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【ヴィクトリアマイル】両雄並び立たず! グランアレグリアとレシステンシア、評価すべきはどっちだ?

2021 5/9 17:00勝木淳
ヴィクトリアマイルインフォグラフィック1ⒸSPAIA
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距離短縮の1番人気【2-1-0-1】

牝馬の時代と言われて久しい。春の牝馬GⅠヴィクトリアマイルもここ2年、明らかにレベルが一段高まった。かつては牝馬限定戦らしく後半が速い切れ味比べになるレースが多かったが、ここ2年は内容がまるで違う。ノームコアが勝った19年は前後半800m44.8-45.7、1分30秒5。アーモンドアイの20年は前後半45.6-45.0、1分30秒6。

勝ち馬のレベルは言うまでもないが、逃げ馬も強く、ペースが明らかに異なる。19年アエロリット、20年トロワゼトワル、ともに牡馬相手の重賞でも通用するスピードがあった。今年はグランアレグリアが登場。先行馬もイベリス、スマイルカナ、レシステンシアと出そろった。ハイレベルになった直近2年の勝ち馬はいずれも中距離からの距離短縮組。グランアレグリアは、この傾向に続けるだろうか。なおデータは過去10年間のものを使用する。


過去10年人気別成績ⒸSPAIA


1番人気は【2-3-0-5】勝率20%、複勝率50%。半数が馬券圏外という結果は、グランアレグリアには不安だが、距離短縮で挑んだ馬に限ると、20年アーモンドアイなど【2-1-0-1】。圏外は15年6着ヌーヴォレコルトしかいない。注目はそこに次ぐ2番人気【1-0-1-8】、3番人気【0-1-2-7】と成績が低迷していること。勝ち馬は11番人気以内から出現、7番人気の複勝率40%など、極端に絞らず、馬券は手広くいきたい。


過去10年年齢別成績ⒸSPAIA


4歳【5-6-3-66】勝率6.3%、複勝率17.5%、5歳【3-3-6-51】勝率4.8%、複勝率19%で4歳がやや優勢。牝馬はサイクルが早く、ましてマイルとなればある程度のスピード能力が問われるため、こういった数字になったが、11年ブエナビスタ、20年アーモンドアイなどGⅠ級は5歳でも好走する。4歳レシステンシアと5歳グランアレグリアは互角だろう。また15年18番人気3着ミナレット、18年8番人気1着ジュールポレール、7番人気3着レッドアヴァンセなど5歳は穴馬の激走が目立つ。今年も伏兵は5歳が多く、侮れない。


高松宮記念好走後は……

さらに個別の戦歴ごとに詳しく好走傾向について考えていきたい。まずは前走クラス別成績からみる。


過去10年前走クラス別成績ⒸSPAIA


3着以内の30頭はすべて前走重賞出走馬で、条件クラス、オープン特別だと【0-0-0-11】。古馬牝馬限定のGⅠレースはこのヴィクトリアマイルとエリザベス女王杯のみ。距離体系の多様化が進む時代であっても、ここまで限られると、さすがに精鋭がここに集結。自然とメンバーレベルは上がり、格下の馬は出走すら難しい。ではこの重賞組についてさらに詳しく掘り下げよう。まずは【2-1-2-17】勝率9.1%、複勝率22.7%のGⅠ組から。


過去10年前走GⅠ組レース別成績ⒸSPAIA


有馬記念【1-0-0-0】は20年アーモンドアイ。大半は高松宮記念【1-0-2-12】勝率6.7%、複勝率20%である。今年も2着レシステンシア、6着サウンドキアラ、8着マルターズディオサ、12着ダノンファンタジーが登録した。なおグランアレグリアが当てはまる前走大阪杯は、GⅠ昇格後はゼロだ。


過去10年前走GⅠ組着順別成績ⒸSPAIA


前走GⅠ組の傾向をつかむ上で、その前走での着順別成績をみる。前走3着以内は【0-0-1-4】。サンプルが少ないものの、前走でGⅠを好走した馬は案外走らない。逆に前走6~9着だと【1-1-0-7】、10着以下が【1-0-1-6】なので、前走GⅠ組の好走パターンは大きく負けた組といっていい。

これは大半が高松宮記念であるという点につながる。スプリント戦の高松宮記念で適性が合わずに負けた馬が、マイルのヴィクトリアマイルで巻き返すということだ。であれば、距離適性でマイルはやや長いかもしれないレシステンシアよりサウンドキアラ、マルタ―ズディオサ、ダノンファンタジーの巻き返しが狙い目か。

アーモンドアイが有馬記念9着以来だったように、大阪杯で4着だったグランアレグリアが得意条件で再浮上というパターンは十分考えられる。


阪神牝馬S敗退組にも注意

では次は前走GⅡ【6-5-5-71】勝率6.9%、複勝率18.4%について。トライアルを含むこの組の好走パターンをみていこう。


過去10年前走GⅡ組レース別成績ⒸSPAIA


まずGⅡ時代の産経大阪杯【1-1-1-1】に注目。GⅠになってステップレースから目標にするレースへ変化し、データ自体が有効ではないという見方もできるが、2000mの大阪杯からヴィクトリアマイルというローテは、このデータから悪くないといえる。グランアレグリアの優位は動かないだろう。

着度数でトップはトライアルの阪神牝馬S【4-4-4-59】。同レースの距離がマイルになった16年以降は【3-3-3-33】、5年連続で3着以内馬を送る重要トライアルだ。


過去10年前走阪神牝馬S組着順別成績ⒸSPAIA


阪神牝馬S3着以内【1-3-3-19】、5着【1-0-1-2】、6着以下【2-1-0-33】と満遍なく好走する。1、2着のデゼル、マジックキャッスルだけでなく、5着エーポス、6着イベリス、9着リアアメリアまで見限れない。


過去10年前走阪神牝馬S組位置取り別成績ⒸSPAIA


もう少し絞りたいので、阪神牝馬Sでの位置取り別成績をみる。逃げた馬は【0-0-0-5】で苦戦。イベリスは先行馬がそろうここでは苦しいか。先行【2-1-2-12】、後方【2-1-0-17】が好走ゾーン。先行して5着だったエーポス、後方から競馬した9着リアアメリアなどは人気も下がり、狙いごろではないか。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。


ヴィクトリアマイルインフォグラフィック2ⒸSPAIA


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