春のスプリント王決定戦
今週日曜、中京競馬場でGⅠ・高松宮記念が行われる。2025年最初の芝GⅠに、昨年の勝ち馬マッドクール、2着馬ナムラクレア、秋春スプリント制覇を目指すルガルや、香港スプリント3着のサトノレーヴなどフルゲート18頭が出走予定だ。
海外馬の参戦はなかったが、既に短距離重賞で何度も対戦してきた豪華スプリンターが今回も集結。実力が抜けた馬はおらず混戦模様だ。果たして今年はどのような決着となるのか。過去10年のデータから検討する。
今週日曜、中京競馬場でGⅠ・高松宮記念が行われる。2025年最初の芝GⅠに、昨年の勝ち馬マッドクール、2着馬ナムラクレア、秋春スプリント制覇を目指すルガルや、香港スプリント3着のサトノレーヴなどフルゲート18頭が出走予定だ。
海外馬の参戦はなかったが、既に短距離重賞で何度も対戦してきた豪華スプリンターが今回も集結。実力が抜けた馬はおらず混戦模様だ。果たして今年はどのような決着となるのか。過去10年のデータから検討する。
前走クラスや着順についてデータを見ていく。まずは今年も18頭中11頭が該当する「前走GⅢ組」について、その着順別成績を確認する。
<高松宮記念 前走GⅢでの着順別成績>
1~2着【4-7-2-39】勝率7.7%/連対率21.2%/複勝率25.0%
3~5着【2-0-4-25】勝率6.5%/連対率6.5%/複勝率19.4%
6着以下【1-1-1-64】勝率1.5%/連対率3.0%/複勝率4.5%
やはり成績がいいのは前走1~2着馬で、連対率は2割台となっている。なお前走1着馬【1-5-0-22】連対率21.4%、2着馬【3-2-2-17】同20.8%であり、1着と2着に差はない。
この組を高松宮記念での人気別に分けると、5番人気以内【2-6-1-13】連対率36.4%に対し6番人気以下が【2-1-1-26】同10.0%。好走確率はもちろん人気馬の方が優勢であるが、単勝回収率は6番人気以下の方が高く、複勝回収率だとほぼ互角となっている。22年ナランフレグ、23年ファストフォースのように「前哨戦で連対したにもかかわらず人気しない馬」が穴にぴったりだ。今年は現在2連勝中のビッグシーザー(前走京阪杯1着)に注目する。
3着以下になると好走率が下がっていき、6着以下は壊滅的。好走例は19年1着ミスターメロディ、同2着セイウンコウセイ、22年3着キルロードの3頭で、いずれも前走で逃げ先行策をとっていた。高松宮記念に「前有利」の傾向があるこその前進と言える。前走GⅢで先行して大敗した馬にはモズメイメイが該当するが、その前の数レースでは先行できておらず、今回は行けない可能性がある。
GⅢ組以外に目を向け、阪神Cと香港スプリントについても見てみよう。
前走阪神Cは【0-1-1-7】とあまり振るわないが、昨年は京都代替であったため状況が異なる。
前走が京都芝1400m(内訳はいずれも京都牝馬S)だった馬は【0-2-0-8】、高松宮記念で3番人気以内だと【0-2-0-0】。ハイレベルだった阪神C1、2着のナムラクレア、マッドクールは上位人気が想定される。どちらも期待できそうだ。
香港スプリント組は【2-0-1-5】。実力馬がとるローテーションということもあり好成績だ。そのうち前走大敗から躍進した例が2度ある(17年レッドファルクス12着→3着、24年マッドクール8着→1着)一方、前走好走から着順を落とした例も複数ある(15年ストレイトガール3着→13着、22年レシステンシア2着→6着)。香港での着順は参考外と考えるのがよさそうだ。
◎マッドクール
昨年の覇者で、一昨年スプリンターズS2着もある実績馬。ナムラクレアとは5度対戦して2勝3敗。直近は2戦続けて先着を許したが、阪神Cは距離が長く、自身以外の上位は追込馬が占めており展開にも恵まれなかった。
先行脚質の馬で今回は内枠をゲット。対するナムラクレアは外枠かつ近走後方からの差しをしている。内前有利になりやすい高松宮記念に向くのは間違いなくこちらの方だ。昨年と同様、ナムラクレアの差しを退ける可能性が高いと見て本命を打つ。
◯ママコチャ
一昨年のスプリンターズS勝ち馬。その後も外枠だった昨年高松宮記念を除けば掲示板を確保し続け、前走のオーシャンSで久しぶりの勝利を遂げた。相手関係は平凡ながら勝ち時計1分7秒1は優秀で、中山芝1200mでこのタイムを6歳以上の牝馬が出したのは初の事例であった。まだまだ衰え知らずの存在だ。
昨年と同じ7枠は減点材料ではあるが、今年は周囲に先行馬が少なく、内に入れられるのではないか。ポジションさえ確保できれば連に絡める力はある。
▲ナムラクレア
1200mのGⅠで2着2回3着2回。実力には疑いがない。23年8月以降は勝ち星から遠ざかっていたが、C.ルメール騎手に乗り替わった阪神Cでは今回出走する6頭に勝った。
懸念点は最近の脚質。元々中団で競馬をするタイプではあったが、近走ではさらに後ろ、4角10番手以降の競馬が多くなっている。それでも好走はしているが、この高松宮記念は過去10年で追込【1-0-0-48】と不振。以前の同馬のような軸としての安定感が感じられないため、3番手に留めた。
以下ルガル、ビッグシーザーまで印を回す。買い目は◎軸の馬連で勝負する。
▽高松宮記念予想▽
◎マッドクール
◯ママコチャ
▲ナムラクレア
△ルガル
×ビッグシーザー
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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