3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は11月30日(土)中山競馬場で行われるステイヤーズSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった15頭を検討対象とし、過去10年データを使用する。
今回は11月30日(土)中山競馬場で行われるステイヤーズSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった15頭を検討対象とし、過去10年データを使用する。
ステイヤーズSは芝3600mの平地重賞で、JRA最長距離の重賞だ。こういう特殊な条件では、実績や実力より適性の高い馬が好走することがある。
毎回、代わり映えのしないメンバーですでに勝負付けが済んでしまっていることも多く、本レース全体の単複回収率は53%となっており、かなり堅い部類に入る。
そんな中で高配当をつかみ取るためには、前走レース別成績を見るのが有効だ。最も好走馬を輩出しているのはアルゼンチン共和国杯組。こちらは【4-2-4-31】で4頭の勝ち馬が出ている。しかし単勝回収率は52%、複勝回収率は45%と回収率で見ると低調な成績。これは同レースで好走した馬、見せ場を作った馬は、本レースで人気になるということが原因だろう。
続いて注目するのは京都大賞典と古都S組(3000m変更後の21年以降)。京都大賞典は【1-3-2-9】で単勝回収率128%、複勝回収率81%。古都Sは【1-1-0-3】で単勝回収率154%、複勝回収率102%だ。
京都大賞典はGⅡの芝2400m戦、古都Sは芝3000m戦ということもあり、どちらも非常にスタミナを要求されるレースという共通点がある。
今回上位人気が予想されるアイアンバローズは海外帰りでデータには該当しない。ただ昨年のステイヤーズSを勝っている馬で、適性は問題ないだろう。
【前走が京都大賞典or古都Sの出走予定馬】
・ゴールデンスナップ
・シュヴァリエローズ
・フルール
今年の京都大賞典は前半5F58.7秒、後半5F59.7秒で前傾1.0秒のハイペースだった。ただレースはケイアイサンデラが一頭飛ばしただけで、同馬を除けばややスローペースの流れ。馬群もばらけており、着順が実力と考えて問題ないレースだった。
レースレベルはそこまで高いわけではなかったが、今回のメンバーレベルは京都大賞典より低いため問題にならない。シュヴァリエローズはその京都大賞典でしっかり勝ち切ったことは評価すべき。6歳となり距離を延ばしながら成績がかなり向上している。
今回は一気の距離延長となり、初めての超長距離戦だが、折り合い面も問題がなく、スタミナが十分についた今なら勝ち負けだ。
・シュヴァリエローズ
母ヴィアンローズがフランス産馬のため日本での牝祖は母。同馬は競走馬としても実績があり、現役時にはノネット賞(GⅢ・芝10F)を勝利している。繁殖としても優秀でJRA・4勝のローズノーブル(父ディープインパクト)、JRA・3勝でOP馬のローズミラクル(父フジキセキ)などを輩出している。
ローズノーブルも繁殖としてJRA・5勝のジュビリーヘッド(父ロードカナロア)を輩出するなど、ファミリーとして勢いがあると言える。
フランスの牝系らしく芝適性の高さと鋭い切れ味が武器。シュヴァリエローズは元々スピードを生かして1600mから2000mほどのレースを主戦場としていた。ただ加齢とともに同様のカテゴリーで瞬発力を武器に勝負するのは厳しくなっていった。
今年から徐々に2000mから距離を延ばし始めると、抜群の折り合いと瞬発力を再び生かせるようになった。今回は初の3600mという超長距離戦になるが、距離延長は歓迎で問題ない。ここで勝ち負けして有馬記念や来年の天皇賞(春)といった長距離GⅠへ駒を進めてほしい。
今回のCアナライズはシュヴァリエローズを推奨する。今回はメンバーレベルが高くなく、上位人気になる可能性は高いが、それだけの実力を持っているのは間違いない。
前走で長距離重賞の常連であるディープボンドに勝利しているのも好材料だ。本馬はディープインパクト産駒だが母の血統構成を考えればこの距離も問題なく、むしろ新たなステージへと進むキッカケとしたい。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
《関連記事》
・【ステイヤーズS】年齢や格より「適性」が問われる舞台 6歳シュヴァリエローズ、格上挑戦フルールもチャンスあり
・【競馬】2023年「長距離戦」騎手リーディング 1位はルメール騎手、6位は馬券貢献度で他を圧倒
・【ステイヤーズS】過去10年のレースデータ