最大馬体重増で制したのはブランボヌール&エポワス
夏で気になるポイントの一つが馬体重。キーンランドCで馬券圏内に入った81頭のうち、馬体重減の馬が24頭だったのに対して、馬体重増だった馬は45頭と、ほぼダブルスコアになっている。その45頭の内訳は、2キロ増が15頭、4キロ増が12頭、6キロ増が9頭と、大幅増よりは微増の範囲内に収まるパターンがほとんどだが、そういった中で、夏の暑さに耐えつつ大幅増で挑み、馬券圏内に入ったという例もある。
近年、二桁の馬体重増で馬券圏内にきた馬といえば、プラス10キロで出走した21年セイウンコウセイ。8歳馬ながら、9番人気という低評価を覆して激走した。4歳で高松宮記念を制し、6歳でも同レースで2着に入った。21年の本レース3着が同馬の現役最後の重賞での馬券圏内となった。
セイウンコウセイの10キロ増の倍である20キロ増で出走し、勝利した馬が2頭いる。またその2頭は、対極のような存在でもある。1頭は2016年の勝ち馬ブランボヌール、もう1頭はその翌年の勝ち馬エポワスだ。
ブランボヌールはデビューから新馬戦、函館2歳Sと函館で2連勝を飾った早咲きの牝馬。阪神JFではメジャーエンブレムから0.5差の3着に入るなど、マイルでも快速ぶりを見せた。チューリップ賞では14着と大敗したものの、桜花賞8着、NHKマイルC6着と立て直し、得意の北海道での一戦に20キロ増の438キロで挑んだ。51という軽斤量も後押しして2番人気に支持されたブランボヌールは、同期のシュウジや牝馬のレッツゴードンキ、ソルヴェイグ、ナックビーナスといった強豪を抑えて勝利した。その際、6着だったのが翌年の覇者・エポワスである。
エポワスはディープブリランテやザッツザプレンティらを輩出している優秀な牝系の出身で、千葉サラブレッド・セールにて2310万円で取引された。デビューから2連勝を飾るも、怪我などで3歳夏から丸2年ほど出走できない時期があった。しかし6歳になると、3~8月までの間に8戦するなどタフネスさを発揮。7歳で遂にオープン競走・UHB賞を制覇し、次走のキーンランドCで重賞に初挑戦した(9着)。翌年もUHB賞2着からキーンランドCに再挑戦し、結果は6着。さらに翌年もUHB賞→キーンランドCのローテーションを歩んだが、そのUHB賞では7着と大敗、キーンランドCでは12番人気と低評価に甘んじた。
2017年のキーンランドCは、前年2着のシュウジ、4着ソルヴェイグ、5着ナックビーナスが参戦。3歳馬モンドキャンノが1番人気に推されたものの、混戦模様を呈していた。前年好走勢のソルヴェイグやナックビーナスがレースを引っ張るなか、2年ぶりにルメール騎手とコンビを組んだエポワスは後方からの競馬を選択。直線でグングンと伸び始めると、上がり2番手フミノムーンの34.9に大きく差をつける34.4という末脚で差し切った。