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【ディープインパクト記念】ダノンザキッド登場で“異例”のトライアルに 狙ってみたい穴馬候補とは

2021 2/28 17:30勝木淳
ディープインパクト記念弥生賞データⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

ダノンザキッド登場が意味するものとは

昨年から2019年にこの世を去ったディープインパクトを記念して、弥生賞は弥生賞ディープインパクト記念と名称を改めた。

その2020年はディープインパクト産駒のサトノフラッグが、父の主戦である武豊騎手を背に勝利した。サトノフラッグも含め、過去10年でディープインパクト産駒は6勝でダントツ。自身も勝利した弥生賞は少頭数でスローペースが多いため十八番レースのひとつだ。

ところが今年はそのディープインパクト産駒は不在。かわってホープフルSを含め3連勝中のダノンザキッドが登場予定。ホープフルSがGⅠ昇格後、その勝ち馬がトライアルに出走するのは18年タイムフライヤー(若葉S5着)以来になる。

例年とはやや様相が異なる弥生賞ディープインパクト記念(以下、弥生賞と表記)だが、過去10年の傾向に合致する馬がいるか否か、考えてみる。

人気別成績(過去10年)ⒸSPAIA


1番人気【4-2-0-4】。この10年で4頭が1番人気に支持されながら馬券圏外だった。これはかつて銀行レースともいわれた弥生賞のイメージとは若干異なる。勝ち馬は9番人気以内から出ており、かつてより波乱度合いは増している。それでも2番人気は【3-1-2-4】で1、2番人気がそろって飛ぶシーンは想像しにくい。

注目は皐月賞の出走権がかかる3着。ここは2~5番人気が独占状態で、過去10年でこのゾーン以外だったのは15年10番人気タガノエスプレッソのみ。実力上位馬が最後の一枚を意地でも渡さないといったところか。

枠番別成績(過去10年)ⒸSPAIA


極端な傾向として注意したいのは枠番別成績である。過去10年で6枠【2-0-0-16】(1着1、6番人気)、7枠【1-5-1-13】(2着4、1、8、2、1番人気)、8枠【4-0-1-15】(1着2、1、1、8番人気)。内枠も3、4枠など複勝率では互角ながら、勝ち馬は外枠が優勢。これは弥生賞が少頭数であることに関係するだろう。

外枠は距離ロスが大きいが、頭数が少なければ、その部分は軽減され、内側でもまれないというメリットがいきる。外枠の好成績はそれを物語るのだ。

前走ホープフルS組【0-1-3-3】

では弥生賞の好走パターンについて各馬の戦歴から個別に探ることにする。まずはキャリア別成績から。

キャリア別成績(過去10年)ⒸSPAIA


新馬直後のキャリア1戦組は【0-1-0-6】(19年2着シュヴァルツリーゼのみ)で苦戦。トライアルともなると、1戦1勝馬は厳しくなる。ホウオウサンデーはやや辛いか。

おおむね好走パターンは5戦以内で、6戦以上も苦戦。3戦は【3-4-3-20】でダノンザキッドも問題ない。

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA


まず厳しいのは、前走が新馬【0-1-0-6】と未勝利【0-0-0-9】。目立つのは前走オープン【2-1-0-7】。若駒S4着タイセイドリーマーが該当するものの、ほとんどが前走でオープンを勝利した馬であり、鵜呑みにできない。

やはり前走GⅠ【2-3-6-5】(ホープフルS組のダノンザキッドとタイトルホルダー)、前走GⅢ【4-3-4-22】(京成杯組のテンバガー、タイムトゥヘヴン)に注目したい。まずはダノンザキッドが当てはまる前走GⅠ組について細かくみていきたい。

前走GⅠ・前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA


前走GⅠ組の内訳は朝日杯FS【2-2-3-2】、ホープフルS【0-1-3-3】。やや不安になるデータではあるが、これはホープフルSがGⅠになった3年分のデータであり、前述したとおり、そもそもホープフルS勝ち馬はGⅠ昇格後、弥生賞に出走していない。

前走ホープフルS・前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA


ホープフルS組7頭の同レースでの着順は4、2、3、5、9、5、3着。このうち弥生賞で馬券圏内だったのは、19年ニシノデイジー(ホープフル3着、弥生賞4着)を除いてすべてホープフルS5着以内。ダノンザキッドやタイトルホルダーをキケンとするのは早計だろう。

前走GⅢ・前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA


前走GⅢ組をレース別にみると、東京スポーツ杯2歳S【1-1-0-0】、きさらぎ賞【1-0-1-4】、共同通信杯【1-0-0-4】、京都2歳S【1-0-0-1】といったところが好走パターン。

今年の想定馬(テンバガー、タイムトゥヘヴン)が該当する京成杯は【0-0-3-6】。3着3頭は5、5、2番人気だった。人気別成績で触れたように3着は5番人気以内が条件なので、テンバガー、タイムトゥヘヴンも5番人気以内であれば連下に加えるべきではないか。

異例の弥生賞らしく、過去のデータに合致する馬は少数。であれば、前走1勝クラス1着【2-1-0-17】まで範囲を広げるべきだろう。これに該当するシュネルマイスターとワンデイモアらに注意したい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

ディープインパクト記念弥生賞データ

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