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【東京新聞杯】上位人気馬死角アリ、頼りになるのは枠順!? 当日まで覚えておきたいデータ

2022 1/30 17:00勝木淳
東京新聞杯インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

過去10年1番人気1勝

最優秀短距離馬グランアレグリアを安田記念で破ったダノンキングリー、さらに19年マイルGⅠ連勝のインディチャンプも引退。今年のマイル路線は4歳シュネルマイスターがいるものの、空席が目立つ状況。どの馬にもチャンスがある。年明けの京都金杯は上位が7、11、2番人気、2着は8歳ダイワキャグニー。混沌とした状態であるといっていい。

安田記念と同じ東京マイルが舞台の東京新聞杯も視野を広く検討したい。ここでは過去10年間のデータをもとに好走傾向について調べていく。


過去10年東京新聞杯人気別成績,ⒸSPAIA


混沌のマイル路線を象徴するわけではないが、東京新聞杯は1番人気が【1-0-2-7】勝率10%、複勝率30%と苦戦。勝利したのは19年インディチャンプだから、ここを1番人気で勝てるようなら春が楽しみになる。とはいえ、この数字では1番人気は信用しづらい。さらに2番人気は【1-0-1-8】勝率10%、複勝率20%とさらに悪く、正直、事前の評価が結果に結びつかない。

3番人気【3-1-1-5】勝率30%、複勝率50%が信頼に足るものの、それでも好走するか否かは半々だ。5番人気【2-3-2-3】勝率20%、複勝率70%、6番人気【0-3-0-7】複勝率30%など、実績等の出走馬プロフィールとしては少し足りないような馬、データ上、マイナス要因が多少あるような馬でも買っていきたい。


過去10年東京新聞杯年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別成績を出すと、4歳が【4-4-3-26】勝率10.8%、複勝率29.7%と勝率面では一歩リード。その単複回収値は53、64で、人気サイドの実績馬であれば買いたいところ。馬券妙味は5歳【3-4-6-30】勝率7.0%、複勝率30.2%、単複回収値84、114。5歳の複穴が面白い。また6歳が【3-1-0-28】勝率9.4%、複勝率12.5%、単複回収値113、59と単勝妙味がある。人気の4歳、複穴5歳、単穴6歳と覚えておこう。


過去10年東京新聞杯枠別成績,ⒸSPAIA


偏りは枠番別成績にみられる。6枠から外は【0-3-6-49】と勝ちきれない。特に8枠は【0-0-1-18】とさっぱり。来たのは東京大好きダイワキャグニー(18年2番人気3着)のみ。勝ち馬は5枠から内で出現しており、2~4枠だと【8-5-2-40】と勝ち切る傾向がある。

今開催の芝はDコース。これは春に向けて内側の馬場を保全するため、内柵を9mも外に出す措置だ。東京のコーナーは比較的緩やかだが、Dコースとなると、もはや大回りといったレベル。外目を通れば、勝負所でかなり外に振られてしまう。そのロスが非常に痛く、この開催、外枠の馬をいかにうまく内側に導けるかがポイント。重賞となればそう簡単ではなく、それがデータにあらわれた形だ。


5歳複穴は前走オープン出走馬

それではここからは年齢別に前走クラスと成績から好走パターンをあぶり出していこう。


過去10年東京新聞杯4歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


4歳はまず前走3勝クラス【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%に注目。若潮Sを勝ったエイシンチラーがいる。実績最上位のファインルージュが該当する前走GⅠは【1-1-1-4】勝率14.3%、複勝率42.9%。ただし前走が秋華賞だった馬はこの10年で出走ゼロ。前走GⅠかつ距離短縮だと【1-1-0-1】。ファインルージュも好走可能だろう。また前走GⅡ・2着ホウオウアマゾンが当てはまる前走阪神Cは【1-0-0-2】。タイムトゥヘヴンの前走ニューイヤーSは【0-0-0-1】だ。


過去10年東京新聞杯5歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


5歳はダーリントンホールが当てはまる前走GⅠが【1-0-1-8】勝率10%、複勝率20%と頼りない。マイルCS以来だと【1-0-0-6】。20年プリモシーンが11着から巻き返したが、同馬はマイル重賞2勝、同コースGⅠ・2着の実績があった。ダーリントンホールは強調しづらい。

注目は前走オープン【1-2-1-9】勝率7.7%、複勝率30.8%。5歳複穴候補はここから出現する。プリンスリターン、アオイクレアトールが当てはまるキャピタルSからの臨戦は【0-1-0-4】。昨年12番人気2着カテドラルがこのパターン。勝ったプリンスリターンもいいが、除外の可能性もある3着アオイクレアトールは重賞実績こそ乏しいものの、この舞台3勝のコース巧者、出走できれば一発を期待したくなる。

重賞なら前走GⅢ【0-2-1-10】複勝率23.1%に該当馬がいる。マルターズディオサの前走ターコイズS組は【0-1-0-1】。19年6番人気2着レッドオルガが6着から巻き返した。マルターズディオサは府中牝馬S3着、瞬発力勝負でなければ期待できる。

京都金杯5着のクリノプレミアムはどうか。前走京都金杯は【0-1-1-5】。14年2着エキストラエンドと15年3着フルーキーがいる。前者は京都金杯1着、後者は4着。もっともクリノプレミアムは前走を見る限り、坂があるマイル戦は微妙だが。


過去10年東京新聞杯6歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


6歳は4、5歳のような格下から好走する馬は少なく、前走GⅡ、GⅢも【0-0-0-13】、評価できるのは前走GⅠ【2-0-0-3】勝率、複勝率ともに40%。ニューイヤーS組は6歳だと【0-1-0-7】と冴えない。この世代はカラテよりカテドラルをとりたい。ただし2勝は14年ホエールキャプチャと16年スマートレイアーの2頭。いずれも前走エリザベス女王杯だった。マイルCS以来だと【0-0-0-2】。昨年2着馬だけに、売れすぎた場合は取り扱いを慎重にしたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


東京新聞杯インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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