コース分析
今週は東京ダ1400mを舞台にGⅢ・根岸Sが行われる。今年最初のGⅠ・フェブラリーSに向けた重要な前哨戦に、地方JpnⅠで好走し前走の武蔵野Sを快勝したソリストサンダー、3戦連続の重賞惜敗を経てタイトル奪取を狙うオメガレインボー、東京ダート巧者のタガノビューティーなど楽しみなメンバーが揃った。
このコースを舞台とする重賞は同レースのみ。今週はコースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは2017年1月28日〜2021年11月28日)。
まずはコース概要。GⅠの舞台にもかかわらず芝スタートのダ1600mとは違い、シンプルなダートスタートのワンターンコース。スタート直後のなだらかな起伏を超えて3、4コーナーの平坦な道のりを進み、500mを超える最後の直線を迎える。2.4mの高低差を誇る坂を超えてなおもう一脚が必要で、スピードだけでは押し切れない総合力が問われるコースだ。
枠別成績は綺麗な横一線
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<東京ダ1400m・過去5年の枠別成績>
1枠【49-44-64-717】勝率5.6%/連対率10.6%/複勝率18.0%
2枠【52-58-46-738】勝率5.8%/連対率12.3%/複勝率17.4%
3枠【62-72-55-730】勝率6.7%/連対率14.6%/複勝率20.6%
4枠【57-65-60-745】勝率6.1%/連対率13.2%/複勝率19.6%
5枠【60-65-54-748】勝率6.5%/連対率13.5%/複勝率19.3%
6枠【55-52-68-755】勝率5.9%/連対率11.5%/複勝率18.8%
7枠【77-51-48-752】勝率8.3%/連対率13.8%/複勝率19.0%
8枠【57-60-73-742】勝率6.1%/連対率12.6%/複勝率20.4%
枠別成績はまったくの横一線。回収率の観点からは1、2枠が低調だが、消しと断言できるほど悪い数字でもない。該当馬を機械的に買い目から外すのは最終手段として、まずはフラットな目線で予想すべきだろう。
ちなみに6番人気以下に限定すると全体的に外枠の回収率が高い。砂被りなどに課題がある馬がスムーズにレースを運んで能力全開というケースが多いようで、前走は競馬にならず大敗しているような馬でもガラリ一変の可能性が十分。外枠で嫌われるようなら馬券的にも狙い目だ。
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<東京ダ1400m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【84-70-39-275】勝率17.9%/連対率32.9%/複勝率41.2%
先行【180-187-179-1176】勝率10.5%/連対率21.3%/複勝率31.7%
差し【151-141-170-2269】勝率5.5%/連対率10.7%/複勝率16.9%
追込【54-69-80-2195】勝率2.3%/連対率5.1%/複勝率8.5%
脚質別ではセオリー通り前が有利だが、新馬、未勝利戦の傾向が色濃く出ている面が強い。特別戦に限定した複勝率では逃げ:28.3%、先行:31.2%と逆転し、差しの好走率も向上。クラスが上がれば上がるほど単純な逃げ残りは減り、末脚の重要性が増すことを覚えておきたい。
同コースで最もハイレベルな根岸Sでは上がり最速が【3-1-1-1】。昨年は10番人気のワンダーリーデルが2着、20年も9番人気のスマートアヴァロンが3着に突っ込んできた。直線勝負にかけるキレ味自慢は伏兵でも要警戒、買い目に入れておくべきだろう。
オメガレインボーに厳しいデータ
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<東京ダ1400m・過去5年の種牡馬別成績>
ヘニーヒューズ【29-22-21-168】勝率12.1%/連対率21.3%/複勝率30.0%
シニスターミニスター【19-17-16-130】勝率10.4%/連対率19.8%/複勝率28.6%
サウスヴィグラス【14-22-16-154】勝率6.8%/連対率17.5%/複勝率25.2%
アイルハヴアナザー【3-1-3-82】勝率3.4%/連対率4.5%/複勝率7.9%
種牡馬別成績では29勝のヘニーヒューズがダントツでトップ。下級条件での勝ち鞍が全体の数字を伸ばしている面はあるものの、オープンクラスでもタガノビューティーやフルデプスリーダーなどが活躍。根岸Sには前述のタガノビューティーを筆頭に複数の登録馬がいる。
同様にダート種牡馬としておなじみのシニスターミニスターも優秀な成績。単複回収率ともに90%近辺と水準以上に妙味があり、7、8枠で好走率と回収率が向上する。スリーグランドなど該当馬が外枠を引けば注意しておきたい。
その他テイエムサウスダンのいるサウスヴィグラスまで評価できるが、オメガレインボーとサヴァの父アイルハヴアナザーはかなり厳しい。2勝クラス以上では馬券圏内がなく、特にオメガレインボーは人気必至であるため、消すのも一策だ。
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<東京ダ1400m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【46-20-25-67】勝率29.1%/連対率41.8%/複勝率57.6%
戸崎圭太【33-33-26-139】勝率14.3%/連対率28.6%/複勝率39.8%
三浦皇成【30-22-32-147】勝率13.0%/連対率22.5%/複勝率36.4%
横山和生【0-9-5-73】勝率0.0%/連対率10.3%/複勝率16.1%
騎手別成績ではルメール騎手が複勝率6割近い好成績をマーク。単勝回収率104%、複勝回収率92%も文句なしだ。門別所属時代を含めて6連勝中のクロパラントゥは藤沢和雄厩舎最後の大物といっていい逸材、出走が叶えばかなりの有力候補だ。
戸崎圭太騎手はルメール騎手と比べると見劣りするものの、関東の頭領として恥ずかしくない成績。根岸Sでもサンライズノヴァとベストウォーリアでの2着があり、フェブラリーSでも2着に入った。武蔵野S以来となるソリストサンダーも結果が求められる。その他では三浦皇成騎手も悪くない。
評価を下げたいのは横山和生騎手。人気薄への騎乗が多かった面は否めないが、それでも100回近い騎乗機会がありながら未勝利。特に5枠より外では【0-1-2-33】複勝率8.3%、複勝回収率31%というデータが出ており、平場などでも応用したいところ。
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《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開。新入部員は随時募集中。
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