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【きさらぎ賞】スペシャルウィーク、サトノダイヤモンドなど ダービー馬、菊花賞馬を多数輩出する伝統の一戦

2022 2/1 06:00緒方きしん
きさらぎ賞過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

スペシャルウィーク、ナリタトップロードらを輩出した一戦

シルクロードSは4歳牝馬メイケイエールと5歳牝馬シャインガーネットによる牝馬のワンツー。昨年は苦戦を続けた素質馬が年明けに復活勝利を遂げた。

今週はクラシックを狙う素質馬たちが集まるきさらぎ賞。昭和にはタニノムーティエやキタノカチドキ、ワカテンザンらを輩出し、平成以降もスペシャルウィークやナリタトップロード、サトノダイヤモンドらを輩出してきた名門レースである。

今年もザファクター産駒ショウナンマグマやシルバーステート産駒ストロングウィルなど、新進気鋭の種牡馬たちが産駒を送り込む。果たしてここからクラシックホースは誕生するのだろうか。今回はきさらぎ賞の歴史を振り返る。

1番人気馬は大苦戦中

きさらぎ賞過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年、1番人気馬は未勝利。ランドオブリバティやアルジャンナらが3着になっているほか、ダノンマジェスティが着(10頭立て)に敗れている。ただ、2012年〜2016年の5年間には、ワールドエース、ルージュバック、サトノダイヤモンドの3頭が1番人気で勝利を収めている。

過去にはメイショウサムソンやブラックシェル、エイシンプレストンといった名馬が1番人気に推されながら敗れた一方で、スペシャルウィークやアグネスゴールド、リーチザクラウン、ロイヤルタッチなどが人気に応えた。特にスペシャルウィークとリーチザクラウンは親子制覇でもある。

馬券的には2020年が7番人気コルテジア、4番人気ストーンリッジで馬連73.5倍、2019年が3番人気ダノンチェイサー、6番人気タガノディアマンテで馬連74.6倍とやや荒れているものの、最後に馬連の万馬券が出たのは2011年とやや遡る。その際は1番人気ウインバリアシオンが4着、2番人気オルフェーヴルが3着に敗れた。

このとき勝利したのも、のちに2013年マイルCSを制したトーセンラーという実力馬。他にも2012年の中山大障害を制したマーベラスカイザーやNHKマイルCで2着のコティリオン、小倉記念、七夕賞などを制したメイショウナルトなどが出走する、ハイレベルな一戦だった。

悲運の素質馬、マイネルブルック

ハイレベルな一戦といえば、2004年のきさらぎ賞も同じく好メンバーが揃っていた。3着馬はここがデビュー2戦目だったハーツクライ。ハーツクライはダービーで2着に食い込むと、翌年の有馬記念でディープインパクトに勝利した。さらにドバイシーマCでも勝利すると、種牡馬としてもリスグラシューやジャスタウェイ、シュヴァルグランやワンアンドオンリーといった名馬を多数輩出。7着馬カンパニーは8歳になって毎日王冠→天皇賞(秋)→マイルCSを連勝し、2着馬ブラックタイドはスプリングSを制するなど活躍、引退後にはキタサンブラックやタガノエスプレッソらを輩出した。

他にも北九州記念の勝ち馬キョウワロアリングやスワンS勝ち馬タマモホットプレイをはじめ、その後の重賞で馬券圏内に食い込む馬たちが揃った年だった。

そして1着馬は、前走、寒竹賞から連勝で重賞初制覇を達成したマイネルブルック。平成以降、関東所属の牡馬として唯一きさらぎ賞を制している馬である。この年のダービーは、変則二冠を目指すキングカメハメハと道営の星コスモバルクとの対戦で注目を集めたが、コスモバルク、コスモサンビーム、マイネルデュプレ、マイネルマクロス、マイネルブルックと『岡田軍団』が揃ったレースでもあった。

レースレコードを更新する激戦が繰り広げられた中で、マイネルブルックは競走中止、予後不良となってしまう。きさらぎ賞では素質ある名馬たちを相手に勝利していただけに、あまりにも惜しい早逝だった。きっと、重賞戦線を盛り上げてくれる存在になっていたはずだ。

ダービー馬、菊花賞馬も多く輩出

きさらぎ賞勝ち馬といえば、ネオユニヴァースやスペシャルウィークがダービーを制しているだけでなく、ナリタトップロードやアサクサキングス、サトノダイヤモンドと秋に菊花賞を制した名馬もいる。2着馬にもメイショウサムソンやダンスインザダークなど名馬が揃っている。春だけでなく、秋や翌年に活躍する馬も多い。

また、ここ5年の1、2着馬のうち半数がディープインパクト産駒と、血統が威力を発揮するレースでもある。特に2021年2着馬ヨーホーレイクと2020年2着馬ストーンリッジは全兄弟。その傾向は舞台が京都から中京に変わっても変わらなかった。今年は異父兄弟であるダンテスヴュー(父キングカメハメハ)が出走するが、牝系の勢いに乗れるのか、それとも何年も続くサンデー系種牡馬優位の状況が壁となるのか。

今年も楽しみな素質馬が揃ったきさらぎ賞。各馬の無事を願いつつ、熱戦に期待したい。


ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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