緩いペースになりやすい
4月3日(日)に阪神競馬場で行われる大阪杯(G1・芝2000m)。昨年は圧倒的人気を背負ったコントレイルがまさかの3着に沈む波乱の決着となった。今年は昨年のJRA年度代表馬エフフォーリア、目下5連勝中と勢い十分なジャックドール、昨年の大阪杯覇者レイパパレなど好メンバーが揃った。過去のレース傾向や展開面などから予想していきたい。

まず、過去10年間の大阪杯における逃げ馬、その前半5F通過タイム、そして着順について調べた。逃げた馬の成績は【1-1-2-6】複勝率40%。5番人気以内だった馬に絞ると成績は【1-1-2-1】で馬券圏内にはよく来るが、頭で狙うには心許ない。
大阪杯は前半のペースが緩みやすいのが特徴。前半5Fが60秒を切ったのは2017年、2021年の2回のみで、マルターズアポジーとレイパパレが締まったペースで逃げを打った例外的なケース。それ以外の年では60秒台中盤から61秒台での通過が大半を占める。スローペースが多い理由としては積極的に逃げたい馬がいなかったことや、速いペースに持ち込むには力が足りない馬の逃げが多かったこと、登坂スタートでテンが速くなりにくいことなどが考えられる。このようなレースは最後の直線でのキレ勝負になりやすい。
ペース読みが鍵

次に過去10年の大阪杯3着内馬の4角位置と上がり順位について調べた。なお今回は良馬場での開催を想定して、馬場コンディションがかなり悪かった2015年、2021年は無視する。
先述したように、2012~2014年、2016年、2018~2020年は前半のペースが緩く、後半のキレ勝負になった。こういった流れにおける勝ち馬の特徴は二通りある。一つはまず4角で比較的前に位置取りをすることができて、ある程度の上がりも使える馬。2013年、2016年、2018~2020年の1着馬は4角6番手以内、かつ上がり5位以内をマークしている。もう一つは他馬を圧倒する上がりを使える馬。2012年、2014年1着馬の4角位置はそれぞれ12番手、8番手(最後尾)であるが、上がりは2位の馬と0.5秒以上差のある最速だった。このタイプは今年の出走馬にはいない。また、2、3着馬は4角好位からそれなりに速い上がりを使った馬のほか、逃げ馬も粘っている。
逆に前半のペースが速くなった2017年は異なった傾向が見られる。上位2頭は4角2番手、4番手と先行して上がり順位は7位、5位。持久戦の様相を呈していた。
このようなことから、今年のレースを考えるうえで重要なのが前半のペース。結論から言うと、今回はそこまで流れず前半5Fの入りも60秒台だと考えている。逃げ宣言をしているアフリカンゴールドは基本スロー逃げの馬で、道中のペースは確実に落としに行く。スタート後の坂もあるので、前半から速いペースになることは考えにくい。
ジャックドールもこれまでは開幕週の東京、中京とかなり速い時計が出る馬場での逃げで、現在阪神の馬場状況とは大きく異なる。これまでのようなペースにはならないだろう。また、ジャックドールが逃げた近4走の2、3着馬8頭のうち、7頭が4角5番手以内。前があまり潰れない逃げであることも頭に入れておきたい。レイパパレはこれまでのレースぶりやジョッキーの性格からも、今回逃げ馬としては考慮しない。
隙ない“怪物”エフフォーリア。相手探しに努めるべし
◎エフフォーリア
実績は出走馬中最上位。速いペースの経験はないが、ここまで述べてきたようにハイペースの可能性は低いため、脚はしっかり溜められる。好位差しに十分なキレとスピードの持続性を有しており、先行しながら速い上がりを使えて、先述した緩いペースでの好走条件を満たす。輸送も問題なさそうで、初めての阪神コースもこれまでの走りを見る限りこなせるはずだ。状態面でも完ぺきではないにしろ間に合った。人気は集めそうだがここは素直に本命にする。
◯ヒシイグアス
前走香港Cはラヴズオンリーユーに迫る2着。昨年のモズベッロのような動きが理想。元々それなりに速い上がりを使えて、小回りも得意なので、阪神芝2000mで展開も速くなりにくい大阪杯は絶好の舞台。馬券圏内は十分狙える。状態面は香港Cより良さそうだが、気の悪さが目立つのは懸念点。現状この印だが、パドックでも発汗や気難しくしている所があれば、▲との評価は入れ替えたい。
▲ジャックドール
前走の金鯱賞は圧巻の逃げ切り勝利。とは言え、開幕週でイン有利、競る逃げ馬不在、得意の左回りなど恵まれた部分は多い。今回はイン有利ではない阪神、逃げたい馬が他にもいるなど、これまで恵まれていた部分はなくなる。手前替えなどを見ても右回りよりは左回りの方が良い。しかし持っている能力は一線級で、逃げながら速い上がりは使えるので好走条件は満たす。エフフォーリアには及ばないだろうが、こちらも2、3着なら。
△レイパパレ
状態面は100%ではなさそう。舞台は合うし、前走から斤量減となるのはプラス。好位からの競馬も可能だが、決め手不足感は否めない。
×ポタジェ
相手なりには走る馬。先行できれば3着ならある。
消アカイイト
展開が向かない。宝塚記念で狙いたい。
買い目は3連単F◎→◯▲△→◯▲△×9点で勝負。「大阪」といえば大阪桐蔭が春の選抜甲子園を圧倒的な強さで優勝しました。私から見て今回のエフフォーリアも、大阪桐蔭と並ぶくらい圧倒的な存在だと思っています。(文責:國井)
▽大阪杯予想印▽
◎エフフォーリア
◯ヒシイグアス
▲ジャックドール
△レイパパレ
×ポタジェ
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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