「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【高松宮記念】ロードカナロア産駒が圧巻の好成績 東大HCが中京芝1200mを徹底検証

中京芝1200mのコース図と脚質別勝利割合,インフォグラフィック,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

中京芝1200mの概要

今週は中京芝1200mを舞台にGⅠ・高松宮記念が行われる。春芝GⅠの幕開けを告げる電撃の6ハロン戦。阪急杯で衝撃のレコード勝ちを披露したレシステンシアを筆頭に、香港スプリント親子制覇の勢いそのままに国内GⅠ獲りに挑むダノンスマッシュ、春秋マイルGⅠを制してスプリント路線に舵を切ってきたインディチャンプなど、今年も日本最速馬決定戦にふさわしい楽しみなメンバーが揃った。

当該コースの重賞は2レース。今週のGⅠ高松宮記念に加え、サマースプリントシリーズとして夏競馬を盛り上げるGⅢ・CBC賞が行われる。なお、2021年は京都競馬場改修工事に伴う開催日程の変更で、本来は阪神で行われるGⅡ・セントウルS、同じく京都で施行のGⅢ・シルクロードS、重賞・葵Sが当該コースでの実施、CBC賞は小倉での開催となっている(使用するデータは中京競馬場のコース改修後の2012年3月4日以降)。

まずはコース紹介。向正面の半ばからスタートし、100m程度進んだ地点から最後の直線までなだらかな下り坂を進んでいく。400m以上の長い直線では高低差2mの急坂が待ち受け、急坂を上り切った後もなお200m程度の直線が控えるタフなコースだ。

重賞×1枠【0-1-1-33】

中京芝1200m・コース改修後の枠別成績ⒸSPAIA


基本的に覚えておきたいのは中枠が有利である点と外枠の不振。全体的に数字がいいのは4枠で、特にオープンクラス以上の上級条件に限定すると【3-5-6-31】複勝率31.1%と好走率がさらに1割程度上乗せされる。

もはや説明不要かもしれないが、高松宮記念と4枠は16年アルビアーノ(3着)、17年レッドファルクス(3着)、18年レッツゴードンキ(2着)ナックビーナス(10番人気3着)、19年ショウナンアンセム(17番人気3着)、20年グランアレグリア(2着)と極めて相性がいい。人気に関わらず押さえておくべきだろう。

なお、1枠は重賞だと【0-1-1-33】(唯一の連対は21年シルクロードSライトオンキュー、複勝回収率9%)。コース改修後は勝った馬が存在しない。

中京芝1200m・コース改修後の脚質別成績ⒸSPAIA


短距離戦のため逃げ有利は当然だが、こちらもオープンクラス以上に限定すると4角先頭【1-1-5-16】。複勝率はなんとか3割をキープしているが、連対率は1割を切っている。唯一の勝利は記憶に新しい高松宮記念のモズスーパーフレアだが、ご存じの通り1位入線クリノガウディーの降着で繰り上がったもの。逃げ馬の頭固定は考えものだ。

コース紹介でも触れた通り、最後の直線に設定されている急坂が曲者で、オープンクラス以上の24戦で差し・追い込み脚質の馬が実に13勝を挙げるなど、スプリント戦では異例ともいえるほど後方待機勢が結果を残している。タフかつパワーのある差し馬を上位に取りたい。

ダノンスマッシュ、高松宮記念親子制覇へ

中京芝1200m・コース改修後の種牡馬別成績ⒸSPAIA


種牡馬別ではロードカナロアが圧巻の数字。馬券になった馬は全て7番人気以内で、該当する馬は【11-4-6-12】複勝率63.6%。単複回収率がともに130%以上を記録している点も強調材料だ。上位人気が確実のダノンスマッシュには追い風で、悲願の国内GⅠタイトルに向け視界は良好だ。またディープインパクト産駒もきっちり走っており、高松宮記念でもミッキーアイルとグランアレグリアが好走している。

阪急杯で1分19秒2のスーパーレコードを叩き出したレシステンシアはダイワメジャー産駒。複勝率は2割を少し上回る程度で、重賞に限定すると【1-1-1-14】複勝率17.6%に低下。高松宮記念では14年勝ち馬コパノリチャードと18年3着馬ナックビーナスがおり、消しとは即決できないが、全幅の信頼は禁物だろう。

なお、高松宮記念で好走例が多いのはアドマイヤムーン産駒。該当馬は【2-2-1-5】複勝率50.0%と過半数が馬券になっている。過去2度の馬券圏内を経験している古豪セイウンコウセイに食指が動く。

中京芝1200m・コース改修後の騎手別成績ⒸSPAIA


騎手では、何を差し置いても福永祐一騎手の成績が素晴らしい。単複回収率100%超えかつ複勝率50%台と文句のつけようがない成績。18年以降、3番人気以内に支持された馬に騎乗した場合は【9-4-1-4】複勝率77.8%と抜群の信頼度を誇る。上位人気濃厚のインディチャンプは前走の着順だけで見限らない方がいい。

川田将雅騎手も4割オーバーの複勝率、単複回収率110%超えと買える。高松宮記念はファインニードルで制しており、勝ち方を知るジョッキーだ。一方若干低調な数字が並ぶのは武豊騎手。残念ながら負傷で戦線離脱となったが、1番人気で【1-0-1-7】と人気を裏切るケースが意外なほど多い点は、復帰後にも気を付けたいデータだ。

上位条件でこそ安田隆行

中京芝1200m・コース改修後の調教師別成績ⒸSPAIA


調教師別成績では高松宮記念連覇がかかる音無秀孝師が秀でている。4番人気以内では【7-7-4-14】複勝率56.3%を記録しており、回収率も100%近辺と十分評価できる。インディチャンプ・モズスーパーフレアの強力2騎がこの数字を更に上げる可能性が高い。

ロードカナロア・ダノンスマッシュの親子を手がけている安田隆行師は最多の15勝を挙げており、優秀なスプリンターを次々とターフに送り出している。

上級条件でも依然として3割以上の複勝率をキープしており、管理馬は買い目には入れておきたい。またレシステンシアを管理する松下武士師は上位2人を超える複勝率だが、3勝クラス以上では馬券圏内がないというデータが気がかり。

中京芝1200mのコースデータ,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

《関連記事》
【高松宮記念】4歳レシステンシア、ラウダシオンが最有力! 穴気配漂う経験豊富な6歳馬とは
【日経賞】穴を開けるなら6歳馬 上位人気堅実も一発狙ってみたい馬とは
【毎日杯】共同通信杯組の勝率60%! シャフリヤール優勢も、グレートマジシャン激走の根拠とは