6歳【0-6-2-29】
春のGⅠシリーズはおなじみ桶狭間の電撃戦・高松宮記念から。この「桶狭間の電撃戦」という言葉、ちょっとひと昔前のキャッチフレーズ感がある。というのも2012年改修以前の10回(2001~10年)前半600m平均タイムは33.3。改修後9回の平均タイムは0.5遅い33.8。これは短距離のスペシャリストが集うGⅠとしては平均ペース程度の記録。
かつては平坦で直線が短く、先行勢圧倒的優位だったため、4コーナーがゴール板ともいわれた中京だが、改修で直線が伸び、急坂が設けられ、傾向は大きく変化した。逃げ先行型に乗る騎手たちが、それを意識しないわけがない。だから、電撃戦と評されるほど、激しい先行争いや超ハイペースは減った。そうした点も踏まえながら、改修後9回分のデータから好走パターンをみていこう。
1番人気は【2-0-3-4】。9年で5頭が複勝圏内、残る4頭は馬券圏外、その確率は半々といったところで1番人気の信頼度として微妙だ。だが、2番人気【2-4-0-3】、3番人気【2-2-2-3】で上位人気はほぼ互角。まず上位人気の検討から始めた方がよさそうだ。
4歳【3-1-4-28】、5歳【5-2-3-32】、まずこの2世代が中心も、6歳が【0-6-2-29】、9年で2着を6頭も出している。内訳は3、2、8、6、3、12番人気。19年12番人気セイウンコウセイが2着にねばり、穴を開けた。
今年の登録馬をみると、インディチャンプ、シヴァージ、ダノンスマッシュ、モズスーパーフレアなど人気どころのほかにカツジ、サウンドキアラ、トゥラヴェスーラ、ライトオンキューと多士済々だ。
最有力はレシステンシアとラウダシオン
ここからは年齢別に臨戦過程を分析、好走ポイントをさらに詳しく掘り下げていくことにする。まずは4歳から。
4歳の前走レース別成績をみると、阪急杯【2-0-1-6】(レシステンシア)とシルクロードS【1-0-1-6】(ラウダシオン)がポイントになる。
阪急杯の位置取り別成績をみると、4歳は逃げ【1-0-0-0】(14年コパノリチャード)、先行【1-0-1-4】が優勢。阪急杯で途中からハナに行ったレシステンシアは、この好走パターンにバッチリはまる。初の1200m戦で自分の形を崩す心配はあるものの、データ上は不安なし。
シルクロードSのデータを扱う場合はまず注意したいことがある。今年のシルクロードSは京都ではなく、高松宮記念と同舞台の中京。親和性が高まると考える方が自然、4歳【1-0-1-6】だが、今年の重要度はこれ以上と考えてよさそう。
逃げ【0-0-0-3】だが、先行【1-0-0-1】(17年セイウンコウセイ)と中団【0-0-1-2】がいい。4番手から3着だったラウダシオンは、小倉2歳S以来の1200m戦に対応できた。1200m戦の経験という意味ではレシステンシアをリード。
次は最有力の5歳【5-2-3-32】、その主要な前走レース別成績を。前走シルクロードSが【3-0-1-3】で最有力だが、登録馬に該当なし。ここはミッキーブリランテ、ダノンファンタジー、除外対象のクリノガウディーが当てはまる阪急杯【1-1-1-9】を詳しく。
好走条件は着順別成績が明確。3着以内【1-1-1-3】、4着以下【0-0-0-6】。2着だったミッキーブリランテは買えるが、5着ダノンファンタジー、9着クリノガウディーは減点対象。
エイティーンガール、アイラブテーラー(除外対象)、アウィルアウェイ(除外対象)が、該当する前走オーシャンS組を位置取り別成績からみる。こちらは逃げ【0-0-0-3】、先行【0-0-0-4】で前に行った馬はさっぱり。中団【1-0-1-7】が好走ゾーン。しかし3頭が当てはまる後方は【0-0-0-2】。数は少ないものの、苦戦傾向だ。
年齢別で触れた穴も多い6歳【0-6-2-29】について内訳をみる。サンプル数が少ないものの、前走シルクロードS【0-2-0-2】が目立つ。該当するのは、1着シヴァージ、2着ライトオンキュー、15着トゥラヴェスーラ、17着モズスーパーフレアの4頭。それなりの数なので、なおさら注目したい。
位置取り別に好走パターンを出すと、逃げ【0-1-0-0】(19年セイウンコウセイ)、先行【0-1-0-1】(13年ドリームバレンチノ)で前に行った馬がいい。繰り返すが、今年のシルクロードSは同舞台の中京。京都ではなく、データ自体のサンプル数も少ないので、これが好走パターンだと断言はできない。
だが、これをあてはめると、勝ったシヴァージより逃げて17着だった昨年の勝ち馬モズスーパーフレア、先行したライトオンキューに食指が動く。後者は時計がある程度かかる馬場が得意でもあり、馬場状態次第では浮上しそうだ。
一方、インディチャンプが当てはまる6歳・前走阪急杯は【0-1-0-8】とやや苦しい数字。叩いてよくなるタイプだが、阪急杯の内容からもさらなる距離短縮に対応できるかどうか。ここは慎重にジャッジしたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。
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