ただただ圧巻だったジオグリフ
2歳戦としては最初の1800mで行われる重賞、札幌2歳Sには、クラシックを見据えつつ早期に賞金を確保したい、そんな思惑を持った有力馬が例年集結する。
昨年は1着馬ソダシが桜花賞、2着馬ユーバーレーベンがオークスを……という文句は耳にタコができるほど聞いたので割愛するが、ここでいいパフォーマンスが見せられればGⅠが現実味を帯びてくる。そういう位置付けのレースだ。
今年、このレースを制したのは新種牡馬ドレフォンの産駒、ジオグリフ。圧巻の4馬身差勝利だった。
まずレース前にアクシデントがあった。各馬の枠入り中にドゥラメンテ産駒のダークエクリプスがゲートをくぐって飛び出し、暴れながら外ラチを横っ飛びで越え、背中から落ちてしまった。あまりにも衝撃的な映像ではあったが、一旦の診断としては両前肢挫創で済んだとのこと。とはいえ、若駒だけに精神的なダメージが残らないか心配である。
同馬の除外で出走馬9頭になってレースは仕切り直し。新馬戦を逃げ切っていたトップキャストとリューベックの出方は対照的。トップキャストが好発を決めてハナに立ったのに対し、リューベックはやや出負け、追っつけてインの3番手を取りに行く。
見た目には先行争いも特になかったが、ペースは2~4F目で11秒台を3連発しての1000m通過60.3秒。ラップ的に緩むところが全くなく、先行勢には極めて厳しいレースだった。トップキャストは新馬戦でも引っかかり気味に逃げて好タイム勝ち。自身の強すぎる前進気勢とスピードがアダになった。
リューベックも3~4角の勝負どころで徐々に苦しくなって脱落。こちらは逆に新馬戦が緩いペースでの逃げ切りだったので、息の入らない流れは初体験。これが今後の糧になることを願う。
上位入線馬はいずれも後方待機勢。勝ったジオグリフは伸びあがるようなモサっとしたスタートで、直後にトーセンヴァンノがやや内に切れ込んできたこともあって最後方から。それでもルメール騎手は慌てず騒がず。3角から大外を堂々と進出して差し切った。
離れた2・3着はアスクワイルドモアとトーセンヴァンノ。豊富なキャリアと差して好走した経験がここで活きたもので、今後に向けてという意味ではやや強調材料に欠ける。















