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【ヴィクトリアマイル】今年も「リピート・リベンジ馬」の好走はあるのか? 牝馬マイル決戦の注目ポイント

2021 5/11 06:00緒方きしん
ヴィクトリアマイル過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

多彩なメンバーが激突

NHKマイルCではシュネルマイスターが勝利。クロフネ以来、20年ぶりの「マル外」によるNHKマイルC制覇となった。さらには、日本で調教されたドイツ産馬としては初めてのGⅠ制覇でもある。

ドイツ産馬のJRA・GⅠ勝利自体も1995年のジャパンCを制覇したランド以来2度目であり、そもそも欧州産馬のJRA・GⅠ制覇も2005年の安田記念・アサクサデンエン以来16年ぶりの記録となる。そろそろ競馬ファンも「〜年ぶりの記録」という言葉も耳ダコかもしれない。ただ、それだけ最近の競馬界は話題がたくさんあるということでもある。ぜひ、盛り上げていきたい。

さて、今週はヴィクトリアマイル。秋にエリザベス女王杯があることから、大英帝国のヴィクトリア女王に由来するレース名と考えてしまいそうになるが、実際はローマ神話に登場する勝利の女神に由来するレース名である。その勝利の女神に微笑まれるべく集まったメンバーは、今年も多彩だ。

人気の中心は、スプリント・マイル女王のグランアレグリア。昨年この距離では絶対的な強さを誇った名牝が、大阪杯4着を経てマイル戦へ復帰する。前走はレイパパレというニューヒロインの後塵を拝することになったが、この距離この条件では負けたくないところ。

迎え撃つのは高松宮記念組からレシステンシア・サウンドキアラ、牝馬重賞組からデゼル・マジックキャッスル、そして牡牝混合重賞組からテルツェット・スマイルカナなど。特にスマイルカナは、故・岡田繁幸氏にタイトルを贈りたいところであり、テルツェットもここまで6戦5勝と底を見せていない馬で、魅力は十分だ。

海外からの帰国組はいないものの、今年も様々な路線からの参戦が目立つレースとなった。

1番人気は苦戦、大波乱はあるか

ヴィクトリアマイル過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA



11番人気ヴィルシーナが勝利し、1番人気のスマートレイアーが8着に沈んだ2014年以来、6年連続で1番人気が敗れてきたヴィクトリアマイル。ウオッカが敗れ、ブエナビスタが敗れ、リスグラシューが敗れ、ラッキーライラックが敗れたレースである。リスグラシューやラッキーライラックの本格化はその少し後だったとはいえ、1番人気馬にとって鬼門であることは間違いない。

昨年、ようやくアーモンドアイが勝利しジンクスを打ち破ったものの、次なる壁は「2年連続で1番人気が勝つか」といったところか。実際、2年連続で1番人気が勝利したのは2009年、2010年のウオッカ・ブエナビスタのリレーまで遡る。アーモンドアイ・グランアレグリアのリレーは、繋がるのだろうか。

──だからといって2番人気、3番人気が好調かと言えばそうでもなく、2番人気は2011年アパパネが勝利して以降は未勝利、3番人気に至っては過去に勝利したことがない。最後に馬券圏内に食い込んだのは、2番人気は2016年ショウナンパンドラの3着、3番人気は2014年メイショウマンボの2着となる。

やはり注目は大波乱決着で、2017年のアドマイヤリード(6番人気)・デンコウアンジュ(11番人気)は馬連427.1倍、さらに3着にはジュールポレール(7番人気)が食い込んで三連単は91万馬券となった。2015年のヴィクトリアマイルは三連単の払い戻しが20,705,810円と、歴代5番目の高配当に。もちろん、GⅠでは歴代1位の高額配当である。

また、「11番人気」の馬はどうしてだか馬券に絡みやすく、上述のヴィルシーナ・デンコウアンジュをはじめ、2019年クロコスミア(3着)、2010年ニシノブルームーン(3着)、2009年ブラボーデイジー(2着)と定期的に活躍しているので、ジンクス的には面白いかもしれない。

VMを賑わせてきた『リピーター』の存在

日本競馬は、長年にわたり「優秀な古牝馬は早く牧場に戻り、繁殖として生産界を盛り立てるべし」という風潮などから、古牝馬の目標となるようなレースはほとんど用意されていなかった。

しかし1996年に秋華賞が新設され、牝馬三冠の最終戦だったエリザベス女王杯が「古牝馬VS3歳牝馬」の構図になって以降、少しずつ意識が変わっていく。その変化に伴い「ぜひ、春にも牝馬の大目標を」と設置されたのが、このヴィクトリアマイルである。

そうした意識の変化もあってか、ヴィクトリアマイルでは黎明期からリピーターやリベンジ馬が活躍してきた。第1回の6着馬デアリングハートは翌年に8番人気3着と好走し、三連単22839.6倍の立役者となった。そのヴィクトリアマイルで8着だったブルーメンブラットは、翌年に3着。そしてその第3回で1番人気2着に敗れたウオッカは、翌年リベンジを果たして優勝した。

また、2013年・2014年はヴィルシーナが、2015年・2016年はストレイトガールが連覇。そのどちらも、ディフェンディングチャンピオンとして挑んだ2勝目は、ヴィルシーナが11番人気、ストレイトガールが7番人気と人気薄であげたものだった。昨年も、規格外の名牝・アーモンドアイが優勝したものの、2,3着は前年に出走していた馬である。

今年は、昨年2着に食い込んだサウンドキアラをはじめ、ダノンファンタジー・シゲルピンクダイヤ・シャドウディーヴァといった馬たちがリベンジ目指して昨年に引き続き出走する。臨戦過程だけでは測れない"何か"を持っている馬たちがいるだろうか。

サンデーレーシングは勢いを保てるか

今年のNHKマイルCは、1〜3着馬が全てサンデーレーシングの所有馬だった。説明不要の快進撃を続けているサンデーレーシングだが、ヴィクトリアマイルはやや苦戦傾向に。

2019年にはラッキーライラック・アエロリットで1、2番人気に支持されていたものの、結果は4、5着だった。他にも、ジョワドヴィーヴル・ドナウブルーといった実績馬がここを敗北している。2010年にブエナビスタが勝利しているものの、そのブエナビスタも翌年には単勝1.5倍に支持されるなかアパパネにクビ差届かず敗れた。

グランアレグリアには、これが逆風となるだろうか。逆にシルクレーシングはここ2年、プリモシーンとアーモンドアイが馬券に絡む活躍を見せている。今年もそれに続きたいところ。そんなシルクからは6戦5勝の超新星テルツェット、ここ数戦は復調傾向のディアンドル・リアアメリアが出走を予定。

NHKマイルCでピクシーナイト・アナザーリリックがどちらも掲示板を外してしまったため、今回は逆に上位独占を狙いたいところではないだろうか。もちろんオーナーやクラブの思惑は、走る馬には関係ない。レースに集まった18頭がベストを尽くし、無事に完走するのを、応援するばかりだ。

女王が得意の距離で意地を見せるのか、それとも新星がまた現れるのか、それとも伏兵が一発ホームランを放つのか。東京のマイル戦に、今週もご注目いただきたい。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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