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【阪神大賞典】ナリタブライアンvsマヤノトップガンから25年「日本一堅い重賞」の名場面

阪神大賞典イメージ画像,インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

日本一堅い重賞

今週日曜、阪神競馬場で伝統の長距離重賞、阪神大賞典が行われる。年間3000を超えるレースが施行されるJRAの競馬番組の中で、わずか10にも満たない3000m以上のレースの一つ。ステイヤーたちが己の威信をかけて盾獲りに挑む天皇賞(春)のステップレースとしての価値を保ち続け、GⅡながら競馬史に燦然と輝く幾多の名勝負が繰り広げられてきた。

実力馬同士の一騎打ちとなるケースが多いのも特徴で、紛れが生じにくい少頭数になりやすく、さらにごまかしが利かない長距離戦。おおむね人気馬が期待通りの走りを見せてくる。その結果配当が非常に低くなりやすく、穴党泣かせの「日本一堅い重賞」としての側面も持っている。今週は過去の阪神大賞典を配当という切り口から振り返っていく(データは1986年以降)。

馬連配当が300円を切った年が実に9レースを数える阪神大賞典。まずは馬連配当が低かった順に5レースを紹介する。

1986年以降の阪神大賞典 馬連配当が低かったレースⒸSPAIA


最も馬連配当が安かった(140円)のは2017年。菊花賞でクラシック制覇を果たし、同年の有馬記念ではキタサンブラックをゴール寸前で捉えたサトノダイヤモンドが単勝1.1倍の圧倒的支持を集めた。

続く2番人気は前年の同レースを快勝、天皇賞(春)とジャパンカップで3着に入ったシュヴァルグランの4.9倍。3番人気ワンアンドオンリーが19.6倍と大きく離され、戦前から2強ムードが漂う一戦となった。

レースは道中後方からゆったりと運んだサトノダイヤモンドが直線抜け出して悠々勝利。2着シュヴァルグランがこのままで終わらず、次走の天皇賞(春)では3分12秒5というスーパーレコード決着の中、王者キタサンブラックには及ばずもサトノダイヤモンドを下して2着を確保した点も書き添えておきたい。

馬連の発売がなかったため、枠連配当だが同じ140円だったのが1992年(当時は8頭以下のレースで馬連を発売しなかった)。GⅡでは珍しい6頭立てで行われたレースの主役はメジロマックイーンだった。

天皇賞(春)で無敗の二冠馬トウカイテイオーとの直接対決を控え、勝ち方が問われる一戦だったこのレース、ただ一頭59kgを背負いながら王者の走りを披露。直線ではこの春GⅠで3度2着に入る実力馬カミノクレッセが懸命に追うも全く相手にならない。杉本清氏の「一騎打ちにさせるのかどうか? 一騎打ちにはならない!」との名実況で飾られた堂々たる勝利だった。

世代最強のステイヤーメジロブライトvs日本総大将スペシャルウィーク

3位には配当150円で並んだ3レースがランクイン。2004年、リンカーンvsザッツザプレンティ。ディープインパクトの影を追い続けた実力馬と、ネオユニヴァースの三冠を阻止した菊花賞馬の一戦。

1999年のレースも純然たる2強対決だった。1997年ステイヤーズSから1998年AJCC→阪神大賞典→天皇賞(春)と王道のステイヤーローテを4連勝した長距離王者メジロブライトが単勝1.7倍の1番人気、武豊にダービージョッキーの称号をプレゼントし、3歳馬ながらジャパンカップで3着に入ったスペシャルウィークが2.1倍の2番人気だった。

直線では他馬を完全に突き放した2頭だけの世界となり、ロングスパートをかけながら先に抜け出したスペシャルウィークをメジロブライトが半馬身差で必死に追うもこの差は詰まらず、もうひと伸びしたスペシャルウィークが着差を3/4馬身差に広げてゴールイン。垣間見せた類まれなる勝負強さは同年の天皇賞春秋連覇、凱旋門賞馬モンジューを破ってエルコンドルパサーの仇をとったジャパンカップでの活躍を予感させるものだった。

もう一つのレースは1995年。前年の三冠を制し有馬記念も圧勝し、史上最強馬との声も多くなってきた絶頂期のナリタブライアンが単勝1.0倍で出走した。相手になりそうなのは目黒記念を勝ってここに臨んだハギノリアルキング1頭ぐらいで、3番人気タマモハイウェイは単勝24.3倍だった。

レースは大外を回して進出したナリタブライアンが最後の直線、2着ハギノリアルキングに7馬身差をつけての大楽勝。惜しむらくはレース後に故障が発覚し、能力を十全に発揮することがかなわなくなってしまったこと。本物の輝きを見せた最後のレースという意味で特別な意味を持つ阪神大賞典である。

ナリタブライアン、意地とプライドのアタマ差

1986年以降の阪神大賞典 その他の有名なレースⒸSPAIA


ランキングに漏れた年の中でも記憶に残る阪神大賞典は数多い。最後に、「語り継ぎたい阪神大賞典」を3レース紹介する。

阪神大賞典と聞いて人々の脳裏をよぎるのは1996年かもしれない。もはや説明不要かもしれないが、ナリタブライアンとマヤノトップガンが火の出るようなマッチレースを繰り広げた年だ。前述の通り、前年の同レースを最後に全盛期の走りが失われたナリタブライアンは復帰後の天皇賞(秋)から3戦連続で馬券圏外に敗れていた。当然のように守ってきた1番人気の座も、菊花賞・有馬記念を連勝したマヤノトップガンにさらわれた。

しかし、レースでは先に抜け出したマヤノトップガンを追うように3コーナー手前から進出、4コーナーからはびっしりと馬体を併せて一騎打ちに持ち込んだ。30秒に及ぶ長く熱い叩き合いの末、いったんは前に出たトップガンをブライアンがゴール寸前で差し返して連覇達成。3着馬のはるか9馬身前で繰り広げられた熱戦に決着をつけたアタマ差は、かつて栄華を極めた者の意地、三冠馬のプライドが生んだものだった。

2000年はテイエムオペラオー、ラスカルスズカ、ナリタトップロードの3頭が単勝3倍を切る3強対決となった。勝ったテイエムオペラオーはこの年GⅠ5勝を含む8戦全勝という伝説的記録を残し、2着ラスカルスズカは次走の天皇賞(春)でもテイエムオペラオーに食らいついた。3着ナリタトップロードは翌年から同レースを連覇するなど長年にわたり活躍し、1999年クラシック世代の古豪として誇り高き走りを見せ続けた。

2012年は何といってもオルフェーヴルの大逸走。三冠含む6連勝で明け4歳初戦、単勝オッズ1.1倍、敗北など考えられないという戦前の予想をあざ笑うかのように、2周目の3コーナーで馬群から遠く離れていった。凄いのはここから馬群に再度取りついて、あわや勝つかという2着まで巻き返したこと。桁が違うコースロスの中での激走は狂気と能力を見る者に印象付けた。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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