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【有馬記念】年末の大一番を世代別に徹底分析! 今度こそ一発あるぞ、アリストテレス

2021 12/19 17:00勝木淳
有馬記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

世代別では3、5歳が優勢

いよいよ21年JRAの競馬も有馬記念を迎える。今年も1年、ああでもないこうでもないとのたうち回る私の記事にお付き合い、ありがとうございました。さて、グランプリはファン投票で選出される夢のレース。年末の大勝負、ここは自分の夢をどの馬に託すのかという目線で選んでみてもよい。好きな馬の単勝で勝負をかける、これも有馬記念の作法だったりする。

今年の有馬記念は女王クロノジェネシスが引退。エフフォーリア、タイトルホルダーら3歳勢とグランプリ3連勝中の女王との最初で最後の激突を軸に、ディープボンド、アリストテレス、アカイイトら実力ある4歳勢。さらに小さくてもスタミナを備えるメロディーレーン、中距離GⅠで厳しいラップを刻み、レースの価値を支え続けたキセキのラストランなど話題豊富。たのしい一週間になる予感しかない。ここでは過去10年間のレース傾向をもとに有馬記念について考える。


過去10年有馬記念人気別成績,ⒸSPAIA


紛れが多く、流れ次第で問われる適性が変わる中山芝2500mが舞台とあって、有馬記念はダイユウサク、メジロパーマー、マツリダゴッホなど波乱決着も多い。しかし、ここ10年、1番人気は【6-1-1-2】勝率60%、複勝率80%と手堅い。負けたのは引退レースだった15年ゴールドシップ、熱発でローテが狂った19年アーモンドアイの2頭。一方、2~4番人気は1勝ずつで複勝率は40%以上。5番人気が【0-1-0-9】なので、上位4頭は強力。もちろん15年8番人気ゴールドアクター1着など波乱もあるものの、中心は上位人気でよさそう。


過去10年有馬記念年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別成績では3歳が【4-2-2-14】勝率18.2%、複勝率36.4%と圧倒的。翌週には4歳になる3歳勢が、斤量2キロ減55キロで出走できるのは大きい。なお3歳かつ1番人気だと【3-0-0-0】。エフフォーリアのクロノジェネシスとの1番人気争いにも注目したい。

古馬は4歳【2-5-2-36】勝率4.4%、複勝率20%より5歳【4-3-5-44】勝率7.1%、複勝率21.4%が優勢。同斤だと5歳勢の豊富な舞台経験がものをいうようだ。


世代別にローテ分析、狙いはアリストテレス

今年の有馬記念、テーマは世代間争い。ということで、ここからは世代別に前走成績を分析。より明瞭に好走パターンを示してみたい。


過去10年有馬記念3歳馬前走レース別成績,ⒸSPAIA


まず3歳勢から。その前走レース別成績を出すと、好走は菊花賞【4-1-2-4】勝率36.4%、複勝率63.6%、天皇賞(秋)【0-1-0-0】に限られる。天皇賞(秋)経由は19年3番人気サートゥルナーリア2着。同馬は中山のホープフルS、皐月賞を連勝したコース巧者。皐月賞馬エフフォーリアに重なる。サートゥルナーリアは東京コースで着順を落とすタイプで、天皇賞(秋)6着から巻き返したが、エフフォーリアは天皇賞(秋)を勝っての参戦。この違いを根拠にエフフォーリアを嫌っていいものか。むしろ、サートゥルナーリアより格上位とみるべきではないか。


過去10年有馬記念前走菊花賞組着順別成績,ⒸSPAIA


1着タイトルホルダー、4着ステラヴェローチェ、9着アサマノイタズラが当てはまる菊花賞組について着順別成績をみる。勝った馬は【3-0-2-0】とこの10年、崩れ知らず。3000mを走った経験が流れ次第でスタミナ寄りになる有馬記念で役立つ。ましてタイトルホルダーは菊花賞を逃げて圧勝。万が一、ぬるい流れになるようなら自ら主導権を握って支配できる。これは強みだ。また4着【1-0-0-0】など菊花賞で負けた組の巻き返しもあり、皐月賞3着ステラヴェローチェ、セントライト記念を追い込んで勝ったアサマノイタズラも一発を秘める。


過去10年有馬記念4歳馬前走レース別成績,ⒸSPAIA


4歳の前走レース別成績をみる。今年の出走馬で当てはまるのは、ディープボンドの凱旋門賞【0-0-0-3】、アカイイト、ウインキートスのエリザベス女王杯【0-0-0-7】と不振データばかり。4歳でデータから狙うなら、アリストテレスが該当するジャパンC【0-3-2-14】複勝率26.3%だろう。


過去10年有馬記念4歳馬前走ジャパンC組着順別成績,ⒸSPAIA


4歳のジャパンCでの着順別成績は5着以下が【0-2-2-10】複勝率28.6%、負けた組の巻き返しがみられる。東京芝2400mは合わなかったが、中山芝2500mであればというタイプが狙い。アリストテレスはジャパンC9着。中山は今年のAJCCで初重賞Vを決めた舞台。菊花賞2着含め、戦歴をたどると、軽い競馬場よりはパワーを要する舞台向き。前走ジャパンCは意表をついた逃げを選択、課題の折り合いも逃げたことで解消された可能性もあり、一発あるかもしれない。


過去10年有馬記念4歳馬前走レース別成績,ⒸSPAIA


次にクロノジェネシスら5歳勢について。前走レース別成績を好走パターンに限って出すと、クロノジェネシスの凱旋門賞は【1-0-1-1】。4歳とは違い、好走パターン。13年オルフェーヴルが勝ち、14年ゴールドシップが3着。凡走は19年7番人気キセキの5着。フランスから帰国後、十分間隔をとるローテは5歳馬にとっては好相性だ。クロノジェネシスはオルフェーヴルと同じローテで引退を飾れるか。

5歳もジャパンCが【2-0-3-21】勝率7.7%、複勝率19.2%と好相性。7着シャドウディーヴァ、13着モズベッロが該当する。


過去10年有馬記念5歳馬前走ジャパンC組着順別成績,ⒸSPAIA


5歳のジャパンCでの着順別成績を出すと、4歳とは正反対で6着以下は【0-0-0-12】。適性が合わずに負けた馬というより、実力面でちょっと足りない馬が多いという評価。5歳、前走ジャパンC組で有馬記念好走は4着以内が条件。シャドウディーヴァもモズベッロも残念ながらこのデータには合致しない。

クロノジェネシス、エフフォーリア、タイトルホルダー、ステラヴェローチェ、アサマノイタズラ、アリストテレス。個人的にはこのなかから夢を託す馬を探したい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2005-2009 00年代後半戦』(星海社新書)。


有馬記念インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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