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【フェブラリーS】ソダシが挑むダート決戦の歴史 モズアスコット、アグネスデジタルが「二刀流」勝利

2022 2/15 06:00緒方きしん
フェブラリーS過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA
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白毛馬ソダシが2度目のダート挑戦

共同通信杯はハーツクライ産駒のダノンベルーガが勝利。朝日杯FS勝ち馬ドウデュース、きさらぎ賞勝ち馬マテンロウレオに続き、今年の牡馬クラシックにハーツクライ産駒の有力馬が登場した。

今週は春のダート王を決めるフェブラリーS。メイセイオペラやウイングアロー、カネヒキリやトランセンド、ノンコノユメなど多くの名馬が制してきた一戦。いよいよ、2022年の中央GⅠが幕を開ける。

今年も前年度覇者カフェファラオや2着馬エアスピネルをはじめとしたダート実績馬が参戦。さらに桜花賞馬ソダシやJBCレディスクラシック勝ち馬テオレーマなど牝馬からも魅力的な馬が集まった。

今後ドバイ遠征やかしわ記念、帝王賞など様々な路線に進むであろう馬たちが、ここでどんな戦いを見せてくれるのか。今回はフェブラリーSの歴史を振り返る。

1番人気馬は信頼度◎

フェブラリーS過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


1番人気は現在3連勝中。カフェファラオ、モズアスコット、インティが人気に応えた。2018年の1番人気ゴールドドリームは2着、2017年の1番人気カフジテイクは3着と、いずれも馬券圏内に入っている。

最後に1番人気が馬券圏外に沈んだのは2013年。ダート未経験馬のカレンブラックヒルが15着に敗れた年である。前年、デビューから芝レースで6戦5勝と活躍をあげた素質馬だったが、初ダートという分厚い壁に跳ね返された。

その年の勝ち馬は3番人気グレープブランデー。2着には8歳馬エスポワールシチー(9番人気)、3着には7歳馬ワンダーアキュート(7番人気)とベテラン実績馬が食い込み、馬連は万馬券、三連単は10万馬券となった。

伏兵評価のベテラン馬が激走する傾向は1番人気が好調な近年も続いており、2021年には2着に8歳馬エアスピネル(9番人気)、3着にも8歳馬ワンダーリーデル(8番人気)とベテランが躍進。2020年は7歳馬ケイティブレイブ(16番人気)が2着となり、1番人気モズアスコットとの馬連は362.3倍となった。

現役時代も引退後も大活躍したゴールドアリュール

2003年の勝ち馬はゴールドアリュール。前年に日本ダービーで5着と好走しつつもJDD、ダービーグランプリを制していた明け4歳馬が、イーグルカフェやビワシンセイキ、ノボトゥルーといった年長馬や、同じくダービー6着の同期アドマイヤドンらを相手に勝利した。武豊騎手にとってはこれがフェブラリーS初制覇であった。

ゴールドアリュールは現役引退後に種牡馬として大成功を収めた。そして武豊騎手はヴァーミリアンやカネヒキリ、インティなどとフェブラリーSを制しているが、特に2015年コパノリッキーはゴールドアリュール産駒であり、フェブラリーSの親子制覇を同鞍上で達成したことになる。

ゴールドアリュール産駒はエスポワールシチーやゴールドドリームもフェブラリーSを制覇。他にもスマートファルコンやクリソベリルらを輩出し、ダート種牡馬としてこれまでにないほどの功績を残した。

これ以外にもフェブラリーSの勝ち馬には種牡馬として活躍する名馬が多い。2002年の覇者アグネスデジタルは札幌記念でブエナビスタを撃破した芝、ダートの重賞馬ヤマニンキングリーを輩出。

2003年はゴールドアリュールに敗れたアドマイヤドンも翌年にはフェブラリーSを制覇し、種牡馬としてアルバートやアドマイヤデウスといった芝の中長距離馬を送り出した。また、2005年の勝ち馬メイショウボーラーはJBCスプリント覇者ニシケンモノノフやアイビスSD勝ち馬ラインミーティアを輩出した。ここを制した馬が父や母として活躍することにも、引き続き期待したい。

東京巧者ダイワキャグニーらの躍進はあるか

ダート特化型の馬たちが活躍する一方で、以前のアグネスデジタルのように「二刀流」を目指す馬もいる。2021年の2着馬エアスピネルは朝日杯FS2着、菊花賞3着など世代屈指の芝実績馬であり、2020年の勝ち馬モズアスコットは2018年の安田記念覇者である。

今年はソダシのほかにも、これまで挙げた8勝すべてが東京競馬場の芝レースという東京巧者ダイワキャグニーが参戦予定。前々走はダートの武蔵野Sで8着、前走は芝の京都金杯で2着という臨戦過程でダートの大舞台に乗り込んできた。芝で重賞3勝の実績がある東海S5着馬カデナも登録しており、今年も二刀流馬が誕生するのか注目したい。

セオリー通りにフェブラリーSで好走実績のある馬たちから狙うのか、芝実績馬や他路線のダート実績馬を狙うのか。若手を狙うのか、ベテランを狙うのか。今年のダート戦線を占う一戦を楽しみたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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