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【日経賞】穴を開けるなら6歳馬 上位人気堅実も一発狙ってみたい馬とは

2021 3/21 18:24勝木淳
日経賞のデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

波乱のカギは6歳馬

日経賞ときいて、荒れると直感するのはそれなりに長く競馬をやってきた方だろうか。98年1着テンジンショウグンは11頭立て11番人気、単勝35,570円、馬連213,370円。金鯱賞のギベオンも真っ青な特大万馬券を演出。ほかにも12年12番人気ネコパンチ1着(単勝16,710円)は記憶に新しいところ。

その一方で、00年グラスワンダー(単勝1.3倍6着)や02年マンハッタンカフェ(単勝1.2倍、6着)など圧倒的実績馬が飛ぶこともあった。そんな荒れる日経賞、最近の傾向はどうなのだろうか。11年阪神を除く過去9回分のデータをもとに調べてみる。

人気別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

1番人気は【3-2-1-3】勝率33.3%、複勝率66.7%なので、最近はそこそこ平穏。ただ、菊花賞馬キセキ、有馬記念馬ゴールドアクターが着外に沈んでおり、過信は禁物。12年ネコパンチを除くと、勝ち馬は4番人気以内。

突拍子もない馬が激走することは減ったが、6、7番人気の複勝率33.3%など中穴狙いは十分可能。

年齢別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

主力は4歳【4-6-1-16】、5歳【2-1-3-21】、6歳【3-1-2-24】の3世代。ただし5歳は勝率7.4%、複勝率22.2%、6歳が勝率10%、複勝率20%で6歳が若干優位な点には注意。5歳の単複回収値32、39に対し、6歳は575、129。妙味は断然6歳馬にある。

前走クラス別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

前走クラス別成績からは前走GⅠが【3-4-2-12】勝率14.3%、複勝率42.9%でぶっちぎり。カレンブーケドール、ワールドプレミア、オセアグレイトが出走予定。まずはここから詳しくみていく。

前走GⅠ・レース別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

具体的にレース別でみると、有馬記念【2-2-2-6】複勝率50%が有力だが、これには3頭とも当てはまる。

前走有馬記念・着差別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

有馬記念の着差別成績からこの3頭について考えよう。5着同着のカレンブーケドールとワールドプレミアは0.6差。9着オセアグレイトは0.9差。

0.6~0.9差は【0-1-0-1】。勝ち馬は出ていないが、15年ウインバリアシオンが有馬記念12着から巻き返した。3頭とも好走しそうだ。

前走有馬記念・位置取り別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

もっと絞れるかどうか、有馬記念での位置取り別成績をみる。カレンブーケドールの先行は【1-0-1-3】、オセアグレイトの中団は【0-2-1-3】、ワールドプレミアの後方は【0-0-0-0】だった。

カレンブーケドールやオセアグレイトはデータのあと押しを得られたが、ワールドプレミアは前例なしで、なんともいえない。データから分析する以上、ワールドプレミアは評価保留で仕方ないか。

前走AJCC、京都記念組で評価すべき馬とは

それでは前走クラス別成績で次に有力な前走GⅡ【4-4-6-37】を詳しく調べてみたい。

前走GⅡ・レース別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

日経新春杯【3-1-1-6】(該当馬なし)、AJCC【1-1-3-11】(3着ラストドラフト、6着ウインマリリン、8着ナイママ)、京都記念【0-2-0-7】(2着ステイフーリッシュ、3着ダンビュライト、7着サトノルークス、8着モズベッロ、11着ハッピーグリン)、中山記念【0-0-1-6】(4着ゴーフォザサミット、12着ノーブルマーズ)あたりが有力。なかでもAJCCと京都記念に注目する。

前走AJCC・着差別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

前走AJCC組は着差別成績から好走パターンを探る。6着ウインマリリンの0.4差が該当する0.3~0.5差は【0-1-0-2】。3着ラストドラフトの0.1差は0.1~0.2差【0-0-0-1】。サンプルが少ないので、果たしてこのデータを信用していいものか。

前走AJCC・位置取り別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

ここもさらに位置取り別成績を。ウインマリリンの先行は【0-1-0-3】、ラストドラフトの中団【1-0-2-3】でどちらも好走馬を輩出。複数好走馬を出したデータに当てはまったラストドラフトを信用すべきか。

前走京都記念・着順別成績(過去9年)ⒸSPAIA

 

前走京都記念の好走ゾーンは着順別成績から6~9着【0-2-0-3】。サトノルークス、モズベッロがこのデータに符合。もっとも前走京都記念2、3着馬は、この9年間日経賞出走がないので、ステイフーリッシュ、ダンビュライトはデータ上の評価はできない。

2200m巧者のステイフーリッシュは中山2500m初出走だが、同距離の目黒記念では57.5キロを背負って3着。距離延長はプラスになりそうだ。まして穴候補に当てはまる6歳で軽視できない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。

2021年日経賞のデータインフォグラフィックⒸSPAIA



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