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【フェブラリーS】白き女王ソダシ、ダート制覇へ! 今年は怖い東京大賞典組、ミューチャリーも侮れない!

2022 2/13 17:00勝木淳
フェブラリーSインフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

今年は大混戦、ベテランまで勝機あり

22年GⅠ開幕戦、その登録馬はなんとも豪華。サウジ遠征組から、昨年のチャンピオンズC圧勝テーオーケインズとBCディスタフで歴史的偉業を達成したマルシュロレーヌが登録に名を連ねた。当然、サウジ遠征が本線だが、登録に名前があるだけで夢がある。この2頭のほかにはソダシもいる。年明け早々に栗東に戻って入念に調教を重ねており、意欲的。今回がダート2戦目、ここは試金石になる。

連覇を狙うカフェファラオ、ステップレースを勝ったテイエムサウスダン、スワーヴアラミス、昨年のJBCクラシック勝ち馬で船橋のミューチャリーと、冬本番、過酷な東京砂漠に豪華メンバーが顔をそろえる。ここでは過去10年分のデータからフェブラリーS攻略の糸口を見つけていきたい。


過去10年フェブラリーS人気別成績,ⒸSPAIA


東京ダートのなかでも1600mは芝スタートのワンターンと異色。その反面、GⅠに限らず、条件戦も比較的波乱は少なく、ここも1番人気【4-2-2-2】勝率40%、複勝率80%と手堅い。JRAダートGⅠは全部で2つ。それもわずか3カ月間で行われるため、好調期を合わせやすい。ただし今年はテーオーケインズ不在の公算が高く、高レベルの混戦で狂い目もあるかもしれない。2番人気【2-2-1-5】勝率20%、複勝率50%以下は1、2頭が馬券圏内に入る程度で横一線。思えば昨年は1、9、8番人気で決着。油断できない。


過去10年フェブラリーS年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では若い4歳が【4-1-0-21】勝率15.4%、複勝率19.2%で勝ち切る傾向にあるものの、5歳【3-3-4-24】勝率8.8%、複勝率29.4%、6歳【3-2-3-28】勝率8.3%、複勝率22.2%と好走確率は互角。また7歳以上も【0-4-3-55】複勝率11.3%と不気味。息長く活躍する馬が多いダート戦線らしいデータだ。


クロフネの衝撃から21年、ソダシ復活のとき

年齢別データは互角ということで、ここからは年齢別に前走データを掘り下げ、好走パターンに当てはまる馬を具体的に探していこう。


過去10年フェブラリーS・4歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずは【4-1-0-21】の4歳から。前走クラス別成績を出すと、前走GⅠが【2-1-0-2】勝率40%、複勝率60%で目立つ。登録馬からはソダシが該当。前走チャンピオンズC組は【2-1-0-0】とこの10年ですべて馬券圏内(前身のジャパンCダートを除く)。

さらに前走チャンピオンズC6着以下は【2-0-0-0】。17年ゴールドドリームが前走12着、21年カフェファラオが前走6着から勝利した。暮れの中京ダート1800mでは厳しかったが、スピード優位の東京ダート1600mで巻き返すというのがパターン。ソダシはまさにこれに当てはまる。初ダートの前走は逃げて12着。スピード通用の可能性は見せた。競馬に前向きにさえなれれば。父クロフネは東京ダート1600mを1.33.3で走った馬。


過去10年フェブラリーS・5歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


次は5歳の前走クラス別成績を。ここはカフェファラオが該当する前走GⅠ【0-1-1-4】複勝率33.3%もいいが、前走GⅡ【3-1-1-3】勝率37.5%、複勝率62.5%に注目。すべて東海S、かつ全馬前走3着以内だった。サンライズホープは前走東海S4着とわずかに足りない。重賞タイトルは1900mのシリウスS、どちらかというとチャンピオンズCこそというタイプだ。

同じトライアルでも5歳の根岸S組は【0-0-2-7】複勝率22.2%とやや落ちる。好走した2頭は根岸S2着以内。3着タガノビューティーより勝ったテイエムサウスダンか。マイル実績は前者も、後者はこれまでの地方交流でこそというイメージを覆す内容が気になる。差す競馬ができたことでマイルでも善戦するのではないか。


一発ある、ミューチャリー

ここからは6歳以上のベテランについて。データを見ていくと、前走地方交流だった馬も今年は十分戦えることがわかる。


過去10年フェブラリーS・6歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


根岸S組で本来買いたいのは6歳。前走GⅢ【3-1-1-15】勝率15%、複勝率25%のうち根岸Sは【3-1-0-14】。東海Sが5歳なら根岸Sは6歳に注目したいところ。しかし今年は該当馬不在。5歳テイエムサウスダン、タガノビューティーが強調しづらいことも含め、今年のステップレース組はいずれもあてにならない。

であれば、サンプル数は少ないが、前走地方【0-1-1-5】複勝率28.6%まで目を配りたい。このうち東京大賞典組が【0-1-1-1】複勝率66.7%、JBCスプリント【0-0-0-1】、TCK女王盃【0-0-0-2】。東京大賞典4着ミューチャリーを評価したい。前走東京大賞典組は2着だった馬(12年ワンダーアキュート、19年ゴールドドリーム)がここで2、3着。ミューチャリーはこの2年フェブラリーS11、7着。昨年は追い込んで0.9差と前年より差を詰めた。あえてJRA勢相手の交流重賞中心にローテが組まれ、昨秋は金沢JBCクラシック優勝という快挙を遂げた。今年は川崎記念を使わずにここに照準を合わせてきた。軽視はできない。


過去10年フェブラリーS・6歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


7歳以上で気をつけたいのは前走GⅢ【0-1-1-30】複勝率6.3%、GⅠ【0-1-0-3】複勝率25%、地方【0-2-2-12】複勝率25%。まずGⅠ組はチャンピオンズC【0-1-0-2】。好走は21年9番人気エアスピネル2着。チャンピオンズC7着から巻き返した。今年は前走チャンピオンズC9着。再激走を狙う。また前走4着インティもこのパターン。週末の天気予報、先行勢が手薄な組み合わせなどを踏まえると不気味だ。

GⅢ組のうち前走根岸Sは【0-1-1-25】。好走2頭はいずれも根岸S2着。3着以下だった馬は【0-0-0-23】。タイムフライヤー、ソリストサンダーの巻き返しは期待できない。

また前走地方は東京大賞典【0-1-1-6】複勝率25%、川崎記念【0-1-1-5】複勝率28.6%。さらに東京大賞典5~9着だと【0-1-1-4】。該当馬はアナザートゥルース、サンライズノヴァの2頭だ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


フェブラリーSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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