外回りで内を通って勝利したのは1頭のみ
先週末の新潟競馬場はとにかく暑かった。特に土曜日は38℃を超え、人にとっても馬にとっても過酷な環境。そうした中でもゴール前大接戦のレースや柴田善臣騎手のJRA最年長重賞勝利記録更新などレース内容も熱いものがあった。
今週末の8月15日(日)に行われるのはサマーマイルシリーズの第3戦、関屋記念(GⅢ・芝1600m)。658.7mの長い直線での追い比べを制するのはどの馬か、馬場傾向と各馬の適性から分析・予想を行っていきたい。
今年の夏の新潟開催は、開幕週からレコードが記録される時計の速い馬場状態。3週目となった先週末も芝2000m(内回り)の3歳未勝利戦で1:59.5のレコードタイムがマークされるなど、引き続き高速馬場となっている。

3着内馬の脚質を見ると、差し馬が7勝、2着4回、3着9回と最も多く台頭しており、次いで先行馬が5勝、2着8回、3着2回という結果だった。

また外回りコースで勝ち馬が直線で内から何頭目のコースを通って伸びてきたのか、3回新潟開催の3週間を週ごとに集計してみたところ、開幕週は最内〜3頭目を通った馬が5勝、4〜6頭目が1勝、6頭目より外を通った馬はゼロ。4〜6頭目にカウントされている1頭も内から4頭目を通っていたように、内有利の傾向が強かった。
しかし、2週目は最内〜3頭目が5勝と最も多かったものの、4〜6頭目が2勝、6頭目より外も2勝と少しずつ外差しも届く馬場となる。そして先週末は最内〜3頭目はわずか1勝のみ、4〜6頭目が3勝、6頭目より外も3勝と外が伸びる傾向に一気に変わった。
51kgなら十分勝ち負け
さらに今週は週中から週末にかけて雨予報が出ており、天候に恵まれた過去3週間の新潟開催とは違う状況でのレースとなりそうだ。馬場が悪化すれば、外を通る馬が有利の傾向はさらに強まると考える。差し馬はもちろんのこと、先行脚質でも上手く馬場の良い外を選択してきそうな騎手が騎乗する馬にも注目しておきたい。
今回の出走馬の中からピックアップしたのは5頭。特に注目している馬には馬名の前に☆をつけている。

【☆ソングライン】
桜花賞では15着と大敗したが、前走のNHKマイルCでは一瞬勝ったかと思わせる2着と好走。勝利したシュネルマイスターは安田記念でも3着となっているようにレースレベルは高かったと言える。これまでスローペースの経験はなく、上がり33秒台を使った経験もないため、新潟外回りの究極の瞬発力勝負になると不安ではある。しかし雨と、ハイペースで逃げるマイスタイルが出走する点は歓迎材料、斤量51kgなら十分勝ち負けになるだろう。
【シャドウディーヴァ】
前走のマーメイドSは右回りでも好走したが、左回りで直線の長いコースでは2019年のフローラS2着、2020年の東京新聞杯2着、府中牝馬S2着、今年の東京新聞杯3着と重賞勝ちこそないが安定感がある。あまり馬場は悪化してほしくないタイプだが、舞台適性と実績を考えると評価しなければならない。
【アンドラステ】
前走の中京記念で待望の重賞初勝利を果たしての参戦となる。昨年は良馬場でも時計のかかる馬場で行われた関屋記念で3着となっているように、適度に時計のかかる馬場が得意なタイプ。道悪での好走実績もあり、高速決着で上がりも速い馬場にならない点は味方につけられそうだ。
【☆ロータスランド】
前走の中京記念は5着に敗れたが、阪神の外回りコースで3連勝とワンターンの競馬があっている印象。さらに3連勝はいずれも道悪での競馬だったことを踏まえると、今回の条件はピッタリと言える。先行脚質なので、あとは直線でいかに馬場の良いところを通れるかだが、今夏新潟を主戦場としている田辺裕信騎手なら上手く乗ってくれるはずだ。
【ラセット】
差しが届く展開で混戦模様になると強い馬。昨年の米子S、中京記念、ポートアイランドS、そして3走前の六甲Sはいずれも直線一気の競馬で馬券圏内に好走している。極端な道悪になるとどうかという点は気がかりだが、穴候補として押さえておきたい。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
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