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【関屋記念】伝統のマイル重賞! 「クセ馬」ブルーイレヴンの勝利、兄弟連覇など関屋記念の歴史を振り返る

2021 8/10 06:00緒方きしん
関屋記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA
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1966年から続く伝統の一戦

盛り上がった東京オリンピックも8月8日で閉幕。しかし9日からは甲子園が、24日からはパラリンピックが開催される。競馬界も負けじと、22日には話題性十分なメンバーが出走を表明する札幌記念が予定されている。

その前に、今週は伝統のマイル戦・関屋記念が開催。こちらも好メンバーが集まった。NHKマイルCで2着のソングライン、前走中京記念を勝利したアンドラステ、東京新聞杯勝ち馬カラテ、さらには昨年の覇者サトノアーサーらが参戦する。

過去にはカンパニー、スマイルジャック、ドナウブルーといった名馬が制しているこの一戦。関屋記念・毎日王冠を制してジャパンCでも4着に食い込んだマグナーテンもいるように、勝ち馬にはマイルに留まらない活躍が期待される。今回は、マイルの強豪が集う関屋記念の歴史を振り返る。

大穴は苦戦するも、中穴にはチャンスあり

関屋記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA



ここ5年ではプリモシーン・ミッキーグローリーの2頭が1番人気に応えて勝利。二桁人気馬が馬券圏内に食い込んだことは、この5年にはなく、さらに遡って2010年リザーブカードの3着が最後。大穴の躍進はあまり見られない傾向にあるようだ。しかし一方で、昨年は4番人気・8番人気で決着。2017年に勝利したマルターズアポジーも7番人気と、いわゆる『中穴』の活躍は多い。

また、ここ5年のうち4勝は、美浦所属・関東馬があげたもの。過去にも、連覇したマグナーテン、福島での変則開催を制したダイワテキサス、7歳馬で制したレッドスパーダなど、関東馬の活躍が多く見られる。特に2010年は1〜3着すべてが関東馬という結果になった。

鞍上も関東所属の騎手が活躍していて、北村宏司騎手は2018年プリモシーン、2013年レッドスパーダ、2010年レッツゴーキリシマ、2000年ダイワテキサスで制するなどここでの強さを見せている。残念ながら北村宏司騎手はレース中の事故による怪我で療養中だが、他にもサトノアーサー・ヤングマンパワーで勝利している戸崎圭太騎手などがここを得意としている。

名伯楽を悩ませたクセ馬ブルーイレヴン

過去には様々な個性派が制している伝統の一戦だが、中でも2004年に制したブルーイレヴンは印象に残る1頭だった。ブルーイレヴンといえば父サッカーボーイ、母父シンボリルドルフという血統だが、何と言っても注目はそのやんちゃっぷりだった。

角居勝彦元調教師が、自身のブログで「勝ったレースより暴走してしまったレースの方が印象に残っている馬」と振り返るほどの馬。東スポ杯2歳Sで勝利して以降、自身との戦いに苦戦しながら現役を続けた彼の、約2年ぶりの勝利がこの関屋記念だった。

そんな彼を、角居元調教師は「角居厩舎も開業当初で、まだ厩舎に力が無かった時だったから、ちゃんと育て上げられなかった怪物くん」としながらも「こういう馬が居たからこそ、その後の角居厩舎が出来上がったんだろうな」と振り返る。

また、関屋記念は勝ち馬だけでなく2着馬が豪華なことも特徴のひとつ。歴代の2着馬には、ジャスタウェイやダイワメジャー、ダノンシャーク、ブラックホークといった名馬たちが名を連ねる。昨年の2着馬トロワゼトワルも、その次走・京成杯オータムハンデで勝利をあげた。

血統の繋がりにも注目

ここ3年連続でディープインパクト産駒が勝利している関屋記念。2018年には1〜3着をディープ産駒が独占した。一方で、昨年3着馬アンドラステはオルフェーヴル産駒、一昨年の2、3着馬はどちらもステイゴールド産駒が食い込むなど、ステイゴールド系の活躍も目立つ。2017年にも、ステイゴールド産駒ウインガニオンが2着に好走した。

また、過去にはマグナーテンやエイシンガイモンが連覇しているほか、蛯名正義騎手や福永祐一騎手が別々の馬で連覇を達成している。そして興味深いのは、2014年勝ち馬クラレント・2015年勝ち馬レッドアリオン。この2頭はそれぞれダンスインザダーク産駒・アグネスタキオン産駒だが、どちらも『母エリモピクシー』という血統だ。エリモピクシーは現役時代は重賞制覇こそなかったものの、母となってからは上述の2頭に加えてリディル・サトノルパンといった重賞馬を輩出する超名繁殖として地位を築き上げた。

今年の関屋記念は、どんな名勝負が見られるだろうか?ここをステップに飛躍する馬が出てくるか、ここを得意とする新たなる血統が登場するか。

ロマンに思いを馳せながら、1966年から続く伝統の戦いを堪能していただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。



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