中2週のヴィクトリアマイル組
グランアレグリアの相手探しといったムードが漂う今年の安田記念。昨年、短距離GIを3連勝した実績に加え、前走は牝馬マイルGIのヴィクトリアマイルを鮮やかな末脚で快勝。ここも敵なしといった雰囲気になるのは仕方がないところだろう。
ただ、過去10年の前走別成績を見ると、グランアレグリアにもまったく不安材料がないわけではないので、念のため確認しておこう。
ヴィクトリアマイルからの出走馬は過去10年で15頭いて【0-3-0-12】。そのうち9頭がヴィクトリアマイル3着以内馬だけに、過去データからは好走馬でもそれほど信頼はできない印象。勝ち馬が出ていない点も少し気掛かりではある。2着の3頭は2018・2019年のアエロリット、そして昨年のアーモンドアイ。安田記念では単勝5・3・1番人気に支持されていた。
勝ち馬こそ出ていないが、ここ3年は連続して連対馬が出ており、ヴィクトリアマイル組の信頼感はグンと上がっている。成績が上がっている要因を考えて、ひとつ気づいたのが過去3年の安田記念のラップ。アパパネが上位人気で6・16着に敗れた2011・2012年などは、3Fの前後半差がプラス1秒以上の厳しい流れ。ところが、ここ3年は0.3秒、-0.6秒、0.1秒と上がりの速い決着が続いていて、前半に負荷のかからないレースとなっている。
前半は坦々と進み、後半はスピード、切れ味勝負なら牝馬も牡馬と互角以上の勝負ができる。逆にいえば、前半が予想以上に速い流れになったとき、その負荷が牝馬の最後の伸び脚に影響を与える可能性はある。また、消耗戦になったときに、ヴィクトリアマイルから安田記念の中2週の厳しいローテーションも響いてくるかもしれない。
まあ、グランアレグリアの不安材料を探して、重箱の隅をつついていることは分かっているのだが、昨年の安田記念、マイルCS、今年のヴィクトリアマイルと、33秒4~34秒3の速い上がりを鮮やかに差し切った脚を見ていると、この馬はスローの決め手勝負で最も持ち味が生きる印象がある。
グランアレグリアの過去12戦のうち、前3Fより後3Fの方が時計がかかったレース(マイル以上の距離)はNHKマイルC、安田記念、大阪杯の3戦。前後半0.1秒の安田記念は勝っているが、0.7秒差のNHKマイルCは5着(4位入線降着)、1.2秒差の大阪杯は4着に敗れている。もちろん、大阪杯は距離と重馬場の影響が大きかったことは分かっているが、1強グランアレグリアに対する懸命な死角探しということで、もう少しお付き合いいただきたい。