高速決着&淀みない流れが特徴
5月16日(日)に東京競馬場で行われるヴィクトリアマイル(GⅠ・芝1600m)。昨年の最優秀短距離馬でマイルに戻ってきたグランアレグリアをはじめ、高松宮記念2着のレシステンシア、阪神牝馬Sを制したデゼル、4連勝中のテルツェットなど好メンバーが揃った。昨年はアーモンドアイが格の違いを見せつけたが今年はどうなるか。過去の傾向も参考にしつつ予想していく。

まずは、過去10年のヴィクトリアマイルについてタイム面から見ていく。勝ち時計はまさに春の東京開催といえる高速決着で、良馬場であれば1分30秒台から1分32秒台前半となっている。
前半から淀みのない流れになることが多く、前半4Fが後半4Fより1秒以上遅かったのは2017年【47.9-46.0】と2018年【46.8-45.5】の2回しかない。逆に前半が1秒以上速かったのも2011年【44.6-47.3】の1回のみであり、基本的には前後半の差が小さい、淀みのない流れになるレースだと言える。執筆時点の天気予報では降雨予想は出ておらず、このままいけば例年通り、締まったペースでの高速決着になる可能性が高いと見ていいだろう。

また、毎年似た傾向になるからだろうか、リピーターの好走も目立つ。2013年、2014年にはヴィルシーナが、2015年、2016年にはストレイトガールが連覇を達成しており、2017年3着のジュールポレールが2018年には勝利している。
特に興味深いのはヴィルシーナが連覇した年のラップが酷似していることである。2013年が【12.4-10.8-11.4-11.7-11.9-11.4-11.2-11.6】であるのに対し、2014年が【12.4-10.7-11.6-11.5-11.8-11.4-11.2-11.7】と各区間の差が最大で0.2秒しかない。
ストレイトガールが連覇した際も、大逃げ馬がいたかどうかの違いが生じているが、似たようなラップ構成となっている。またジュールポレールの年についても、近年では珍しいスローペースが2年連続したものだった。このように、前年と似た流れになりそうな年はリピーターに要注意だ。
スピードの持続力に長けたレシステンシアに期待
以上で述べた通り、ヴィクトリアマイルでは淀みのない流れの高速決着になりがちなので、一瞬の切れ味というよりも持続力のあるスピードを持った馬を中心視すべきだ。また、昨年はトロワゼトワルが締まった流れを作り出したが、今年はレシステンシアが同じような流れを作り出しそう。ならばリピーターにも注意しておきたいところだ。
これを踏まえて本命はレシステンシアとする。2歳時の阪神JFを前半から飛ばして快勝するなどスピードの持続力は一級品で、いかにも春の東京マイルという舞台に合っている。実際昨年のNHKマイルCでは、道悪の桜花賞をハイペースで先行した後&レース中に骨折していたという悪条件の中2着であり、万全なら勝っていたと言ってよい内容だ。
前走の高松宮記念では、外枠から先行することができなかったが、中団から差す競馬で差のない2着。十分強い内容であったが、スプリント戦では周りの逃げ馬も速いためスピード能力を最大限に活かすことはできない。マイルで持ち味のスピードを活かす競馬のほうが良さそうだ。強みを活かせるこの舞台なら、グランアレグリアとも張り合えると見て本命とする。
対抗はグランアレグリア。この馬の強さは言うまでもないが、昨年の安田記念が圧巻の内容だ。ヴィクトリアマイルを圧勝してきたアーモンドアイを完封し、2馬身半の差をつけたのは相当な能力というよりほかない。また、この安田記念は稍重で行われていたが、1:31.6というタイムを叩き出しており、良馬場なら1分30秒台での決着でも問題なく戦えると見ていいだろう。
前走の大阪杯では4着に敗れたが、重馬場に加えて3角から動いていかざるを得ない流れになってしまった分だ。2000mでも折り合えていたように、気性面は2、3歳時に比べて非常に成長しており、隙はほぼ見当たらなくなっている。前走でかなり苦しい競馬をしている分、見えない疲れが残っているかもしれず対抗にとどめたが、当然ここでも勝ち負けだ。
3番手にテルツェット。目下4連勝中で、まだ一度も馬券圏内を外したことのない安定株だ。前走のダービー卿CTは、直線半ばであっという間に抜け出して押し切る完勝。4角で外を回して押し上げていきながら、急坂がある最後の200mも11.9(レースラップがこの数字で、残り200m地点で当馬は2番手なので、この馬自身のラップは11.7〜11.8ほど)でまとめており、かなり強い内容と言えるだろう。
淀みないペースにも、高速決着にも対応できているので、GⅠの舞台でも十分勝負になりそう。420キロほどしかない軽い馬体で前走もマイナス体重だったことや、出遅れ癖があることは課題だが、爆発力という点では期待できる1頭だ。
4番手にサウンドキアラ。近走は不振だが、スワンSは伸びない内を通った、マイルCSは外枠&位置取り悪化と、昨秋の敗因はしっかりしている。また、阪神カップは大外を回しながらインディチャンプと差のない4着、高松宮記念では適性外の1200mでも差のない6着と、近2走は内容が良くなってきている。昨年の2着馬であり今年も似たような流れになりそうなので、リピーターとして推したい1頭だ。
最後に穴っぽいところでクリスティを推す。前走の六甲Sでは淀みない流れを自ら生み出し、押し切って勝利。先行勢は全滅して後方待機組が好走していることを考えると、相手のレベルに疑問は残るものの十分強い競馬だったと言える。時計勝負は未知数だが、持続力勝負にはもってこいなので、速い時計に対応できればチャンスありとみる。
デゼルは、適距離が1800m~2000mにありそうで、マイルなら前走のようなスローペースからの瞬発力勝負の方が合う。淀みなく流れると追走に苦労し脚が溜まらないとみてここは見送りたい。
買い目は3連単フォーメーション◎○→◎○→▲△☆を本線とし、馬連フォーメーション◎○-▲△で押さえておきたい。(文:川崎)
▽ヴィクトリアマイル予想印▽
◎レシステンシア
○グランアレグリア
▲テルツェット
△サウンドキアラ
☆クリスティ
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
《関連記事》
【ヴィクトリアマイル】グランアレグリアに逆らう余地なし! ハイブリッド式消去法で残るのは最大7頭
【ヴィクトリアマイル】今年も「リピート・リベンジ馬」の好走はあるのか? 牝馬マイル決戦の注目ポイント
【ヴィクトリアマイル】両雄並び立たず! グランアレグリアとレシステンシア、評価すべきはどっちだ?