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【大阪杯】「馬体重480キロ以上」「5歳以下の牝馬」など好走データ コントレイルは強調点欠く

2021 3/31 11:00門田光生
GⅠ大阪杯 馬体重別成績(過去4年)インフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

GⅠ昇格5年目

先週の高松宮記念は重馬場の中で行われた。昨年の高松宮記念も同じ重馬場だったが、今年は例年以上に馬場が使い込まれていたこと、そしてレース開始時にも雨が降っていたこともあり、昨年よりコンマ5秒遅い決着となった。

勝ったのは昨年10着だったダノンスマッシュ。何が違ったのか昨年のレースと見比べてみると、まずスタートを互角に切れたことが大きかった。昨年は発馬後につまずき気味になっていったん下がり、位置取りを挽回するのに足を使わされたのもあって直線で伸びを欠いた。

それに対して今年は発馬を五分に出たし、外枠スタートでも前と外にうまく壁を作れた。直線でもう一段ギアが上がったのは、道中でうまく脚がたまったからだろう。もちろん、その脚を引き出した鞍上の騎乗も見事だった。

今週のGIは4月4日に阪神競馬場で行われる大阪杯。今年で65回目という歴史のあるレースだが、GIに昇格してからまだ4回しか行われていない。

たった4回で傾向がつかめるのかどうか、微妙なところではあるが、そもそも「GI並みのメンバーがそろうので昇格を」と言われていたレース。GⅡ時代のデータも十分に活用可能という考え方もできる。今回はGIとGⅡ時代の成績を比較し、同じところ、そして変わったところを比較しながら、使えるデータを探し出して検証していきたい。

その前に、大阪杯の全体的な傾向を。GⅡ時代の2011~2016年は平均単勝配当が500円台、馬連は2900円台と比較的平穏に収まっている。GIに昇格した2017年以降はというと、平均単勝配当800円台、馬連は2500円台で、やはり荒れていない。格付けは関係なく、大阪杯というレースは人気通りの決着が多いと考えてよさそうだ。

「牝馬強し」は今年も続く!

大阪杯(GI)出走馬の年齢ⒸSPAIA
大阪杯(GI)出走馬の性別ⒸSPAIA


まずは年齢から見ていこう。GI昇格後の4回で5歳馬が3勝、4歳馬が1勝。6歳以上は2着馬が1頭だけしかいない。これがGⅡ時代の6回(2011~2016年、以下同様)だと、4歳馬が4勝、5歳馬は2勝。やはり6歳以上から勝ち馬が出ていない。年齢のデータでは、5歳以下と6歳以上で大きな差がある結果となった。

性別だとどうか。昨年はラッキーライラック(5歳)、クロノジェネシス(4歳)のワンツーが記憶に新しいが、牝馬はその2頭を含めて3頭しか出走していない(あと1頭は8歳馬のスマートレイアー)。サンプル数は少ないが、好走率が高い5歳以下なら信頼度が高いと考えられる。ちなみにGⅡ時代の牝馬は【1-0-1-5】で、馬券に絡んだ2頭もやはり5歳以下の馬だった。

大阪杯(GI)出走馬の所属ⒸSPAIA
大阪杯(GI)出走馬の前走馬体重ⒸSPAIA
大阪杯(GI)出走馬の前走着順ⒸSPAIA


東西別で比べると、連対した8頭全てが栗東所属馬。GⅡ時代も勝ち馬は全て栗東所属馬で、美浦所属馬が連対したのは2頭だけ。栗東所属馬が圧倒的有利な傾向は変わっていない。

馬体重では大型馬が有利な傾向が出ている。GI昇格後に連対した8頭中、7頭が前走480キロ以上で走っていた馬。さらに勝ち馬の4頭はいずれも500キロ以上の大型馬だった。GⅡ時代は450キロ台の馬が2頭勝つなど、そこまで大きな差はついていなかった。GIとなると、よりパワーが必要となってくるのかもしれない。

前走着順については、いつもと少し違った傾向が出ている。前走1着馬の好走確率はどのレースでも高く出る傾向にあり、この大阪杯(GI)に関しても前走1着馬が2連対と悪くはない。しかし、勝率6.7%、連対率13.3%は同じく2連対の前走2着馬(勝率22.2%、連対率22.2%)とも少し差がついている。

4回しか行われておらず、サンプル数が少ないせいかと思ったが、GⅡ時代も前走1着馬が0勝に対し、前走2着馬は3勝。前走2着馬が本番で逆転する可能性は十分あるようだ。また、GI昇格後では前走5着馬が【1-2-0-3】、連対率50%となっているのも見逃せない。

