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【フェブラリーS】雨ならキングカメハメハ産駒が主役! 東大HCが東京ダ1600mを徹底解析

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コース分析

今週は東京ダ1600mを舞台に、年内最初のJRA・GⅠフェブラリーSが行われる。チャンピオンズCで国内最強を高らかに宣言したテーオーケインズがサウジへ、同2着チュウワウィザードもリベンジを果たすべくドバイ遠征するため、絶対的存在が見当たらず混戦模様。昨年覇者カフェファラオ、輝きを取り戻したい白毛馬ソダシ、三度目の正直を目指す南部杯二連覇中アルクトスなどが砂の王者を争う。

当該コースが舞台の重賞は3レース。グレード順に今週のGⅠフェブラリーS、GⅢは3歳限定戦のユニコーンS、チャンピオンズCの前哨戦である武蔵野Sが行われる。コースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは特筆ない限り2017年2月18日〜2022年2月13日)。

まずはコース紹介。ダートのチャンピオンコースでありながら2コーナー奥の芝をスタートし、そのまま150mほど芝を走る。コースレイアウト上、内枠に比べて外枠の馬のほうが芝を走る距離が長く、スピードに乗りやすい。向正面を上って3コーナーで緩やかに下り、4コーナーからダートコースでは日本一長い500mを超える直線を走り抜ける。大箱を生かしたワンターンの形態だ。

基本は外も、馬場が渋れば中枠

東京ダ1600m・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<東京ダ1600m・過去5年の枠別成績>
1枠【49-50-40-767】勝率5.4%/連対率10.9%/複勝率15.3%
2枠【65-57-68-770】勝率6.8%/連対率12.7%/複勝率19.8%
3枠【60-63-59-817】勝率6.0%/連対率12.3%/複勝率18.2%
4枠【73-59-75-831】勝率7.0%/連対率12.7%/複勝率19.9%
5枠【49-81-74-851】勝率4.6%/連対率12.3%/複勝率19.3%
6枠【83-88-80-822】勝率7.7%/連対率15.9%/複勝率23.4%
7枠【81-81-65-866】勝率7.4%/連対率14.8%/複勝率20.8%
8枠【92-72-91-835】勝率8.4%/連対率15.0%/複勝率23.4%

枠別成績では芝を走る距離が長い外寄りの枠が有利。ただこの傾向は馬場状態によって変化し、稍重以下に限定するとほぼ横一線、重・不良では外の利が消え、3~6枠の真ん中あたりの好走例が目立つ。土日の天気予報を気にしておきたい。

東京競馬場改修後の2004年以降、フェブラリーSでは大半が良馬場施行だったこともあって外枠有利の傾向がある。2014年に16番人気で勝ったコパノリッキーは7枠、2020年に同じく16番人気で2着に食い込んだケイティブレイブも8枠から超高配当を演出した。穴党の方はまず外枠から本命を考えていくべきだろう。

東京ダ1600m・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<東京ダ1600m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【65-60-46-380】勝率11.8%/連対率22.7%/複勝率31.0%
先行【256-216-178-1375】勝率12.6%/連対率23.3%/複勝率32.1%
差し【172-213-234-2422】勝率5.7%/連対率12.7%/複勝率20.4%
追込【58-62-93-2374】勝率2.2%/連対率4.6%/複勝率8.2%

脚質別成績では逃げよりも先行勢に分がある。2004年以降のフェブラリーSを逃げ切ったメイショウボーラー、トランセンド、インティが全て1番人気だったように、力量で劣る逃げ馬がペースを利して残ることは少ない。回収率でも先行勢がトップで、基本は前を見ながらレースを運べる好位勢を買うべきだろう。

重・不良まで馬場が悪化した場合は逃げがさらに厳しくなり、代わりに差し勢に妙味が生まれてくる。この条件では上がり最速の馬の単勝回収率が600%を超えるように人気薄の無欲の差しがアタマまで届くケースがまま見られる。雨の府中ダートマイルは金脈が出現するようで、キレ自慢の後方勢に単系馬券を託したい。

馬場が渋ればエアスピネル浮上

東京ダ1600m・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<東京ダ1600m・過去5年の種牡馬別成績>
ヘニーヒューズ【33-29-23-165】勝率13.2%/連対率24.8%/複勝率34.0%
キングカメハメハ【19-27-25-146】勝率8.8%/連対率21.2%/複勝率32.7%
パイロ【15-14-8-130】勝率9.0%/連対率17.4%/複勝率22.2%
クロフネ【11-14-11-157】勝率5.7%/連対率13.0%/複勝率18.7%

種牡馬別成績ではヘニーヒューズの独壇場。特に人気馬の信頼度が高く、2番人気以内では【23-15-6-16】複勝率73.3%、単勝回収率115%とノータイムで軸に据えるべき好成績。タガノビューティー、ゲンパチフォルツァは残念ながら除外対象だが、堅実に好走してくれるありがたい種牡馬として覚えておきたい。

複勝率ベースではキングカメハメハも双璧の数字。重・不良に限定すると【8-5-10-24】複勝率48.9%、単勝回収率213%、複勝回収率207%と一気に主役へ躍り出る。このうち距離短縮組は【5-3-8-9】複勝率64.0%とさらに評価でき、日曜のダートが渋ればエアスピネル、9歳にして悲願のGⅠ制覇も夢ではない。その他では単複回収率黒字が光るパイロが買いだ。

白毛馬ソダシが該当するクロフネは意外にも平均以下で、2019年を最後に勝利がないだけでなく、全期間まで広げても3勝クラス以上を勝った馬が2頭しかいない。父のイメージ、本馬の人気で馬券が売れるならば消し一択だ。

東京ダ1600m・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<東京ダ1600m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【63-43-26-114】勝率25.6%/連対率43.1%/複勝率53.7%
M.デムーロ【23-18-15-79】勝率17.0%/連対率30.4%/複勝率41.5%
田辺裕信【36-35-26-214】勝率11.6%/連対率22.8%/複勝率31.2%
吉田隼人【3-3-2-52】勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率13.3%

騎手別成績ではルメール騎手の好成績は当然として、M.デムーロ騎手を推奨したい。関西馬に騎乗した際は【7-8-7-13】複勝率62.9%、単勝回収率103%、複勝回収率128%。さらに460kg以上の牡馬なら【7-6-2-6】複勝率71.4%となる。2017年のフェブラリーSをゴールドドリームとのコンビで制した際もこの条件をクリアしていた。エアスピネルも全条件に該当しそうで、ここはやはりチャンスだ。

関東勢からは田辺裕信騎手。大型馬で結果を出しており、520kg以上の馬に騎乗した際が【7-2-4-15】複勝率46.4%、単勝回収率138%、複勝回収率117%と買える条件だ。アルクトスは昨年の南部杯時点で544kgの超大型馬で、よほどのことがない限り条件をクリアしそう。ここ2年はフェブラリーSで結果の出ていない同馬だが、2年前は厳しいペースを先行、昨年は結果的に仇となった中2週ローテと敗因は明確。巻き返しもあり得る。

一方、ソダシに騎乗する吉田隼人騎手は不振。直近の騎乗機会は21年10月の1勝クラス・牝馬限定戦3着だが、これは同コースで実に28戦ぶりの馬券圏内だった。実質関西に拠点を移していることもありサンプルは上記3人に比べると少ないが、やはり割引が妥当だろう。

東京ダート1600mのコースデータインフォグラフィック,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開。新入部員は随時募集中。

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