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【小倉記念】七夕賞組は差し馬、ハンデ増を狙え! 当日まで覚えておきたいデータとは

2021 8/8 17:00勝木淳
2021年小倉記念のデータインフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

中心は4、5歳だが6歳に要注意

サマー2000シリーズ第3戦小倉記念は七夕賞組の取捨選択がカギになる。七夕賞が最終週から開催2週目に移り、いい馬場状態になったとはいえ、今年の決着タイムは2分2秒2。真夏の高速トラック小倉では七夕賞組は時計面の課題がある。とりわけ小倉は今年も変則開催。7月の開催から3週間の休みが入った。直前の3回小倉6日目に行われた芝2000m2勝クラス高千穂特別の決着タイムは1分58秒9だった。

小倉記念は昨年1分57秒5、2年前1分58秒8と前半が緩く流れても速い時計が出る。1分58秒台での決着を想定するならば、七夕賞組は3秒以上時計を詰めなければならない。この七夕賞組の取捨を含め、過去10年間のデータから傾向を考える。


小倉記念過去10年人気別成績,ⒸSPAIA


真夏のハンデ戦とくれば、波乱への期待が高まるもの。1番人気は【2-1-1-6】勝率20%、複勝率40%とやや頼りない。6番人気以内は複勝率ベースでは互角。手広く考えたいレースだ。一方、7~9番人気は数字がやや落ちるなど急所もある。10番人気以下は【2-1-1-46】。昨年の10番人気1着アールスターは記憶に新しい。軸馬選びは6番人気以内の取捨がポイントになるだろう。


小倉記念過去10年年齢別成績,ⒸSPAIA


やはり高速決着となれば、4歳【4-3-0-19】勝率15.4%、複勝率26.9%、5歳【5-5-4-28】勝率11.9%、複勝率33.3%と若い組が断然優位。6歳以上は【1-0-6-63】と連下級とみたい。ただ3着が6頭いるので、切るべきではなく、あえてここを狙うという作戦もありか。このうち5頭が6歳馬。内訳は9、2、6、5、13番人気で14年メイショウナルト以外はすべて前走5着以下に負けた馬だった。昨年覇者のアールスターは前走七夕賞11着、ちょっと不気味な存在だ。


七夕賞組から狙うならショウナンバルディ

次に前走成績から七夕賞組を含め、具体的な好走パターンをあぶり出してみたい。


小倉記念過去10年前走クラス別成績,ⒸSPAIA


七夕賞組が含まれる前走GⅢは【6-5-7-61】勝率7.6%、複勝率22.8%。頭数が抜けている分、確率は下がるものの、まずはここに注目。


小倉記念過去10年前走GⅢ組レース別成績,ⒸSPAIA


前走GⅢ組について、内訳をみると、七夕賞は【3-1-4-40】勝率6.3%、複勝率16.7%と着度数トップながら頭数も多く、狙いを絞りにくい。やはり同じ小回りでも高速馬場の小倉に替わることで着順をさげる馬もいる。これを仕分けできるデータはあるだろうか。


小倉記念過去10年前走七夕賞組前走脚質別成績,ⒸSPAIA


そこで七夕賞での位置取り別成績をみると、逃げた馬は【0-0-1-3】。今年逃げたロザムールは秋まで待機のため、出走せず。であれば、中団【2-0-1-18】勝率9.5%、複勝率14.3%か後方【1-1-1-9】勝率8.3%、複勝率25%が狙い。ちなみに先行した馬は【0-0-1-10】なので、七夕賞組はあまり前に行かなかった馬の成績がいい。小回りなので先行した馬が強そうなもの。ここは注意したい。アールスター、ショウナンバルディあたりが該当する。


小倉記念過去10年前走七夕賞組斤量比較別成績,ⒸSPAIA


しつこく七夕賞組についてもうひとつ。ハンデ戦からハンデ戦なので斤量に注目してみる。小倉記念で好走するのは七夕賞からハンデが重くなった馬、【1-0-2-3】勝率16.7%、複勝率50%。据え置きだと【2-1-2-36】勝率4.9%、複勝率12.2%で確率はぐっとさがる。アールスターは据え置きの可能性があるが、前走55キロで3着だったショウナンバルディはハンデが増える公算が高い。週明けの確定ハンデはチェックしておこう。


小倉記念過去10年前走七夕賞組斤量比較別成績,ⒸSPAIA


最後に【3-1-1-16】勝率14.3%、複勝率23.8%と一発の可能性がある前走3勝クラスについて。夏は上がり馬、格下からここに来る馬は見逃せない。今年も夏の小倉で勝ちあがったダブルシャープが出走予定だ。ところが、前走3勝クラス組について着差別成績をみると、3勝クラスを勝った馬は【0-1-1-10】と思ったほどではない。3勝はいずれも前走3勝クラスを負けた馬。上がり馬とはなにも前走勝ってきた馬とは限らない。ただしダブルシャープは小倉芝【2-2-0-1】のコース巧者。高速決着の2000m戦への適性は疑問だが、馬場状態次第では確実に差してくるだろう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。


小倉記念インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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