傾向解説
札幌競馬2週目に行われる牝馬重賞クイーンS。2015~19年は開幕週に行われていましたが、2週目に戻った近年も綺麗な馬場状態での開催が続いています。ただ、2020年1着レッドアネモス(11番人気)など穴馬の激走が多い点も本レースの特徴。本記事では血統面を中心に、クイーンSのレース傾向を整理していきます。
まず紹介したいデータは枠番別成績。1週目開催の頃から継続しているのが内枠有利の傾向です。札幌芝1800mという機動力が求められるコースのうえ、前述の通り綺麗な馬場状態で行われるクイーンSでは内枠から器用に立ち回る競馬が理想となっています。特に1~2枠の成績は特筆すべきもので、今年も内枠を引いた馬には大注目です。
<過去10年の枠番別成績(2021年函館開催を除く)>
1枠【2-1-2-4】勝率22.2%/連対率33.3%/複勝率55.6%/単回率560%/複回率298%
2枠【3-2-3-1】勝率33.3%/連対率55.6%/複勝率88.9%/単回率317%/複回率228%
3枠【0-1-0-13】勝率0%/連対率7.1%/複勝率7.1%/単回率0%/複回率32%
4枠【0-1-2-13】勝率0%/連対率6.3%/複勝率18.8%/単回率0%/複回率51%
5枠【1-2-0-13】勝率6.3%/連対率18.8%/複勝率18.8%/単回率28%/複回率38%
6枠【0-1-1-15】勝率0%/連対率5.9%/複勝率11.8%/単回率0%/複回率22%
7枠【1-1-0-16】勝率5.6%/連対率11.1%/複勝率11.1%/単回率17%/複回率17%
8枠【2-0-1-15】勝率11.1%/連対率11.1%/複勝率16.7%/単回率193%/複回率62%
血統面ではネオユニヴァース内包馬の活躍が目立ちます。同馬は母母Silken WayがSt. Simon系の血筋を豊富に引き継ぎ、母ポインテッドパスはHyperionの5・7×4やFair Trialの7×5などを持つイギリス産馬。長い繋ぎ(球節から蹄の間の部分)と曲飛節(飛節:四肢動物の後肢にある関節のひとつ。曲飛節:一般的には瞬発力を生む後肢の形とされている)が大きな特徴で、瞬発力自慢が揃ったサンデーサイレンス産駒では珍しい機動力タイプの活躍馬でした。
代表産駒ヴィクトワールピサもトリッキーな中山コースを得意としており、その仔であるスカーレットカラー(2019年クイーンS2着、2020年同3着)とレッドアネモス(2020年1着)は本レースでも好走。今年は該当馬がいませんが、ネオユニヴァース→ヴィクトワールピサ系の分析はクイーンSの予想において大きなヒントとなりそうです。
<過去10年のネオユニヴァース系の成績(2021年函館開催を除く)>
該当馬【2-1-1-3】勝率28.6%/連対率42.9%/複勝率57.1%/単回率670%/複回率187%
ネオユニヴァースが内包する血の中で最も注目しているのがFair Trial。同馬は機動力や粘り強さを子孫に伝えており、ネオユニヴァースが子孫に伝える機動力の源泉になっていると考えています。Fair Trialの血を内包する有力種牡馬はDanzig、Lyphardなど。St. Simon系の血筋を引き継いでいるBlushing Groomを内包する馬も面白そうです。
どの血も6代以前に隠れることが多いため、昨年の1、2着馬(ドゥーラ、ウインピクシス)のようにFair Trialの血を増幅した機動力型が本レースでは狙い目といえるでしょう。
また、Nureyev≒Sadler's Wellsなどと組み合わせるパターンにも要注目です。
<過去10年の血統別成績(2021年函館開催を除く)>
Blushing Groom【2-2-3-11】勝率11.1%/連対率22.2%/複勝率38.9%/単回率30%/複回率101%
Danzig【4-2-2-16】勝率16.7%/連対率25.0%/複勝率33.3%/単回率186%/複回率110%
Lyphard【6-3-1-37】勝率12.8%/連対率19.1%/複勝率21.3%/単回率139%/複回率62%