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【京成杯AH】本格化を迎えた実力馬が好枠ゲット 東大HCの本命はカラテ

京成杯AHインフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

開幕週でも全体でみればむしろ差し有利

9月12日(日)に中山競馬場で行われる京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ・芝1600m)。サマーマイルシリーズ最終戦であり、秋競馬の開幕を告げるレースでもあるハンデ戦に16頭が集結した。

人気が予想されるのは昨年の2歳マイル王者グレナディアガーズや関屋記念2着のカラテ、GⅢのマイル重賞で惜敗続きのカテドラルといった面々。ここを制し秋冬の大舞台へ向け弾みをつけるのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。


過去10年京成杯AHレース傾向,ⒸSPAIA


最初に過去10年のレース傾向を分析する(14年は新潟開催のため除く。以下同様)。19・20年こそ3着内を4角3番手以内の馬が独占していたが、この2年を除けば逃げ馬は【0-0-0-10】、先行馬も【1-1-2-23】で複勝率はわずか15%。ともに苦戦気味だ。差し馬の【5-4-5-25】・複勝率36%に比べるとその差はかなり大きい。近2年の傾向は無視できないものの、全体でみればむしろ後方待機勢の方が健闘している。「開幕週だから先行勢が有利」という定型的な考えは一旦捨てるべきだ。

加えて今年のメンバーには逃げ馬が複数含まれており激しい主導権争いが予想される。展開が後方待機勢に向くことは疑いようがなく、この点からも差し馬の評価を上げたい。データで見ても、前半3Fが35秒未満と比較的速めに流れた6レースでは、4角6番手以内が【2-2-5-33】に対し同7番手以下は【4-4-1-39】という成績。複勝率では大きな差はないが、連対率では後者が前者の2倍。ハイペースなら直線の短い中山でも差し馬が台頭してくる点は覚えておきたい。


アタマで狙うなら断然2枠か5枠

過去5年4回中山同時期同条件枠別成績,ⒸSPAIA


〈過去5年の4回中山開催1~4日目・芝1600m戦〉
1枠/勝率6.3%/連対率14.3%/複勝率20.6%/単回収率52%/複回収率79%
2枠/勝率11.9%/連対率25.4%/複勝率34.3%/単回収率94%/複回収率164%
3枠/勝率2.9%/連対率7.4%/複勝率14.7%/単回収率22%/複回収率35%
4枠/勝率2.8%/連対率7.0%/複勝率15.5%/単回収率11%/複回収率41%
5枠/勝率9.9%/連対率14.1%/複勝率25.4%/単回収率41%/複回収率72%
6枠/勝率6.8%/連対率12.2%/複勝率16.2%/単回収率25%/複回収率36%
7枠/勝率13.3%/連対率22.7%/複勝率26.7%/単回収率135%/複回収率74%
8枠/勝率2.6%/連対率11.8%/複勝率18.4%/単回収率8%/複回収率69%

続いて過去5年の4回中山開催1~4日目における芝1600m戦の枠別成績を調べた。まず最も優秀なのが2枠。複勝率34.3%と安定している上に複回収率も100%を大きく超え、他の枠とは一線を画している。2枠に次いで京成杯AHで強調したいのは5枠。表中ではあらゆる項目で7枠に劣るものの、過去10年の同重賞で【5-1-1-10】と高い勝率を記録。4番人気以内なら【5-1-1-3】と高い水準で安定しており、2枠同様に好枠といえる。

反対に悪いのは3・4・8枠。勝率が3%を割っていて到底アタマでは狙えない成績。いずれの枠も回収率は低調で、該当枠に収まった馬の単勝はリスクが勝ると言わざるを得ない。7枠は好調に映るものの、京成杯AHに限っては過去10年で7枠から連対馬はでていない。コース傾向として有利であることは間違いないが、このレースで軸にするのは避けるべきだろう。


ハイペース濃厚で前に拘らない馬を評価

◎カラテ
順調さを欠きながら臨んだ安田記念を除けば重賞では1着、2着とどちらも連対。3連勝で東京新聞杯を制した実力は本物だ。前走・関屋記念では最内を突いたロータスランドに敗れたものの、51kgを背負ったソングラインとの追い比べには勝利。単純比較でNHKマイル3着のグレナディアガーズより力は上といえよう。ここ3戦は直線の長いコースを使われているが、中山マイルは2戦2勝と舞台に不安なし。スローペースからの末脚比べとなると分が悪いので、メンバー構成的に十中八九前傾ラップとなるのは歓迎だ。

◯カテドラル
安田記念ではさすがに出番がなかったが、近走は重賞で2着3回と堅実な成績。特に4走前の東京新聞杯ではカラテと差のない2着で、重賞勝ちこそないものの力は劣っていない。また3走前は同じく中山マイルで行われるダービー卿CTで2着に好走。その時と同様に今回も逃げ馬多数で状況は酷似しており、再び差す形がハマれば再現どころか念願のタイトルも夢ではない。

▲グランデマーレ
馬体が成長するに伴って今年に入りメキメキと力をつけてきた。初の重賞挑戦となった関屋記念でも上がり最速で5着と通用するところは見せており、重賞でも力は足りている。また左回りでは右に張る癖があるようで、完全な実力を発揮できない。逆に右回りは4戦4勝と隙がなく、距離は異なるものの中山経験もある点は非常に心強い。2枠という枠にも恵まれ、ハンデが4歳以上の牡馬では最軽量の55kgである点もプラスだ。

△カレンシュトラウス
前走は外からただ一頭伸びてきての差し切りVで着差以上の好内容。脚質に自在性があり、前走のように脚を溜める競馬もできる点は大きな武器だ。過去10年で3勝クラスを勝っての臨戦馬は【3-0-0-3】と半数が連勝で重賞制覇を飾っている。ハンデ戦ということもあってクラスの壁はなく、デビューから馬券内を外していない本馬の堅実さはここでも通用するはずだ。

以下、苦しい展開が見込まれる点はマイナスだが昨年の2着馬で中山マイルが得意なスマイルカナと、久々を苦にせず昨年の同週に行われた紫苑Sを勝ったマルターズディオサまで印を回す。そして人気が予想されるグレナディアガーズに関しては、古馬換算で58kgのハンデと、NHKマイルからの臨戦馬が【0-0-1-7】と連対例がないことを理由に無印とする。

▽京成杯AH予想▽
◎カラテ
◯カテドラル
▲グランデマーレ
△カレンシュトラウス
×スマイルカナ
×マルターズディオサ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ 約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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