チューリップ賞に近い流れだったが
2歳女王リバティアイランドが桜の女王に輝いた。牝馬クラシック戦線は2歳阪神JFからチューリップ賞、桜花賞と主要路線はすべて阪神芝1600mで行われ、比較がしやすい。そして桜花賞でのリバティアイランドのパフォーマンスがいかに素晴らしかったかも分りやすい。
阪神JF
12.1-10.5-11.1-11.5-11.8-11.1-12.5-12.5 1:33.1 リバティアイランド
前後半800m45.2-47.9
チューリップ賞
12.5-11.0-11.7-12.3-12.4-11.3-10.9-11.9 1:34.0 モズメイメイ
前後半800m47.5-46.5
桜花賞
12.1-10.4-11.5-11.9-11.7-11.4-11.3-11.8 1:32.1 リバティアイランド
前後半800m45.9-46.2
リバティアイランドは前半が2秒7速かった阪神JFでは4コーナー8番手と中団で流れに乗り、直線で差し切り勝ち。ハイペースを追い込んだわけではなく、流れに乗れるスピードと確かな末脚を繰り出せるスタミナを証明した。一方、モズメイメイが逃げ切ったチューリップ賞は後半が1秒速いスローペースであり、桜花賞2、3着コナコースト、ペリファーニアが先行して2、3着に残った。
桜花賞は前半がわずか0秒3だけ速いというペース差がない総合力勝負の戦い。そこに降雨から乾いた内と先行有利の馬場状態が加わったことで、流れは2番手コナコースト、4番手ペリファーニアのものだった。最後は失速傾向だった阪神JFと比べても後半600m11.4-11.3-11.8と先行勢のレベルは明らかに高く、ゴール前200m手前までハイレベルな流れを作りながら、最後200m11.8に失速をとどめて踏ん張れば、たいがいはコナコーストが勝つ。
スタートから前に行く気がなかったリバティアイランドが4コーナー16番手で大外を通って差し切ったという事実は信じがたいものがある。記録した上がり600m32.9は、似た位置から12着だったキタウイングの33.6より0秒7も速い。次元の違う走りとはまさにこのことをいう。阪神JFより前半が0秒7も遅く、位置取りも後ろだったにもかかわらず、決着時計を1秒も詰めてみせたリバティアイランドはこの冬で自身の能力を数段高みに押し上げた。この時期に力をつけるのは父ドゥラメンテ、昨年の桜花賞馬スターズオンアースと同じだ。そのスターズオンアースはオークスを勝ち、二冠達成。リバティアイランドがオークスで負けるシーンは想像しがたい。