリンターズSの馬体重別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<高松宮記念 馬体重別成績(過去10年)>
~479kg【1-4-3-56/64】
勝率1.6%/連対率7.8%/複勝率12.5%/単回収率9%/複回収率33%
480kg~【9-6-7-94/116】
勝率7.8%/連対率12.9%/複勝率19.0%/単回収率115%/複回収率171%

<スプリンターズS 馬体重別成績(過去10年)>
~479kg【4-4-8-54/70】
勝率5.7%/連対率11.4%/複勝率22.9%/単回収率28%/複回収率94%
480kg~【6-6-2-75/89】
勝率6.7%/連対率13.5%/複勝率15.7%/単回収率72%/複回収率56%

有力馬の血統解説

ナムラクレア
3代母Coup de Genie(1993年モルニ賞、サラマンドル賞)はMachiavellian(1989年モルニ賞、サラマンドル賞)の全妹という良血。Northern Dancerの血量が多い反面、母母Fountain of Peaceが同血脈を持たない配合のバランスも素晴らしい好配合馬です。

日本の主流系統であるサンデーサイレンス父系ではありますが、父ミッキーアイルは高松宮記念で2015年3着、2016年2着と好走実績があり、本馬は母父Storm Catの影響が強いスプリンター体型。不利を受けてばかりの不器用な馬ではありますが、ビッグタイトルを獲れる資質を十分に秘めています。

サトノレーヴ
母チリエージェは芝とダートの1400m以下で5勝を挙げたサクラバクシンオー産駒のスプリンターで、繁殖牝馬としても2013年スプリンターズS2着、2015年高松宮記念2着馬のハクサンムーン(父アドマイヤムーン)を輩出しています。

ロードカナロア産駒の本馬も短距離路線で頭角を現しましたが、柔軟で末脚の伸びにも優れる父の産駒は中山芝1200mよりも中京芝1200m向き。高松宮記念でも2021年ダノンスマッシュと2023年ファストフォースという2頭の優勝馬を出しており、2022年にはキルロードが17番人気3着と波乱を演出しました。1番人気7着だった2024年スプリンターズSのリベンジに期待がかかる素質馬です。

ルガル
4代母Miesqueに遡る名牝系に属し、本馬はMiesqueの4×4を持つドゥラメンテ産駒。さらに、Nureyev≒Sadler's Wellsの5×4・5を持つため、欧州の名血から受け継ぐ底力は現役短距離馬の中でもトップクラスの一頭です。

また、母母父には高松宮記念と相性が良いStorm Catの血を持ち、前走馬体重531kgの大型馬という点も魅力大。昨年は高松宮記念10着→スプリンターズS1着という結果でしたが、高松宮記念への適性を疑う必要はありません。

2025年高松宮記念の有力馬の血統と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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