人気とキャリアからユーバーレーベン優勢
桜花賞まで中2週。優先出走権はないが、賞金を加算すれば出走枠にすべり込めるフラワーCは、桜花賞かオークスか、各陣営の思惑が交錯する牝馬路線の分岐点。フラワーC、桜花賞連勝は06年キストゥヘヴンが最後。桜花賞馬券圏内は、フラワーCが阪神で行われた11年トレンドハンター(桜花賞3着)以来出ていない。
出走間隔を詰めない近年の傾向からも、フラワーCはオークスを展望する陣営が出走させる傾向にある。当然、勝って桜花賞へと目論む陣営もいる。例年、1勝馬のエントリーが大半、戦力比較がしにくく、混戦模様になる傾向がある。ここでは阪神で行われた2011年を除く9年分のデータからその傾向をつかんでいく。

難解なレースではあるものの、1番人気は【3-2-1-3】勝率33.3%、複勝率66.7%で悪くない。2番人気【3-1-1-4】勝率33.3%、複勝率55.6%、3番人気【1-2-0-6】勝率11.1%、複勝率33.3%と上位人気はそれなりに堅実。
一方で20年12番人気1着アブレイズなど伏兵もポツポツと好走するので、上位人気同士での決着も考えにくい。このあたりがフラワーCの難解さを印象づける。
今年は阪神JF3着ユーバーレーベンがチューリップ賞から矛先を変えて出走予定。対ソダシ2,9,3着の実績馬でポイントになりそうだ。

4戦以内と5戦以上で成績の明暗がわかれる。1戦【2-0-0-6】、2戦【2-2-3-16】など桜花賞トライアルとは異なり、少ないキャリアの馬も走る。4戦【2-2-2-13】がピークで、4戦以内は【8-6-5-63】、5戦以上は【1-4-3-40】。5戦以上が走らないわけではないが、まずは4戦以内をラインに考えていい。
ユーバーレーベンは傾向のピークであるキャリア4戦。2勝馬のエンスージアズムも4戦でクリア。重賞2着があるホウオウイクセルも3戦で問題なさそうだ。
好走データに合致する馬とは
次は前走クラス別成績から個別に好走パターンに合致する馬を探っていく。

まず前走GⅠ【0-1-0-4】をどう考えるべきか。ユーバーレーベンがいる以上、ここは肝になりそうだ。だが、これがややこしい。この9年間、フラワーCに出走した前走阪神JF組はすべて阪神JFで4着以下に敗れていた馬。フラワーCで2着だったトーセンブレスは阪神JF4着。つまり、阪神JF組【0-1-0-4】というデータからユーバーレーベンをキケンとするのは早計ではないか。
位置取り別成績をみると、唯一馬券圏内にきたトーセンブレスは阪神JFでは4角15番手から追い込んで4着。ユーバーレーベンは4角14番手から追い込んで3着と共通点もある。チューリップ賞からのローテ変更やデムーロ騎手騎乗停止による乗り替わりなど、ほかにも検討すべき材料は多い。また阪神JF10着以下は【0-0-0-1】、16着だったフラリオナも判断しにくい。
つぎは好走確率が高いデータをみていく。前走新馬【2-0-0-5】は勝率28.6%。オメガロマンスが該当。オメガロマンスと同じ新馬が1600mだった馬は【1-0-0-2】だが、位置取りは先行【2-0-0-4】、新馬で機動性を発揮した馬が強く、後方一気のオメガロマンスは微妙。
今年も登録馬が多い前走1勝クラス【4-4-7-43】の取捨を考える。着順別をみると、くっきり。1勝クラスを勝った馬は【4-3-3-9】勝率21.1%、複勝率52.6%。
さすがに1勝クラスを勝てなかった馬は抽選対象になるので、調整も難しい。前走勝ったエンスージアズムとほかの馬はしっかりわけて考えるべきだろう。
エンスージアズムは買えるのか。前走1勝クラスを勝った馬のその距離別成績をみる。エンスージアズムと同じ1800mだと【1-2-1-6】。まあまあだが、1600m【1-0-2-1】、2000m【1-1-0-0】と比較すると、ものたりなく感じる。データ上、エンスージアズムは過信禁物か。
前走未勝利戦だった馬は抽選対象になり、出走できるかどうかという問題はあるが、【2-3-1-25】と好走馬が出ているので、検討する。
距離別成績から1800m【2-1-0-11】、2000m【0-2-0-7】と1800m以上だった馬がいい。芝1800mの未勝利戦だった馬は、レ―ヴドゥラプレリ、アイリッシュムーンなどがいる。
レ―ヴドゥラプレリ、アイリッシュムーンの2頭をもっと詳しく。前走1800mの未勝利戦だった馬を東西別でみると、関東馬は【0-0-0-5】、関西馬が【2-1-0-6】。2頭はいずれも関東馬で好走パターンに該当しない。
最後に該当馬が複数いる前走GⅢ組【1-1-0-20】をレース別成績から。もっとも、好走した馬はたった2頭で正直サンプルとしては頼りない。クイーンC(12年9着オメガハートランド)と京成杯(14年5着マイネグレヴィル)。フェアリーS【0-0-0-4】を考慮すると、前走クイーンC5着だったイズンシーラブリーは一応、評価できるか。
ユーバーレーベンを筆頭にフラワーCの好走データに合致する、いわゆる推せる馬は不在。どの馬もマイナス材料を抱える難しい一戦である。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

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