大阪杯(GI)出走馬のプラスデータⒸSPAIA
大阪杯(GI)出走馬のマイナスデータⒸSPAIA


最後にGI昇格後の大阪杯で目についたプラス・マイナスデータを並べていく。まずプラスデータだが、サンデーレーシング所有馬の好走が目立つこと。GⅡ時代は【1-0-0-5】だったのに対して、GIでは【2-1-1-3】。昇格後は力の入れようが明らかに違っている。続いて脚質だが、GⅡ時代は追い込みが利いていたのに対し、昇格後では先行馬が有利となっている。

マイナスデータで気になったのは、まずディープインパクト産駒の成績。GIで【1-1-3-14】の数字は普通にも見えるが、GⅡ時代は【3-1-1-4】だから、明らかに好走率が落ちている。また、前走で1秒以上負けている馬は馬券内に来たことがない。

気になるのは……

今年初戦が大阪杯(GI勝ち馬)ⒸSPAIA


やはり三冠馬コントレイルと、昨年の最優秀短距離馬グランアレグリアの存在。ともに今年の初戦となるが、その年の初戦に大阪杯を選択したGI馬の成績は【1-1-1-4】。まずまずの成績だが、連対した2頭(キタサンブラック、キセキ)はともに有馬記念からの参戦だった。

コントレイルと同じジャパンカップからの参戦は、昨年のワグネリアン(5着)とマカヒキ(11着)の2回。一方のグランアレグリアだが、マイルCSからここへ挑んできた馬どころか、マイルから挑んできた馬もいない。グランアレグリアはこれまで不利なデータをことごとく覆して戴冠した実績があり、このコーナーの天敵ともいえる存在。仲良くしたいのが本音だが、今回も未知の部分が多すぎる。

ただし、今までのレースと違って好走データもたくさん抱えているのも確か。どう扱っていいのか迷うところだ。評価はコントレイル同様、まとめでのデータ次第となる。

今度こそ仲良くできるかな?

大阪杯の好走データをまとめると、A「5歳以下の牝馬」B「栗東所属」C「前走馬体重が480キロ以上」D「前走2着馬、次いで前走5着馬」E「サンデーレーシング所属」F「前走で先行」。これらを多くクリアしている馬が有力候補となる。逆に凡走パターンはG「6歳以上」H「前走で1秒以上の負け」の2つ。

今回、最も多く好走データをクリアして、かつマイナスデータがなかったのは、何とグランアレグリア。昨年の高松宮記念でも、スプリンターズSでもデータで消えたのに(結果的に筆者の扱い方が悪かったのだろうが)、今回は堂々の本命候補である。前走で先行した馬が有利なこのレースにおいて、古馬になって差す競馬が多かったこの馬がマイルSで先行したのは、「いい加減本命にしろ」というデータの神様のお告げなのかもしれない。

今回の中で強いデータであるA「5歳牝馬」E「サンデーレーシング所属」を両方を満たしているのも大きい。GⅡ時代より好走率が落ちているディープインパクト産駒というのが一抹の不安ではあるが、この馬も「怪物級」の1頭。過去の非礼をわびる意味でも軸に推したい。一方のコントレイルだが、B「栗東所属」とD「前走2着」のみ。さすがにこれだけでは強く推せない。

ほかの馬も見ていこう。まずマイナスデータにあるG「6歳以上」の馬だが、GI昇格後は勝ち馬が出ておらず、2着馬が1頭だけ。5歳以下が圧倒的に有利とみて、6歳以上は全頭切る。5歳以下でグランアレグリアに次いで好走データが多いのは、BCFを満たしているブラヴァスと、ABFを満たしているレイパパレの2頭。

まずレイパパレだが、昨年連対した牝馬の先輩、ラッキーライラックとクロノジェネシスはともにGIで実績を残していた馬。レイパパレは底を見せていないとはいえ、GIでは未知。ブラヴァスはマイナスデータのI「前走で1秒以上の負け」が痛い。というわけで、マイナスがないレイパパレの方を対抗に据える。

押さえ候補は、好走データの2つをクリアしているアドマイヤビルゴ、アーデントリー、コントレイル、サリオス、モズベッロ。大型馬の活躍が目立つレースで、特に500キロ以上の馬が4連勝中。というわけでC「前走馬体重480キロ以上」に注目。

前走馬体重が500キロを超えていたサリオスを4番手、次いで480キロ以上あるモズベッロが5番手。データ的に平凡な結果となってしまったコントレイルは、無謀といわれようが外すしかない。

◎グランアレグリア
〇レイパパレ
▲ブラヴァス
△サリオス
×モズベッロ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今年の大阪杯は4月4日に行われるということで気になるのは4枠の成績。GI昇格後の4回では1、2、3着が1回ずつありました。順番的にもネタ的にも、今回は4着の可能性が高いような?

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