中京芝2000mとは
阪神競馬場の前身である鳴尾競馬場から名前をとった鳴尾記念は、3週間後の宝塚記念に出走意志がありそうな格下馬が集うレースだ。この名前で今年は中京競馬場施行。もう慣れたころだが、油断は禁物。この時期に移った2012年以降のデータも今年は使用できない。そこで、改修後の2012年以降、中京芝2000m、古馬3勝以上40レースを対象にコースデータから探っていきたい。
まず中京芝2000mというコースについて。スタートは正面直線にある坂の立ち上がり部分。発馬直後に急坂を通過後、残り1000m標識付近まで緩やかな上り勾配を進み、そこから残り400m付近まで一気に下り、最後の急坂を迎える。中京競馬場は大雑把にいえば、正面からみて、右側が上り、左側が下りというレイアウト。芝2000mはそんな馬場を一周するので、前半のペースが遅く、後半が速くなりやすい。逆に前半の上り勾配でハイラップになれば、最後の急坂で逆転が待っているコースである。
1番人気は【12-7-5-16】勝率30%、複勝率60%と勝ち切る傾向にあり、かつ崩れない。基本的にスローペースが多いコースで、中距離で切れ味を武器にする馬がその個性を発揮しやすい舞台のため、評判馬が好走しやすい。以下、6番人気ぐらいまでは複勝率は25~30%で安定。だいたいこの辺までが軸候補だろうか。10番人気以下は【4-5-4-212】。今年の金鯱賞10番人気1着ギベオンが記憶に新しい。
前半上って中盤下り、最後に上る、大雑把なレイアウトではあるが、坂適性が問われそうなコースであり、馬体重に注目してみた。500~518キロは【13-6-11-71】勝率12.9%、複勝率29.7%。数が少ない540キロ以上【2-0-1-4】勝率28.6%、複勝率42.9%、これを除けば、500~518キロがもっとも走る。ちなみに540キロ以上といえば、16年愛知杯8番人気1着バウンスシャッセ、18年中日新聞杯7番人気3着ストロングタイタン、21年寿S14番人気1着ツーエムアロンソなど大穴が多いので、覚えておこう。オープン馬は大きな馬が多いので、候補は多くなるが、当日の馬体重500キロ以上は目安に考えたい。
穴を狙うなら、都大路S出走馬
さらに詳しく血統や前走距離に注目しながら、好走ゾーンを探っていきたい。まずは種牡馬別成績をみていく。
ディープインパクト【13-12-8-51】はもはや常識として、2位キングカメハメハ【5-4-7-31】勝率10.6%、複勝率34.0%に注目したい。ブラヴァスら複数が出走予定だ。先ほどの馬体重のデータと重ねると、父キングカメハメハかつ馬体重500~518キロは【2-0-2-4】勝率25%、複勝率50%、単勝回収値168%、複勝回収値107%とおいしい。前走中山記念498キロだったクラージュゲリエが増えて出てくるようなら面白い。
前走距離に注目すると、前走が2000mだった馬は【12-17-21-183】勝率5.2%、複勝率21.5%と勝ちきれないが、複勝圏に来る確率が高い。一方、前走が2000m超だった今回短縮馬が【18-9-11-136】勝率10.3%、複勝率21.8%と勝ち切る傾向にある。有馬記念で競走中止したブラストワンピースが該当する。有力候補のヒンドゥタイムズや前記のクラージュゲリエが当てはまる前走2000m未満は【10-14-9-141】勝率5.7%、複勝率19.0%。極端に評価を下げる必要はなさそうだが、まずは短縮組を上位にとりたい。
前走が2000m超だった馬のそのレースでの位置取り別成績をみると、逃げ【1-0-0-7】、先行【7-3-4-36】あたりが確率的によく、中団【6-4-4-55】、後方【4-0-1-38】は確率が低い。2コーナーまでは2番手だったブラストワンピースが当てはまるだろうか。
今年の出走予定馬に多い前走2000m組について同じように位置取り別成績をみると、こちらは勝率だと後方が【5-2-5-57】勝率7.2%、複勝率17.4%といい。ブラヴァスがこれに該当する。複勝圏内であれば、逃げ【0-2-4-14】複勝率30%、先行【3-4-5-43】勝率5.5%、複勝率21.8%、中団【4-9-6-68】勝率4.6%、複勝率21.8%も十分狙える。該当するのはサンレイポケット、ペルシアンナイト、ショウナンバルディ、アフリカンゴールドなどがいる。
データに合致するブラストワンピースは心房細動明け、仕切り直しの一戦だけに状態をよく見極めたいところだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。
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