キャリア2戦【2-3-2-4】 好走のワケとは
皐月賞まで中2週。東上最終便などと呼ばれ、99年テイエムオペラオーや17年アルアインはここを勝ち、皐月賞馬になった。目標を早めに切りかえる傾向やレース間隔をとる考えが主流になり、毎日杯から皐月賞へという馬は減りつつある。
それでも01年クロフネ、04年キングカメハメハ、06年アドマイヤメイン、08年ディープスカイ、10年ダノンシャンティ、13年キズナとNHKマイルCや日本ダービー好走馬をコンスタントに送り出している。毎日杯は、いわばもう1本の出世街道的なレースだ。
今年は登録数こそ少ないものの、注目レースである毎日杯。その傾向と対策を過去10年のデータから考える。
3歳限定重賞の頭数は全体的に少ない傾向にあるが、毎日杯も同様で、フルゲート18頭立ては11年以来なく、直近5年は10、8、10、13、10頭で平均出走頭数は約10頭。少頭数が多いことも影響したか、1番人気は【4-2-3-1】で勝率は40%、複勝率90%と強力。馬券圏内を外したのは14年4着ラングレーだけだ。
少頭数だけに8番人気以下は【0-0-0-54】と壊滅的だが、勝ち馬は5番人気1頭、7番人気1頭。7番人気以内であれば複勝圏突入は十分考えられる。
キャリア1戦はさすがに【0-1-0-9】と苦戦だが、2戦は【2-3-2-4】と好成績。実績を積んだ上位馬の出走が少ないこともあり、使いだしが遅れたタイプであっても通用する。4戦【3-3-3-19】、5戦【3-1-1-15】あたりがキャリア別成績の目安だろうか。
ポイントは前走共同通信杯組
つぎは前走クラス別成績から好走する臨戦過程などを調べてみたい。
前走クラス別成績では重賞組がよく、GⅡ【1-0-2-2】勝率20%、複勝率60%、GⅢが【6-5-2-21】勝率17.8%、複勝率38.2%。出走予定の多いGⅢ組についてもう少し掘り下げよう。
ではどのレースから毎日杯に挑む馬がいいのか。レース別成績をみる。共同通信杯【3-0-1-1】の勝率60%、複勝率80%は抜けた成績だ。3着シャフリヤール(キャリア2戦)が出走予定。好相性を補強できるデータがあるか調べていく。
共同通信杯の着差別成績では、いいところまでいった0.3~0.5差が【2-0-1-0】で3着以内パーフェクト。0.4差だったシャフリヤールはこのデータにも該当しており、きっちり走ってくる可能性が高い。
さらに別角度から。位置取り別成績をみると、先行【2-0-1-0】、後方【1-0-0-1】が有効なサンプル。共同通信杯では中団からの競馬をしたシャフリヤールだが、残念ながら該当例はなかった。
毎日杯のカギを握る共同通信杯、今年はレース後、ルメール騎手にダービー候補と評価されたエフフォーリアが勝った。シャフリヤールの毎日杯での成績は、エフフォーリアの力を推し量る意味でも注目だろう。
つぎはダディーズビビッド(キャリア5戦)が該当する前走シンザン記念【2-0-0-4】を確認。同馬はシンザン記念で中団から競馬し、1.2差11着。中団は【1-0-0-1】(17年アルアイン)だが、1秒以上負けた馬は出走がない。好走したのはシンザン記念を勝った11年レッドデイヴィスと0.8差6着だったアルアインのみであり、ダディーズビビッドがこれに当てはまるかどうか。
最後に前走重賞組以外では1勝クラス【3-4-5-38】に注目。セントポーリア賞(東京芝1800m)を勝ったグレートマジシャン(キャリア2戦)がいる。前走1勝クラスを勝った馬は【3-2-3-18】、同距離だった場合【1-2-3-16】、後方から差した馬は【1-0-1-6】。
前半で述べたように、キャリア2戦は複勝率63.6%。セントポーリア賞のパフォーマンスを見ても、遅れてきた素質馬・グレートマジシャンが毎日杯を好走する可能性は高そうだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。
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