秋華賞以降にも繋がるレース
夏競馬も終わりいよいよ秋競馬が開幕。中山競馬場では秋華賞トライアルの紫苑Sが行われる。
2016年の重賞昇格以降、18年1着のノームコアはその後ヴィクトリアマイルMや香港カップを勝利。17年勝ち馬ディアドラは勢いそのまま秋華賞も制し、19年にはイギリスGⅠナッソーSを勝利した。他にも16年の2着馬ヴィブロスが翌年ドバイターフを制するなど、世界で活躍する馬を輩出している。
今年もオークス3着ハギノピリナやフラワーC勝ち馬ホウオウイクセルら春の実績馬と、夏の上がり馬エイシンチラーや2戦2勝の良血馬エクランドールなどが出走予定。過去10年のデータを見ながら勝ち馬を紐解いていく。(14年は新潟開催)
先行馬が連対率・複勝率でトップ
まずは過去10年の脚質別成績を見ていく(2014年は新潟開催のため含めず)。先行馬が【3-3-4-21】で勝率9.7%、連対率19.4%、複勝率32.3%。連対率と複勝率でトップ。
差し馬が【4-6-4-52】と、先行馬と差し馬だけで3着内馬24頭、つまり9割を占める。逃げや追込みなど極端な競馬をする馬は馬券に絡む可能性が低く、敬遠したい。
続いて人気別成績を見ていく。1番人気は【3-2-1-4】で勝率30.0%、連対率50.0%、複勝率60.0%と安定。重賞になった近5年では【2-1-1-1】と更に好成績。今年はどの馬になるか読みづらいメンバーだが、春の実績馬でも夏の上がり馬でも1番人気は抑えておきたい。
前走1着馬が最多4勝
次に前走の着順別成績を見てみる。前走1着馬が【4-4-3-37】と最多の4勝を挙げており、内訳は2勝クラスを勝ってきた馬が1勝、1勝クラス勝ち直後が3頭。条件戦勝ちの勢いは侮れない。一方、前走6着以下から紫苑Sで3着内に巻き返した馬のほとんどが前走GⅠ出走馬で、直近の5頭はいずれもオークス組。GⅠ以外を大きく負けているような馬は割引が必要だ。
これに関連して前走クラス別成績を見てみると、1勝クラスが【3-3-4-57】、2勝クラスが【3-3-1-20】で計6勝。前者のエクランドール、後者のエイシンチラーともに問題ない。実績馬の方はというとオークスなど前走GⅠ組【3-2-4-27】、2勝クラス組より若干だが好走率が劣る。当然ながらこちらの方が人気になるため、回収率も微妙。今年はオークス3着ハギノピリナあたりもいるが、データ的にはいまひとつ妙味に欠ける。
レース間隔別でも見てみると、夏を休養に充てた馬が中心の中9~24週が【5-3-7-71】と勝利数は多い。ただ、出走頭数が多いため勝率や連対率は強調できない。むしろ夏に勝ち上がってきた馬の方が数字上はわずかながら優勢。しかも、こちらの組は前走大敗馬をまとめて割り引けるため狙いやすいという事情もある。
まとめ
上記のデータをもとに2頭を推奨する。
一頭目はエイシンチラー。前走は芝1800mの2勝クラスを勝利。夏に2連勝を飾り着実にステップアップしてきた。前走は上がり最速で追い込み1着。前々走は先行しての1着と脚質の自在性も魅力。中3週での出走も好感が持てる。
二頭目は2戦2勝のエクランドールを推奨する。全兄にフィエールマンがいる良血馬で前走は芝2000mの1勝クラスを勝利。約4か月の休養明けになるが、これもこの血統らしいというべきか。春からの成長が見込まれる。中山は初出走となるが、先行できる脚質もプラス材料だ。
人気が予想されるオークス3着馬ハギノピリナはデータ的にやや厳しい。オークスは17番手から追いこんできた同馬にとって、小回りで直線も短い中山、先行・差しが絶対有利な条件が合うとは考えにくい。大番狂わせを演じた前走だが、それ以上の結果を期待するのは難しいのではないだろうか。
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