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「関東馬の復権」「GⅠのルメール・川田・福永理論」 2021年上半期のGⅠをデータで振り返る

2021年上半期のGⅠデータⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

関東馬復権の兆し

サマーグランプリ・宝塚記念をクロノジェネシスが連覇し、2021年の上半期GⅠは幕を閉じた。

ここ数年の競馬界を引っ張ってきた女王アーモンドアイが引退したが、白毛馬ソダシの活躍、若武者・横山武史とエフフォーリアのコンビがクラシックを盛り上げ、古馬勢も牝馬を中心に高い能力を誇示するレースぶりが際立った。

今週のコラムでは、今年ここまで行われたJRAのGⅠ・13レース、地方JpnⅠの川崎記念・かしわ記念・帝王賞をデータとともに振り返る。まずはJRA・GⅠの全体成績を確認しよう。

2021年上半期のJRA・GⅠ主なデータⒸSPAIA



<2021年上半期のJRA・GⅠ 主なデータ>
1番人気【4-5-2-2】勝率30.8%/連対率69.2%/複勝率84.6%
中3週以内【1-4-4-64】勝率1.4%/連対率6.8%/複勝率12.3%
関東馬【6-6-4-53】勝率8.7%/連対率17.4%/複勝率23.2%

まず挙げられるのは1番人気馬の好走。エフフォーリアのダービーやグランアレグリアの安田記念など、断然人気馬が負けるケースは多かったものの、4着以下に敗れたのはダノンザキッドの皐月賞とソダシのオークスのみ。複勝率8割超えは十分評価できる数字だ。昨年からGⅠの人気馬は着実に結果を残しており、秋以降も傾向を覚えておきたいところ。

一方、詰まったローテーションでレースに臨んだ馬が厳しい戦いを強いられていた。中3週以下で勝った馬はユーバーレーベンのみで、フェブラリーSのアルクトス(2番人気9着)や皐月賞のアドマイヤハダル(3番人気4着)・ヴィクティファルス(4番人気9着)などが凡走。前哨戦の重要性が年々低下しており「GⅠからGⅠへ」のゆとりある使い方が主流となっていることを裏付ける。

関東馬の大活躍も見逃せない。上半期だけで6勝を挙げたが、これは2017年以来となる快挙だった。特に東京開催での5週連続GⅠではダービー(最先着はエフフォーリア2着)を除く4レースを制覇。お膝元で関西馬に意地を見せつけた恰好だ。「西高東低」が叫ばれて久しいが、実力差が埋まりつつあることのひとつの証左だろう。

福永祐一騎手、ダービー連覇

次に3歳限定GⅠ・5レースを振り返る。

牡馬クラシックは初戦の皐月賞を、横山武史騎手が手綱を取ったエフフォーリアが完勝。2年連続の無敗二冠馬誕生へ向けダービーへ駒を進めた。くしくも父の典弘騎手がメジロライアンと臨んだ当時と同じ年齢で1番人気への騎乗となった。その他、桜花賞2着から勇猛果敢に挑戦してきたサトノレイナスが、ウオッカ以来の牝馬制覇を目指す注目の一戦となった。

レースはエフフォーリアが断然人気に恥じない王道の競馬、力でねじ伏せにかかった直線で、内を突いたシャフリヤールが豪脚で詰め寄り、火の出るような叩き合いを演じたままゴールを駆け抜けた。結果、ハナ差でシャフリヤールが世代最強の座に輝き、福永祐一騎手がダービー連覇を達成、同レース3勝目を飾った。

牝馬クラシックに目を移すと、桜花賞は2歳戦からしのぎを削ってきたソダシvsサトノレイナスの再戦だった。道中3番手から直線しぶとく脚を伸ばしたソダシに、大外枠から腹を決めて後方一気の脚にかけたサトノレイナスが襲い掛かったが、わずかにクビ差ソダシがしのぎ、無敗記録を継続した。

サトノレイナスがダービーに向かい、ソダシ一強ムードが醸成されていたオークスを制したのはユーバーレーベン。「生き残る」という名を与えられた、マイネル軍団の結晶ともいえる血統の持ち主。今年急逝した岡田繁幸総帥に手向けのクラシック制覇を届ける、非常に意義ある勝利だった。

NHKマイルCはシュネルマイスターが優勝。キングマン産駒の同馬は返す刀で安田記念に挑戦し、グランアレグリアを筆頭とする強力メンバーを相手に3着に健闘。秋以降の活躍が楽しみになる走りだった。

「GⅠのルメール・川田・福永理論」

最後に古馬混合GⅠを概観する。

2021年上半期古馬GⅠに関するデータⒸSPAIA



<2021年上半期のJRA・古馬混合GⅠ 主なデータ>
5歳馬【4-4-1-31】勝率10.0%/連対率20.0%/複勝率22.5%
4歳馬【2-2-3-19】勝率7.7%/連対率15.4%/複勝率26.9%
ルメール【3-1-0-2】勝率50.0%/連対率66.7%/複勝率66.7%

まず目立っていたのは5歳馬の活躍。宝塚記念を勝ったクロノジェネシス以下、4勝をマークする大活躍だった。この春ドバイ・香港で頑張ったラヴズオンリーユーや、カレンブーケドールなど牝馬にタレントが揃った世代で、層の厚さを改めて見せつける形となった。牡馬勢も天皇賞(春)のワールドプレミアや安田記念のダノンキングリーが若馬たちを蹴散らしており、秋のGⅠもこの世代中心に考えていきたい。

一方、昨年のクラシック世代である4歳馬は2勝に終わったものの、大阪杯で三冠馬コントレイルを倒して宝塚記念も3着に来たレイパパレを筆頭に、少数精鋭が互角に立ち向かった印象。牡牝三冠両頭は未勝利に終わる寂しい春だったが、このままでは当然終われないだろう。

騎手別ではルメール騎手がさすがの成績を残す一方、川田将雅騎手の【3-0-1-3】にも価値がある。これに福永祐一騎手【1-0-2-4】を加えた3人で古馬平地GⅠ・7レースを総なめにした。3歳戦を含めても、この3人がいずれも連対しなかった平地GⅠは皐月賞だけ。3人の中から正解を選べれば、ほとんどのGⅠが的中していたことになる。さしずめ「GⅠのルメール・川田・福永理論」とでも呼びたい安定感で、ビッグレースで頼りにしたいジョッキーたちである。

地方JpnⅠの先陣を切る川崎記念では、昨年暮れの東京大賞典2着、地方の雄カジノフォンテンが3馬身差の圧勝。久しぶりに南関東からスターホースが誕生した。1番人気のオメガパフュームは2着に終わったものの。これで川崎記念は1番人気18年連続連対(!)となった。

かしわ記念を制したのもやはりカジノフォンテンだった。今度はフェブラリーS覇者カフェファラオに1番人気を譲ったものの、地元では負けられないとばかりの張田昂騎手の堂々たる騎乗ぶりに応えるように、直線迫るソリストサンダーをしのぎ切った。

カジノフォンテンの上半期地方交流JpnⅠ完全制覇がかかった帝王賞は、同馬とチュウワウィザードが伸びあぐね、オメガパフュームもベストとは言い難いレース運びで苦戦する中、松山弘平騎手騎乗のテーオーケインズが3馬身差の快勝。古豪ノンコノユメが2着に突っ込み、大波乱を巻き起こした。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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