前走が後方でも……
2月13日(日)に東京競馬場で行われる共同通信杯(GⅢ・芝1800m)。後の活躍馬を多数輩出してきたクラシックへの登竜門に11頭が集結した。朝日杯FS3着のダノンスコーピオンや札幌2歳Sの勝ち馬ジオグリフなどが出走を予定しているが、狙うべきは果たしてどの馬か。今週もデータを踏まえて検討していこう。
はじめに、過去10年の傾向を分析する。

脚質別では先行が【7-3-6-16】、複勝率は50.0%と圧倒的に前有利だが、少数頭で行われる若駒のレースということで各馬がどのような戦略を取るのか予想しにくい。そこで前走脚質別成績に目を向けてみる。前走で先行を選択した馬はやはり【4-5-4-21】と好成績だが、複勝率は38.2%にまで落ちる。代わって存在感を増すのが後方待機組。前走で差しを選んだ馬は3勝、複勝率は25.6%と悪くない。追い込みを選択した馬も2勝を挙げており、普段後方に控えている馬にも警戒が必要といえる。
距離延長組は割り引き

続いて前走距離別成績を見る。【3-5-2-13】と勝率、連対率、複勝率のいずれもトップなのが同距離組。1800mという特殊な距離で行われるためレース経験がものをいうのだろう。次いで10.2%と高い勝率を誇るのが距離短縮組で、最多の6勝を挙げている。
一方、距離延長組は不振。勝率は3.8%に留まり、出走馬26頭中連対した馬は4頭しかいない。割り引いて考えた方が無難だろう。今回のレースでは上位人気馬のうちダノンスコーピオン、ジオグリフが距離延長に該当する。
GⅠ制覇への第一歩
◎ダノンベルーガ
新馬戦は豪快な脚を使って勝利。直線で2着馬を突き放してからは流す余裕を見せた。それでも上がり33秒1をマークしているのだから実力は相当なものだろう。2000mからの距離短縮も悪くない材料で、前走1番人気で新馬戦を勝った馬は【1-2-2-2】。いきなりの重賞挑戦も問題ない。19年には同馬主のダノンキングリーが共同通信杯を勝ち、後に豪華メンバーの安田記念を制した。この馬も偉大な先輩に並ぶ活躍を見せてほしい。
◯アサヒ
前走東スポ杯2歳Sではダービー馬候補イクイノックスに食い下がっての2着。33秒5の上がりを使っており末脚はメンバー上位にある。4戦全て1800mを使っており、うち3戦が東京。コース経験は大きなアドバンテージになるだろう。先週の東京新聞杯を制した田辺裕信騎手、2週連続の重賞制覇チャンスだ。
▲ジオグリフ
前走朝日杯FSでは5着に敗れているが、上がり最速の脚を使うなど能力を見せつけていた。長距離輸送や位置取りが後ろ過ぎたことが響いたのだろう。東京芝1800mの新馬戦では先行しつつ圧倒的な力を見せつけ勝利している。今回も先行するのが理想だが、少数頭のため多少後方からの競馬になっても通用しそうだ。
△アバンチュリエ
3戦連続で上がり最速を叩き出すなど確かな末脚を有している馬。東京の新馬戦を制しているが、このとき1馬身半差で退けたソリタリオはシンザン記念で2着に入っている。同馬を物差しにすればこの馬も十分重賞で戦えるだろう。
相手として京都2歳S2着のビーアストニッシドを押さえる。人気が予想されるダノンスコーピオンに関してはいまだ本調子ではないということで6番手に留めておく。
◎ダノンベルーガ
◯アサヒ
▲ジオグリフ
△アバンチュリエ
×ビーアストニッシド
×ダノンスコーピオン
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
《関連記事》
・【京都記念】波乱の目はなし!? ハイブリッド式消去法が導いた結論はガチガチ本命決着
・【共同通信杯】エフフォーリア vs シャフリヤールの激突から1年 名馬を続々輩出する共同通信杯の歴史!
・【共同通信杯】ジオグリフより世代屈指の決め手アサヒ、スピード上位のダノンスコーピオンを評価!